このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
秋風のいざない〜〜上田交通の丸窓電車
■中塩田
この暑さのなか、長男はよく歩いた。路地をめぐり、中塩田に到着する。ここにはもう1両の丸窓電車、5253が保存されている。状態は別所温泉の2両と五十歩百歩。朽ちるがままというべき荒廃である。車体への落書があまりにも品なく、あわれでかなしい。もし本当に引き取られていくならば、かわいがってもらえよと、声をかけたくなる。
■5253その後
まさかこの記事に続報を付すことになるとは、想像もしていなかった。
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丸窓電車資料館に
長野計器丸子で自社製品展示へ「放置惜しい」活用名乗り
圧力計メーカーの長野計器(上田市、宮下茂社長)は十九日までに、かつて同市の上田交通別所線を走り、鉄道ファンに人気の「丸窓電車」を譲り受け、自社製品の資料館として活用する方針を決めた。現在、中塩田駅に保管されている車両は塗装がはがれ、さびも目立つ。別所線の存続が焦点となる中、自社の圧力計が組み込まれている縁もあって引き取り手に名乗りを挙げた。
……(中略)
九月下旬に同社丸子電子機器工場(丸子町)に移設して修理し、新幹線でも使われている同社の計測機器を展示する。十一月一日の「計量記念日」に披露する予定だ。
丸子町の工場のすぐ近くを、かつて上田交通の「西丸子線」が通っていた巡り合わせもあり、「全国に『丸窓』ファンがいるのに、放置されたままでは惜しい」と、上田交通に利用策を提案した。
……(後略)
信濃毎日新聞平成16(2004)年 8月20日付記事より
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当時の噂が、ようやく形になったようだ。企業の資料館となるならば、中途半端な屋外(保存ではなくむしろ)放置よりもはるかに良好な状態が維持されると期待される。5253が末永くその姿をとどめることを祈念する次第である。
■中塩田
中塩田の駅は、なかなかに洒落た趣がある。大正のモダンを体現した、というところか。無人化され、荒廃が進みつつあるけれど、もとが佳いだけに味わいはまだ失っていない。願わくば、小湊鉄道のように、情愛のこもった手入れを施してほしいものだ。
■かえりみち
中塩田から電車に乗って、帰路に就く。上田直前の千曲川鉄橋を渡って、驚いた。部材のひとつひとつがトラス構造で、リベット細工が優美だった。全体ばかりでなく、部分も美しかった。メンテナンスはたいへんだろうなと思いつつ、つい見惚れた。
■おまけ
丸窓電車といえば、名鉄を無視するわけにはいくまい。写真を載せておくので、車両としての細工を、見比べて頂きたい。
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