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第5話、獅堂光(3)

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「そのリュウザキって人は当時はほとんど日本語がわからなかったって言うけど、成田からどうやってヒカルの家に
きたわけ?。」
「空港へ覚兄様が向かえにいったんだ。覚兄様も英語できるから。言葉は問題なかったみたい。」
「そうなんだ。でも面白いよね、日本人なのに日本語が話せないなんて・・・。」
「龍崎さんは10歳までイスラエル人として生活し、ホンコンでおじいさんに日本の名前をもらったそうよ。」
「イスラエルって確か言葉はヘブライ語よね、ホンコンでの生活に支障はなかったのかな。」
「龍崎さんから聞いたら、イスラエルではヘブライ語のほかに英語も使っていたから、問題はなかったみたい。中国語
(※正しくは香港の場合は広東語)は香港にいたときに覚えたみたい。」
「ヒカルは14のころから、英語と中国語が話せるみたいだけど、いつごろ習ったの?。」
「そうね。英語はもう7歳ごろからはじめて、中国語は10歳かな。私のおじいちゃんとよく中国へ旅行にいってたから、
その時に言葉を覚えたみたい。英語も中国語もほとんど習うより慣れろって感じだった・・・・。龍崎さんは私の家に半
年近く下宿していたせいか日本語の読み書きはもちろん言葉もすっかりマスターしてしまったのよ。でも私と龍崎さんは
龍崎さんが日本語を話せるようになったとしても。私は英語でずっと会話していた。だから私の英語はお手の物なのよ。」
「うらやましいわ。それじゃあ英語が上達するわけね。」
「でも私が東京タワーへいく前日に書置きを残して私のところからいなくなってしまった。・・」
「書置きにはなんて書かれていたの?。」
「自分はさらに強くなって力をつけるために旅に出ると書かれていた。龍崎さんは日本では高校へは行かずにいつも出
かけてばかりだった。何をしているのかたずねたこともあったけど。結局はわからずじまいだった。それから月日が流れて
私がデボネアとの戦いから戻ってきた数日後に覚兄様は勇美義姉様と結婚した。その義姉様は龍崎さんの実の姉だっ
たのよ。だから、私は直ぐ仲良くなり、私に本当の姉ができたといってもよかったな。それから直ぐにかわいい女の子が
生まれて、私は”15”でおばさんになってしまったのよ。コレが私の姪の写真、名前は望(のぞみ)、私がつけたのよ。」
リサは望の写真をみて微笑んだ。
「かわいいじゃない。ヒカルにそっくり(^^)。」
「今年で6才なのよ。結構ませたとこもあるけどね(^^;)。」
「そういえばヒカルは成田でリュウザキという人と再会したんだよね。」
ここで回想にはいる。西暦1996年3月の終ごろ。風と分かれた光は泣きじゃくっている。それを風の姉、空が慰めていた。
そしてそこで、紺色のクールバンダナをし紺色のジャケットを着た青年がいた。そしてフランス語で光に話しかけたのだ。
「ヒカル、ヒカルじゃないか!!。」
「????。」
「おっと失礼傭兵時代のクセでフランス語でしゃべってしまった。久しぶりだな。光、オレだよ龍崎だよ。」
光は目を疑った。光が見ていた龍崎の印象はロン毛の風変わりな格好だったが。髪も短くなっていてかつての印象がな
かったのだ。そして龍崎は覚に頭を下げた。
「あの時は勝手に家を出て行って申し訳ありませんでした。獅堂さん。」
「気にすることはない。もう過ぎたことだ。今は君のお姉さんと幸せに暮らしているよ。娘もいる。」
「それは祖父からの手紙で姉が獅堂さんと結婚したのは聞いていました。本当は行ってあげたかったのですがそのころは
中東で任務中でしたので・・・・。おととい契約が満了してこうして日本へ帰ってこられました。」
「傭兵だったのか・・・。」
「成り行きで傭兵にされました。そして自分はFF(フリーダム・ファクトリー)財団へ所属することになりました。」
「FF財団あそこは一流企業だぞ。凄いね龍崎君は。」
「龍崎さんのそばにいる女性は?。」
「あ、彼女か光の従姉妹だよ。光の親父さんの弟の娘で名前は獅堂夏姫(後の龍崎夏姫)だ。」
でもそれは表向きだけのことであった。そのあと龍崎は東京のある場所に時計屋さんを開いた。そして光がその店に来たのだ。
「あら、いらっしゃい光。ユウちゃんなら2階にいるわよ。」
そして光は龍崎の部屋を訪れた。その部屋はいろいろな書物が山のように詰まれていた。当時の光にとっては難しい本ばかり
だった。
「光よくきてくれた。覚さんから聞いたよ。あの超有名学校CLAMP学園に合格したそうじゃないかおめでとう。」
「ありがとうございます。」
そして龍崎は光に突然質問をしてきた。
「光、君は異次元は本当にあると思うか?。」
光はうなずいた。
「私はついこの間までセフィーロという異世界にいったんです。」
光はセフィーロの出来事を龍崎に一部始終はなした。ザガートのこと、柱の悲しい出来事そしてデボネアのことも・・・。
龍崎は何もいわずただうなずくだけだった。そして。
「苦労をかけたんだね君は。ならコレを君に見せる必要があるな。」
龍崎は書物の中から一冊の本を取り出した。本の名前は”界列の日”と書かれている。
「この本は早川丈とその妻マリーが書き記した異界の体験談の本だコレを読むことによって君はさらに知らない世界を知ることに
なるだろう。・・・」
「私のさらに知らない世界・・・。」
「実はこのオレもその本に影響をうけてね・・・。それにこれはSFではない本当にあった話なのだ。」
「本当にあった話?」
「1989年未明に日本海上に謎の柱が現れた、その後得たいの知れない魔物が現れ、自衛隊も米軍も出動したがまったく歯が
たたなかった。その柱は異界へのゲートとなりそれがもとで世界は大きな影響をうけた。まず東欧各地での革命運動。チェコスロ
バキアの分裂、ソ連の崩壊、東西ドイツの統一そして湾岸戦争。それだけではない日本でもバブルの崩壊がある。そしてF1ドラ
イバー、アイルトン・セナの死、最後は東京タワー閃光事件だ。」
「東京タワー閃光事件!!。」
光はその言葉に驚いた。
「日本海上に現れた謎の柱は世界中の人々を何か知ら狂わせる性質があるようだ。香港でも例外ではなかった。」
「香港でなにがあったんです?。」
「クーロン城を中心に魔物が俳諧しオレはその退治に明け暮れていたのだ。」
「そんなことがあったんですか。」
「そこでFF財団はそれに目をつけ、異界のあらゆる文化を研究し力をつけている。オレが旅にでたのは異世界で修行をするため
だったのだ、オレが光の家をでたのはこの本を読んでからだった。」
「・・・・そして、私は龍崎さんからその本を借り、一晩中読んだ。もちろん3人の兄様はそんな私に驚いていたそして義姉様も私の
額に手をあて”熱でもあるんじゃないか”とまでいわれたのよ。そして本を読んだあと私はふたたび龍崎さんの所を訪問した。」
龍崎時計店2F
「龍崎さんこの本はすごい、私が知らない世界がここに書かれている。私はもっとこの目でそんな世界を見たい!!。」
「それなら、オレの所にこい。オレがお前を鍛えてやる。そしてオレだけの異世界の治安を守る組織を作る。そのためにオレはFF財団
でその技術を盗み、自分の物にする、現におまえは異世界をみてきてる、そしてこのオレもだ。おまえとオレが組めばそれも夢じゃない
どうだ!?。」
「私にできるでしょうか?。」
「だがオレは強制はしない、その道はけっして楽ではないからだ。普段は高校生として生活しそれ以外は全て修行だ。お前は自由を
捨てることができるか?しかもザガートやデボネアよりも、もっとつらいことになる。死ぬかも知れないその覚悟があるなら話は別だ。
またコレだけは行っておく、根性や勇気だけで乗り越えようと思わないことだ。それには戦う力をつけるだけではない。あらゆる学問を身につけ
るほどの頭脳もよくしないといけない。おあつらえ向きに光はCLAMP学園に入学した。そこを首席で卒業できるようにしておく必要がある。」
「やらせてください。どうせ海ちゃんも風ちゃんもいないんだだから私はもっと知らない世界をみたいそのためには私はどうなってもいい!!。」
「そうか、ならオレから課題を出そう。まず背を伸ばせ。最低でも167か169ぐらいにな。小さいと何かと不便だしな、」
「どうやって?。」
「それは自分で考えろ!!。それと世界7カ国語を覚えろ特にフランス語は念入りにな。」
「なぜフランス語なんですか?。」
「傭兵つまりエトランジェ(外人部隊)の共通語の大半はフランス語だからだ。オレも中東へ傭兵になったときはパリ経由で入ったからな。」
実際フランスでは外人部隊の募集は本当にしています。最低でもフランス語はしゃべれないと話にならないそうです。
「だから龍崎さんはフランス語を使っていたんだ。」
「そういうことだ。」
「それから私は背を伸ばすために高校では剣道部に入ることをやめて新体操部に入部した。体全体をばねのように伸ばすんで、背を伸ばす
にはちょうど良かった、またすばやさを高めることもできたしね。そして家でも食べ物に気をつかい、嫌いな牛乳も飲んだ。朝は高校生で部活が
終わるのがだいたい17時30分ごろそして夜は勉強と体力トレーニング。学校が休みの時は龍崎さんの店を手伝いながら、桜木風水術を身に
つける修行をした。FF財団へ龍崎さんが行く日は私は秘書兼アシスタントとして行動していた。夜寝るときはヘッドホンで外国語の睡眠学習・・・。」
「そんな過酷なことをしていたのねそれでヒカルはどこの国の言葉を学んだの?。」
「英語と中国語のほかに、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、そしてルフェイン語」
「ルフェイン語!?。」
「ある異世界の共通の言葉らしい、私はルフェイン語を覚えるのにロゼッタストーンを用いた。」
「リュウザキって人はどこの国の言葉がしゃべれたの?。」
「私が知っている限りでは、ヘブライ語、英語、フランス語、ドイツ語、中国語そしてルフェイン語かな。私はヘブライ語はだめだけど、その分
ロシア語とイタリア語ができるから、私のほうが語学では上だった。」
「でもつらくなかった?。」
「つらいなんていってられなかった。私にとって唯一の安息は高校生活のみそれ以外は地獄のような修行の日々だった。銃の撃ち方やあらゆる
乗り物の操縦方法。そのためにいろいろなライセンスを取らされた。まさに文武両道って奴よ。でも本当につらい思いしたのはそれだけではなかった。」
光がいった本当につらい思いとはいったいなんなのだろうか?。

続く
管理人:PN.らくがきねこ

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