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第4話、空白の6年(3)

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龍崎勇が口にしたことは意外な内容だった。
「オレはナツキを鑑別所から出すためにその保釈金を稼ぐために中東へ傭兵として出稼ぎにいったのだが、
オレが成田に着いた時到着ロビーに待っていたのは鑑別所に収監されているはずのナツキがいたんだ。
オレは目を疑った。後でわかったことだが、FF財団がすでに手を回していたというのだ。」
FF財団は正式名称をフリーダム・ファクトリー財団の略で、あらゆる分野都市開発や宇宙計画、治安維持
等そしてなんと異世界との交流といった内容が挙げられていた。FF7でいう神羅カンパニーのようなもので、
龍崎勇はそのFF財団の治安維持部門の統括をしていた。
「その時からね、私が龍崎さんに誘いを受けたのは。」
龍崎勇は光がセフィーロで活躍したことを知り光に協力を求めた。しかし光は高校生活があるということで最初は
断ったが、龍崎は自分の都合のいい時でいいと答え、結局光は龍崎の秘書としてFF財団に入るが、実はいつもFF財団
にいるわけではなく、普段は時計店を営んでおり光もアルバイトという形で店の仕事を手伝っていた。それから、
光自身も龍崎と行動をともにしいろいろな異世界をまわったり、魔法や風水術そして射撃等あらゆる戦闘術の他に
指揮官や仕官としての能力を身につけてしまう。
「戦場にも足を運んだこともあるわね・・・あれは私がFF財団としての初陣だった。」
光は、龍崎とともにとある異世界での前線にたった時のこと、相手は無数のモンスターがとある町を侵略してきた時
掃討作戦として光自身も戦っていた。銃弾をよけながら塹壕のなかに逃げ込む・・そこへ龍崎がそばによった。
「どうした怖いか?オレも中東にいたころは君と同じだった。だがここでおびえてたら待つのは死だ。敵は容赦なく
倒せ、ためらいや甘さは戦場では命とりになる。非情になれたとえ敵が命乞いをしてもだ。」
「・・・・ずいぶん過酷なことをしてたんですね獅堂さんは。」
「そう・・そんな戦いを続けているうちに私は変わってしまった。この手で私は何人・・・何匹の魔物らも・・」
光はそういう話をしているうちに顔がひきつり、両目からはいつの間にか滂沱の涙があふれており下にうずくまってしまった。
山波はそんな光に優しくつめよった。
「わかります・・でもやはりあなたは優しい人だ・・」
「・・・・でもそれは私が選んだ道だから・・異世界を守りたいということもあったしね。」
ようやく落ち着いた光は話を続ける。光は高校を卒業する時のことであった。
龍崎勇はFF財団を辞めるといいだしたのだ。その時龍崎はこう答えた。


「資金もたまったオレはこれで新たに組織を作る。」
「組織!?」
「そうだ。異世界と交流を広め、貿易を行いそれで大もうけをする。だが異世界を自由に行ききできることは、当然異世界
から現実世界に侵略しようとする輩(やから)も出てくるだろう。」
光はその時中学を卒業する直前にみた不思議な夢を見たことを思い出していた。
「そのためには異世界の治安を守る組織を作る。あらゆる世界から凄腕の者たちを集めてな。光そのときはまたこのオレに
協力してくれたのむ。」
「その言葉に私の心は動いたのよ”異世界の治安をまもる”そのために私も力をつけ今では海ちゃんや風ちゃんの魔法まで
も取得してしまった。そしてさらにその上も・・」
「その上?」
「それはあとで話すわ。そこで私は龍崎さんの誘いを引き受け、協力することに決めたのよ。それで私と龍崎さんで”エレメン
タル・フォース”という組織を作った。その総帥は当然龍崎さんそして私がその代表兼治安維持の統括を受け持つことに。」
「ずっと気になっていたんですが、エレメンタル・フォースのネーミングは?」
「これは私がつけたのよ。エレメンタルとは風水または精霊を意味しもともと龍崎さんは風水師だったからちょうどいいと
おもってね。フォースは理力(ちから)ね、龍崎さんの風水術や私の異世界魔法の源は全て人に宿る”フォース”というもの
なんだって。」
「面白い話ですね。本当に」
「でも、こういった仕事をしているとやはり危険も伴うのよ。龍崎さんはいつも狙われていたから時計屋さんとして素性を
隠していたんだけど、あるひそれがばれた時があったのよ。それはかつて龍崎さんが傭兵だったころその相手の報復にあい
時計店は襲撃をうけたのよ。幸い龍崎さんたちは留守だったので難は逃れたけどね。」
「・・・そういえばニュースでそんな事件を聞きましたよ。」
「それで龍崎さんはそのテロリストと戦いまた行方不明に・・」
「ずいぶん雲隠れが好きな人なんですねその龍崎と言う人は。」
光は龍崎が発見され日本へ戻ってくるまで、一人でエレメンタル・フォースを切り盛りしていた。
そしてようやく龍崎はアメリカ軍に救助され、カリフォルニアで療養した後日本に戻ってきた。
「それで私は隊士たちの募集のためこうして世界中を奔走していたのよ。さてどう・・山波君はエレメンタル・フォースに入る?」
「待遇はどうなるのです。」
それを答えると光はかばんから書類を取り出した。そしてその書類を読み始めた。」
「まず契約は3年間、もちろん月々の給料もだすわよ。そのほかに出来高ボーナスというのがあってね。魔物や敵をたおすと
その種類によって金額が変わるのよ。もちろん倒した数が多いほど金額も多くもらえるけどね。」
「まるで傭兵ですね。」
「そう受け答えてもいいわねでもその分正規軍だったら命令違反等は銃殺ものだけどここでは罰金ですむということ。
たとえば命令拒否は5000G(異世界での統一通貨、1Gで約100円)のペナルティね、もしその金額に満たない場合は
強制執行になるけどね。もしこれを拒んだ場合はその場で銃殺になるわ。」
「・・・・・メンテや整備はどうなるのです。」
「整備に関してはうちにもメカニックがいるから問題はないけど、機体や弾薬等は自分で購入することになるわね。でも山波君の
場合は現役だから特別に機体をこちらで供給するわ。」
「機体は自分で選べるんですか?」
「もちろんいま山波君が乗ってるF15でもいいし、F14やクフィール(イスラエル空軍の主力戦闘機の名前)でもOKよ。」
さらに光は別の書類を取り出しそれを読み出した。
「山波君の経歴見ると1981年の生まれで金沢出身ね、飛行訓練学校時代はセスナの曲芸飛行で優勝、ラジコン飛行機コンテスト
3連覇、ハングライダーの大会でも優勝これは本当に光ものがあるわね。」
「小さいころから空を飛ぶことにあこがれていましたから・・」
「さらにすごいのは自衛隊の航空ショーでブルーインパルス(航空自衛隊所属のアクロバット(エアロバティック/曲技飛行)チーム。
正式な部隊名は第11飛行隊。)でも活躍したということね。・・・そうそう、実はね、君に会う前に既に本田君にもあってきて
るのよ。」
「本田に会ったんですか!?何処で!!」
「東京でね・・それで本田君は私の話を聞いて一回でエレメンタル・フォースに入る事を承諾したわ。あとは山波君だけなのよ。」
「・・・いいでしょう。本田が入るというんなら自分も入ります。」
「ありがとうこれで私は肩の荷が下りたわ。正式な手続きにはまだ時間がかかるけど今は休みを楽しみましょう。」
「・・・そうですね、ところで失礼ですが獅堂さんは年はいくつなんです。」
「女の人に年令を聞くなんていい趣味じゃないわね、あなたより一つ年上よ。」
「20ですか?」
「そうよ・・さてそろそろ行きましょうか」
「はい」
F40は有磯海サービスエリアを後にした。

続く
管理人:PN.らくがきねこ

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