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第27話、光とリサ(前)
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あの獅堂光暗殺未遂事件から1週間がすぎた。
山波はエレメンタル・フォース本部へ戻り、龍崎とともに業務に専念している。だが、光はまだこの佐渡の別荘にいた。いま光は
島のある小学校で、子供達といっしょにサッカーをして遊んでいる。ユウとアイ(※FF:Uにも登場)もいっしょだった。
そしてサッカーがおわると、光は子供達を別荘へ招き、TVゲームやボードゲームなどの遊び相手をしている。
エレメンタル・フォースの代表のときは、厳しい一面があるが、ふだんはこのように島の子供たちに優しい一面もある。
まさにそれは少女時代の光そのものだった。そして夜になり、ユウとアイだけが、光の別荘に残っていた。
「二人とも、そろそろ家へ帰りなさい、早川博士が心配してるわよ。」
「今度はいつ会える?」
「まだ当分の間ここにはいるわよ。」
そう光は龍崎のいきなはからいで、1ヶ月の休暇期間が延長されたのだ。
「また、一緒にあそんでくれるよね。」
「もちろんよ。」
「バイバイ、光おねえちゃん。」
そういってユウとアイは帰っていった。そして突然、光は顔つきがキツクなり、懐からナイフを取り出し、木に向かって投げ出した。
しかし外れた。
「そこに向かっているのはわかっているんだ、出て来い!!」
その姿は全身に黒いタイツをまとっていた。そして、その場から走りだしていった。
「逃がすか!!」
光はその刺客を追いかけ、飛び掛った。ところがその刺客は突然両腕を光に突きつけたのである。それによって3メートルほど
光は吹っ飛んだ。
「がはっ!!・・・い・・・いまのは・・・」
そして光は懐から銃を取り出し刺客の右足を撃ち、その動きを止めたのである。光はその刺客の頭をつかみ覆面をはぎとった。なんと
長い黒髪が現れた。そう女性であった。
「おまえはセビルの残党か!?」
「違う!!」
「じゃあなぜ、私を狙った!!」
「あなたではない。私はただあの子供たちを監視していただけだ。・・・うぐ・・・」
女刺客の右足からは血が流れ続けている。
「・・・とにかく、私の別荘で手当てしてやる、話はあとだ。」
光は女刺客を別荘へつれていった。
「すこし傷むががまんしろ。」
光は女刺客の右足についていた弾を摘出し、そばにあった薬用アルコールをかけた。女刺客の口には舌を噛まないようにさるぐつわ
がほどこされていた。
「んんんーっ!!」
その痛みは壮絶なものだった。女刺客の両目からは涙があふれ出ている。そして光はその傷口に右手を差し出した。
「(癒しの風・・・)」
女刺客の足の傷口は跡形もなく消え去った。そしてさるぐつわをはずしてやった。
「さて、話してもらおうかしら、なぜあの二人を監視していたか。返答しだいでは銃の弾が右足からこの眉間にかわるわよ。」
光は女刺客に銃口を向けていた。
「私はリサ・・・、リサ・パッツィフィースト(FF:Uに登場するヒロイン)C2機関(※むかしのKGBみたいなもの)の情報員よ。」
「パッツィフィースト?、ロシア人か!?どうみてもロシア人にはみえないな。」
「私は父親がロシア人で母親が中国人の混血なのよ。そういうあなたも赤い髪してて、日本人にはみえないわよ。」
「大きなお世話だ!!これは染めているのだ、今は私がおまえに質問しているのだ!!おかれてる立場がわかっているのか!!」
「そんな、怖い顔することないじゃない。教えるわよ。あの二人はこの世界の人間ではないのよ。」
「異世界で生まれたとでもいうのか!?」
「ええ、それを早川夫妻がこの世界へ連れてきたのよ。そのためにC2機関は異界の研究のためにあのふたりの成長を見守っている
だけなのよ、けっして命をとろうなんておもってないのよ」
「それにしても、日本語うまいな。」
「日本には長くいるから・・・」
「・・・そうか、疑ったりして悪かった。ついこの間ここへ賊がきて、私の親友が2人も殺されたので少し気がたっていたのだ。」
「もしかして、龍咲海と鳳凰寺風のことですね。でもあれはニュースでは事故死と聞いていましたが・・・。」
「それは表向きのこと・・・。」
「やはり、あなたがそうだったのね、エレメンタル・フォース代表、獅堂光さん。」
「なぜ、知っている!?」
「私の所属するC2機関も異世界の研究や調査をしているので、エレメンタル・フォースの正体ぐらいわかります。それに一般人が銃を
携帯しているだけでおかしいと思ったもの。」
「そうだったの・・・さすが諜報機関だけのことはあるわね」
「どれぐらいエレメンタル・フォースはこの世界で知られているのかしら?。」
「一般の人には貿易商と言うことになっているけど、トップクラスの政治家や自衛隊等をはじめとする軍関係には、異世界の治安を守る
組織ということは既に知られている・・・。」
「だから、マスコミや警察はそれを公表しないのね。」
「・・・・いまのところはね、よかったら、お茶でものんでいって、なにがいい。」
「普通の日本茶でいいわよ。でもさっきのは何、手を当てただけで私の傷を治すなんて・・・」
「あれは風水術だ、風の力を利用して傷口をふさいだだけだ。私の友達(※風のこと)もコレを異世界で使っていた。それにおまえも
私を3メートルも飛ばしたあれは何?」
「あれは、気幻術よ。」
「気幻術?」
「私の母が教えてくれた武術のひとつよ。」
「・・・・そうか。」
「ヒカルはあの二人とはどういう関係なの。」
「ただの隣近所よ、私は仕事が休みのときはいつもここにきて、あの子たちの遊び相手をしているのよ。」
そして光は一冊の本をもってきた。”界列の日”と書かれている。
「おまえはこの本を知っているか?、私はこの本で自分の人生は大きく変わってしまった・・・・。」
「その本は私も読んでいます。」
光は穏やかな表情に戻っていた。
続く
管理人:PN.らくがきねこ
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