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第28話、光とリサ(後)

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「私も異世界へいったことがあるのよ。」
「早川博士のいう所ですか?」
「早川博士のとことは違う場所よそこは、セフィーロといって一面に広がる海があって、火山や空に山が浮かんでいる不思議なとこだった。」
「さぞ、美しいとこでしょうね。」
「ええ、私はその異世界では伝説の魔法騎士とよばれていた。魔法騎士は私をふくめ、3人いたんだけどあの一件で私だけになってしまった。」
「それでは、まさか殺された二人の親友というのは・・・・」
「そのまさかよ・・・デボネアとの戦いのあと、私は龍崎さんという人に会いその人のもとで、風水術を学んだからよ。それにしても偶然とはおそろ
しいよね、その風水術は私たちがかつてセフィーロでつかっていたのとおなじだったのよ。おかげで私は海ちゃんや風ちゃんの魔法も使えるように
なった。今はこの魔法が海ちゃんと風ちゃんそのものだと私は信じ・・・・た・・・い・・・。」
光はその場でうずくまって泣き出してしまった。(しかし、ホントよく泣くな・・・)
リサはやさしく光をだきしめ、頭をなでた。
「あなたには2つの気が感じられます。」
「2つの気?」
「ひとつは人に優しく思いやるのある心その涙がなによりの証拠です。そしてもうひとつは、厳しく、残酷な心が感じられます。」
遠まわしに言えば二重人格者である。でもその後者の心とはノヴァのことをさしていた
「でも、あなたはその心をうまく調和をたもっています。自分をもっと信じることです。そうでないとあなたはすぐに暗黒面へおちて
しまいます。」
「龍崎さんも同じことをいっていた。・・」
そして光はデボネアとの戦いのことを話した。それによって、リサは納得したようだった。
「そのノヴァは、あなたの分身ですね、あなたが暗黒面に落ちた姿を写したといってもいいでしょう。でも”光”には必ず”闇”があります。
その調和があるからこそ人と世界は成り立っているとおもいます。あなたがよく泣くのは涙もろいと言えばそれまでですが、やさしい心を
もっている証拠です。そしてあなたは喜怒哀楽がはっきりした人だと思います。」
リサはそう光に答えた、そしてまた光はリサに抱かれて静かに泣いた、リサの両目からも涙が流れている。
「ごめんなさいそんな人と知らず私はなんてことをしてしまったんだ・・・・」
「でも、あなたは私の傷を治してくれた・・・。」
そしてしばらくたった・・・・。
「・・・それにしても、あなたの別荘はまるでホテルみたいね・・・。」
「わかる?。実はここはもともと小さなホテルだったのよ。でも客足があまりよくなくて、すぐにつぶれたけどね・・。それを私が買い取って、
自分の別荘にリフォームしたのよ。支配人の部屋は今は私の部屋になっているけどね。」
「ここへはいつもいるの?」
「そうね、私は仕事上いつも忙しく、まる2ヶ月は休みがないのよ。寝泊りも現地かオフィスの自室。・・・・でもその分2週間
は仕事を休むのよ。2週間のほとんどはこの別荘で暮らし、島の子供達の遊び相手もしたりするわけ。」
「なにをして遊んでいるの?」
「そうね、グランドでサッカーをしたり、野球もするわね。またハイキングに海水浴とかいろいろよ。」
「楽しそうね。」
「だから、別荘というより、完全に自分の自宅化しちゃっているのよ(笑)。」
「自分の家はないの?」
「東京に実家があるけどね、ちなみに実家は剣道の道場なのよ。小さいころから剣道をしてたんで、こうみえても私は獅堂流免許皆伝よ。」
「すごいじゃない。」
「でもね、いくら剣の腕があってもこれにはかなわないわ。」
光はそういってふところから拳銃を取り出した。
「でも、人によっては弾道を見切ることもできるらしいよ、ヒカル。」
「・・・・そうね、私も弾道は見切れないことはないけどね・・そうだ、ここね下の方に露天風呂があるのよ。といっても本物の温泉じゃなく、
お湯をいれるだけどね。でも温泉気分は味わえるわよ。入ってったらどう?お湯はもういれてあるから・・・」
「ヒカルは入らないの?」
「私はいいのよ。もう入ったあとだから・・・。はいこれ草津温泉のモトと浴衣よ。」
「・・・気が利くのねえ。じゃあさっそくはいらせてもらうわ。」
「着替えはあとで脱衣室にもって行くからね。」
こうして、リサは露天風呂に入り光は自分の服をバスケット内にいれた。
「どう?湯加減は。」
「いいわよ。さすが元ホテルだったことはあるわね。」
「背中流そうか?」
「大丈夫よ自分でできるから。」
「そう・・・じゃあ、客間にいるから・・。」
そういって光はその場を去っていった。それから10数分後浴衣に着替えたリサが客間に入ってきたのである。
「似合ってるじゃない浴衣姿、日本人と変わらないわね。今日は私の部屋で寝るといいよ。」
「なにから何まで悪いわねヒカル」
「いいのよ」
そして光はリサを部屋へ案内し、クローゼットルームから、一着のスーツを取り出した。色は紺色の上下である。
「サイズあうかな?。」
光はリサの背中に上着を重ね当てた。
「上着は大丈夫なようね。」
リサは光の長めのタイトスカートを試着した。
「大丈夫、ピッタシだよ。」
「よかった。その服をリサにあげるよ。これYシャツとネクタイ」
Yシャツの色はホワイトでネクタイは紺色である。そして紺色のハイブーツも取り出した。
「本当にいいのこれもらって。」
「いいのよ。これ何着もあるから・・・丸2ヶ月も泊り込みだと。コレぐらい必要なのよ。」
光にビジネススーツ一式渡し終えると、リサは鏡台の前に座った。そして後ろから光がリサの長い黒髪をブラシでとかしたいる。
この時のリサはまだ髪を下ろしていたのであった。
「ロシア人なのにこんなに黒々してうらやましい・・・私は生まれつき髪が赤いし、ウェーブがかかっているし、高校をでたあと、
何とかストレートパーマをかけてようやくおさまったんだけど・・・それで茶色に染めたのはいいけど、結局赤みがかかってしまうのよ。」
「でも、ヒカルのその髪もきれいだよ。」
今度は光が鏡台の前に座り、リサが光の長い髪をとかしている。
「結構長いのねヒカルの髪の毛。」
「高校のころから、髪全体を伸ばしはじめたからね。リサは私より背があるみたいだけどいくつあるの。」
「172センチよ、ヒカルは?」
「私は168センチ、でも6年前は145センチしかなかったんだよ。」
「6年でよくそこまで身長を伸ばしたのね。」
「高校入ってすぐ、新体操部に入った、あれは体全体を伸ばす体操だから、身長を伸ばすには適していたのよ。だから背が低いという私の
コンプレックスを解消できたのがなによりの救いだった。」
「すごい努力家なんだねヒカルは。」
こうして光とリサの長い夜は終わりを告げた。
翌日、光は普通のカジュアルウェアだったが、リサは前の全身タイツのコスチュームではなく、光がいつも仕事で着ている、紺色の上下の
ビジネススーツをまとっていた。髪は下ろしたままだった。光はリサをF40の助手席に座らせ、新潟空港へ向かった。
そして新潟空港出発ロビー
「ヒカル昨日は本当にお世話になったわ。これ私のロシアでの住所と、携帯と自宅のTEL番号よ。よかったらいつかロシアへ遊びにきてね。」
「ありがとう、リサ。」
光とリサはシェイク・ハンド(※握手)をかわした。光とリサが親友となった場面でもある。そして来年(※2001年)の10月に二人は再会する・・。
「ウラジオストク行きのお客様はただいまより搭乗手続きを行います。お急ぎください。」
「また、会いましょう。ヒカル」
リサはウラジオストク行きの飛行機に乗って、新潟空港を後にしたのだった。
光は飛行機が飛び立ったのを確認してから再びF40に乗り佐渡の別荘へ戻っていった。

続く
管理人:PN.らくがきねこ

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