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第29話、エレメンタル・フォース代表獅堂光(1)
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あれから、半年の月日が流れた。2001年6月、光の実家で、龍崎勇の姉でもあり、獅堂覚の妻、勇美(いさみ)が
光からの手紙を読んでいる。
「拝啓、勇美義姉様・・・」
場面は東京のオフィスに変わり、代表室で紺色のビジネススーツをまとった光が机上にて手紙をかいている。
「あれから早いことに半年の月日が流れました。エレメンタル・フォースも大幅な人事異動を行い、龍崎総帥は変わらず、
私は代表のほかに、流通部門統括を承り、以後貿易業や取引先との交渉や会合を受け持つことになりし候、
山波君はいまではすっかり髪も伸び、今ではエレメンタル・フォース総長と治安維持部門航空部隊統括そして、私の秘書もかけもち
をもし、今や山波君は、私と対等な立場となってしまいました。
特に見違えたのは、本田拓斗、髪型も若き江口洋介のような風貌に近く(※1991年ごろのもの)メガネもはずし、すっかりかっこよくなり、
いまでは、緑服ながら、治安維持部門海上航空部隊の統括に。かつての私の側近、川崎浩人は、日用生活品開発
部門統括兼経理部長となり、鈴木速人はクーカイ・ファウンデーション支部長兼移民・都市開発部門統括をしております。」
そして、少し時間をさかのぼり、光は実家にいる、そばには勇美がいる。
「義姉さん・・。」
「どうした光。」
「私、エレメンタル・フォースやめるわ。」
「あの一件は光の責任ではない、気にするな。」
「そうじゃなくて・・・龍崎さんには私はもういらないから・・・」
「なにいってんのよ!!」
「治安維持部門なら拓斗がいる。そして代表業務なら総長の山波君がいる。」
「あんたは別よ。」
「そんなことないです。」
「山波君の知恵は書物や学問で得た知識に過ぎない。あんたは、あんた自身の経験から生まれた知識がある。あなたの知識は
生きた知識・・・イサムは一人で悩みすぎることが多い。あれには相談に乗ってやる人が必要なのよ。これからも弟の力になってあげて。
だからエレメンタル・フォースを辞めるなんていわないでよ。」
「・・・はい、義姉様。」
再び、東京のオフィス・・・
「あの義姉様の言葉で私は山波君と力をあわせ、おかげさまでここまでこぎつけることができました。そして新しい隊士も次々と募集もし
仲間も増えました。」
回想、エレメンタル・フォース本部、面接会場、面接官には光と山波そして、川崎の姿もあった。そして、隊士志願者が一列になって
ならんでいる。
「次のかた。」
「ユーノス・マツダ、オートザムの出です。以前はオートザム陸軍の指揮官をしておりました。」
山波が感心そうにいった。
「ほう、オートザム陸軍の指揮官。」
「戦いは力だけでは勝てないことはご存知のはず。政情が不安な昨今(さっこん)、いつなんどき大きな戦争がおきるともかぎりません。優れ
た指揮官はのどから手が出るほど、ほしいはず。」
山波がいう
「たしかにオートザム正規軍の指揮官がいると、なにかと心強いかもしれませんね。」
そして光は腕組みしながら答えた。
「しかし、指揮官の募集はしていない、龍崎総帥の意向を伺ってみよう。」
そして、そのユーノスは右手を前に出してこう大声で述べた。
「その議は無用!!。思い違いをされては困る。今はわたくしがそちらを値踏みしているはず。・・・エレメンタル・フォースの気風大いに気に入った!!
喜んで入隊いたしましょう。」
山波と光は何も言わなかった。
「・・・次のかた。」
「岩崎敬介と申します。家は大阪で薬剤師をしております。」
「エレメンタル・フォースは過去や経歴身分は問いません。何か人より秀(ひい)でた技はお持ちですか?」
「自慢といえるかどうかわかりませんが、なかなか人に覚えてもらえんのです。」
光は苦笑しながら言った。
「それは自慢ではない。」
「一度、会うた人も二度目には顔を忘れてしまう・・・。」
「ここはあなたの来るところではない。」
「このあいだもそういわれました。獅堂光さん。」
「!!。」
「ひょっとして、以前にもおいでになったことがある?」
「はい、今日で3度目になります。山波裕人さん。」
光と川崎そして山波の3人は岩崎に注目しはじめた。
「そちらはたしか、川崎浩人さん。・・・さすがに3度目になるとお名前も覚えてしまいました。異世界において、偵察や諜報の部門のお役目があると
伺いました。自分でいうのもなんですが、私みたいなものはもってこいやと思うのですが・・・」
「採用だ。」
光はそういって岩崎をねぎらったのである。
続く
管理人:桜ヶ丘うーくん
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