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第38話、オートザム大統領、ドナルド・サイモン(前)

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山波、本田、光、ジェオ、ザズの5人が乗った車は旧オートザムの市街地を進んでいる。運転しているのは、山波で
あった。
「ジェオさん。」
「なんだ、ユート。」
「サイモン大統領ってどんな人なんですかね?」
「かなりおっかないイメージはあるわな・・・。」
「まじかよ・・・おっさん。」
タクトは震え上がっている。ザズが答える。
「ナカジマ大佐の友人でもあると聞いているけどね。」
「ナカジマ大佐・・・。」
「そういやヒカルはナカジマ大佐に会ったことがあるんだったよな。」
「ああ、当時の大統領とも会っている。」
光も緊張のあまりか表情や目つきもきつくなっていた。
「サイモン大統領か・・・・。」
そして車は大統領官邸の正門に到着した。衛兵たちや門番が銃を携えている。
「身分証を!!」
門番がきつい口調で問いかけてきた。山波たちはその衛兵に身分証を見せると、その門番はすんなり通すのである。
「これは失礼しましたメトロ少佐殿どうぞお通りください。」
「俺が来てよかったな。」
「それにしてもすげえぜ豪邸じゃねえか。さすが大統領だけのことはあるぜ。龍崎総帥の館なんか足元におよばねえな。」
「私の佐渡の別荘よりもすごい・・噴水や彫刻まであるよ。ほんとすごいなー!!ほら山波君も見てみなよ。」
光はいつのまにか、子供のような表情になっている。
「すげえぜ!!一度でいいから住んでみてー!!。」
タクトと光はすっかりはしゃいでる様子だ。
「おまえらはガキか!?。」
ジェオがあきれていた。ザズと山波は笑っている。
「・・・これは失礼した・・。」
光はふと我に返り、またキツイ表情に戻った。
そして玄関に車は到着した。出迎えていたのは、ナカジマ大佐である。
「おまちしておりました。私はロータス・ナカジマと申します。しばらくぶりでしたな獅堂大尉。」
「いまは中佐です。大佐。」
「これは失敬。そちらの御仁は前にお会いした側近とは違うようですが。」
「こちらは総長の山波裕人少佐、航空部隊統括もかねております。そしてこちらは海上部隊統括の本田拓斗大尉です。」
「どうもはじめまして。」
山波と本田はナカジマ大佐と互いに握手を交わした。
光と山波は紺色のビジネススーツをまとっている。そして本田は濃い緑のビジネススーツだった。髪は後ろで結んでいる。
ナカジマ大佐の案内で山波たちは大統領室の前に到着した。後ろにはジェオとザズがいる。
「ジェオとザズはここで待機していろ。」
「はっ。」
「サイモン大統領、獅堂光、山波裕人、本田拓斗をお連れいたしました。」
そして少し低めの怖い口調で返事があった。
「入れ!!。」
「おれ、殺されるかも・・・。」
「なにバカなことをいっている・・。」
「だってあの声・・・聞いたろ?」
そしてゆっくりと光はドアをあけた。中にいる大統領は、みるからにおっかない表情をしている。
「(あれが、このオートザムの大統領か・・うわさ以上に怖い表情している。まるでバテレンのいう悪魔だぜ。)」
そしてサイモン大統領はゆっくりと山波たちに近づき、3人をにらみつける。
「(ガンとばしてやがる・・・)」
「・・・・おまえ達が獅堂光、山波裕人、本田拓斗だな。」
本田はすっかりふるえていた。
「返事は!!」
雷のような声でサイモン大統領は答える。
「は・・・はいそうであります。」
本田は裏返ったこえで返事した。
「はい・・。」
「はい・・。」
山波と光も返事をした。すると、サイモン大統領の悪魔のような表情から急に天使のような笑顔にかわったのである。そして
次々と3人に握手をかわしたのだ。
「そう、かたくなりなさんな。3人ともよくきたよくきた。私がオートザム大統領ドナルド・サイモンだ。」
と笑顔でこたえたので、3人ははとが豆鉄砲をくらったような表情になっていた。
「君達を呼んだのはぜひお礼がしたくてねここへ呼んだのだよ。」
「お礼?」
光が答える。
「身に覚えがありませんが・・・。」
「君達は私の娘の命をたすけてくれた。そうあの飛鳥航空のDC−10に仕掛けられた爆弾を君達がそぎ落としてくれたそうじゃ
ないか。」
「ああ!!あれか!!俺たちがF14で背面飛行で、バルカンでそぎ落としてやつだ。」
「そう、それよそれ!!、あれは神業に等しいものだった。しかもそれを指揮したのは獅堂さんだと言うじゃあーりませんか。」
「そうだったのですか・・・私はただ自分のために300人を巻き込むわけにはいかなかったもんですから・・・娘さんもその便に
のってらしたんですね。」
「しかも君はすでにあっている。日本につくまで席もとなりだったのだよ。」
「(サイモン・・・)もしかしてその人の名前は柴門恵理では?」
「ご名答・・・そのとおりだ、私の3番目の娘だよウチは9人家族でね。」
「9人家族とはすごいですね。」
「それでお礼だが、我がオートザム政府は君達エレメンタル・フォースを資金援助から全面的にバックアップすることを約束しよう。」
「それはねがってもないことです。ありがとうございます私、獅堂光は代表としてお礼申しあげます。」
「うむ、これからも励んでくれたまえ。」
そしてメイドが中にはいってきて、3人においしそうなケーキと紅茶が差し出された。
「遠慮なく食べたまえここのケーキはうまいぞ。」
「ありがたくいただきます。」
3人はおいしそうにケーキを食べ始めた。
「我がサイモン家は名門でね、代々政府職や軍部関係の仕事を携わっている。エリーもいまはアナポリス(※士官学校)で優秀な成績
をおさめている。上のせがれは陸軍の司令官についている。ビジョンと私そして、ナカジマとは同期でね互いにアナポリスの生徒だった。
もっともビジョンと私は政治の道を選んだがね。ナカジマは軍部の道を選んだよ。実はな今日ここへエリーを呼んでいるのだよ。会うか?」
「ぜひあわせてください。」
「その前にひとつ聞きたいのですが。」
「なにか?」
「なぜ、エリーさんは私の本国にそれも日本人になりすましていたのですか?」
「じつはな、オートザムも君達と同じように異世界留学をさせているのだ。幸い名前が日本の名前に近かったので、形の上では日本人と
言うことにしてある。しかも留学は国家機密でもあるのだよ。」
「・・・そういうことだったのですね。」
3人は納得したようだ。

続く
管理人:PN.らくがきねこ

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