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第71話、本田拓斗(1)
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タクトは10月まで休業になったので、金沢へ里帰りしていた。そして飛行機は小松空港に到着する。
「一年ぶりだなここへ戻るのも・・・。小松か・・・ユートもくればよかったのに・・ま、あいつは総長だから、ヒカルの流通業務を兼任
しないとだめなんだよな・・・。」
タクトは航空自衛隊の小松基地に立ち寄った。
「おおっ!!おまえ、本田じゃないか?久しぶりだな。山波はいないのか?。」
「ユートは今日はいないよ。」
「まさか、エレメンタル・フォースをやめたんでは?。」
「バカこくでねえ。いま休暇なんだよ。だから昔の隊員たちの顔見たくてさ来たんだよ!!。」
「それにしても髪すごいのびたな。」
「ああ、もう一年も床屋へはいってないからな。」
「また、松田に刈ってもらうか?。」
「やだよ。せっかくここまで伸ばしたんだもん。またハゲはいやだぜ。」
「じょうだんだよ。松田は先月除隊したんだ。」
「まじかよ?。でどこへ。」
「さあな、そこまでは聞いてないな。それよりも本田、かなり羽振りがいいようだな。」
「わかるかい?。」
「まあな。でよってくのか?。」
「やめとく、松田センパイがいないってわかったら、いてもしゃーないし・・・。じゃあな。」
「元気でやれよ。」
タクトは途中実家によることにした。タクトの実家は宝蔵院槍術の道場であった。
「おーやってるやってる。」
道場の中は沢山の門下生が練習に励んでいた。そのとき突然練習用のヤリがタクトを襲い掛かったがタクトは素早くかわした。
「殺す気か!!このクソオヤジ!!。」
この道場の師範で実の父親の本田悟李羅(ゴリラ)であった。
「なにしに戻ってきたタクト!!、お前とはもう親子の縁は切ったはずだぞ。」
「久々に実のせがれがツラ出しに来たってのにこの態度かよアンタは。」
「金の無心か!?それになんだその頭は女みたいにのばしくさって・・・セイラさんじゃないけどこの軟弱者が!!」
「軟弱者?、ちげえねえ。だが、今やオレはエレメンタル・フォース治安維持部門海上部隊統括本田拓斗少佐だぜ。ここへ来たのはあんたに
今生の別れをいいに来たんだ、オレは来月にも”戦場”へいく・・・、もう二度と会うこともねえだろう・・・あばよ。」
「貴様こそ!!どこえでもいってのたれ死ぬがいい。とっととうせろ!!」
拓斗は道場を後にし、叔父の家に泊まることにした。拓斗の叔父の名前は初瑠野(じょるの)で悟李羅の弟である。拓斗は中学の時に悟李羅に
勘当されて以来、叔父の家で生活していたのだ。
「久しぶりだね、タクト。」
「ジョルノ叔父さんも元気そうだな。叔父さんだけだよオレの気持ちをわかってくれるのは。」
「ワシはなんとしてもお前のパイロットになるという夢をかなえさえたかったからな。兄貴は頑固でな、お前がパイロットになるのを反対して
たもんな」
「それで、おれは中学でたあと家を飛び出し、叔父さんのとこへきたわけだ。」
「とにかくここはお前の家でもあるんだ、ゆっくりしてけ。」
タクトは二階にある自分の部屋へ入った。中はバイクの模型や、数多くのトロフィーや賞状が飾られていた。ハングライダー選手権にラジコン
飛行機大会の優勝のトロフィーもあった。
「ここだけは昔のままだな。」
タクトは自分のベッドに横たわりそのまま眠ってしまった。
時はさかのぼり西暦1999年浜松ここで航空ショーがおこなわれ、山波と拓斗はこのとき18歳だった。
「見ろよ。ユート、あれがウワサのブルーインパルスだぜ、かっこいいな。」
「ああ、あいつらはエリートのなかのエリートだからな・・。防大(※防衛大学のこと)でてればなんとかなるが、俺らは逆立ちしたって無理だな。」
「でもブルーインパルスはだめだったが、小松の航空自衛隊員になれたんだぜ。しかもこうして航空ショーにさんかできたんだ。人間死ぬ
気で努力すりゃあできるんだよ。」
そこへ一人のパイロットがやってきた。
「君達がウワサの最年少パイロットの山波裕人君と本田拓斗君だね。」
「あんたは?。」
「あ、自分はブルーインパルスの一員の牧島赤穂人(Acoodo Makishima)1等空尉(※大尉と同格)だよろしくな。」
この男こそ後の帝国空軍総司令のアコード・マキシマ大佐であった。
「次は君達の演技だね。楽しみにしてるよ。」
牧島はそういって去っていた。
「キザな野郎だな。でも腕はいいし頭もいいてきたもんだ、防大も主席で卒業だというし・・・。」
「ひがむなタクト、学力だけが能じゃないっていってたのはおまえだろ。俺たちの技で見返してやろうぜ。」
「おう!!。」
そして山波とタクトの番がやってきた。機体はF15イーグルである。
「あれやるぞ!!。タンデムテイクオフを!!。」
「よっしゃ。」
「じゃあはじめるぞ!!タクト!!。」
会場では観客はみな注目していた。
「アフターバーナー出力確認よし!!、スロットル全開!!。」
そして山波が合図をする。
「Get Raedy・・・・5・4・3・2・1!!、Take Off!!。」
二機のF15が同時に滑走路を進み同時に離陸した。そしてあがると同時にお互いに山波は反時計回り、タクトは時計回りにきれいに
一回転ひねりをしたのである。
「おおおっ!!。」
会場からはそのきれいな飛行に歓声と拍手があがった。」
「タクト、コマツ・フォーメーションだ。」
「レッド、スモーク、カートリッジON!!。」
後ろに取り付けたカートリッジから赤い煙が出てきた。そして山波とタクトは花の形に煙を描いたのである。
「グリーン、スモーク、カートリッジON!!。」
緑色の煙が現れ、それを茎に見立てたのだ。
「スモーク、カートリッジOFF!!。」
緑色の煙は消え、上空には花が見事に書かれていたのである。
「おおおおおっ!!。」
会場からは一斉に拍手が飛び交った。
「優勝はもらったな!!ユート」
「最後のツメだ!!ブルースモークカートリッジON!!」
機体から青色の煙が現れ、機体を包むようにした。
「消えた?。」
そして再び色が緑色にかわり、それはもうすごいものであった。
「これがコマツ・フォーメーションよ!!実戦用に編み出した、目くらまし戦法さ。」
そして無事に着陸したのであった。
「すばらしいですな。あなたの部下は。」
当時の山波たちの隊長も鼻が高かったようだ。
「山波三等空尉、本田三等空位すばらしかったぞ!!。あのカラースモークの演出がすごいいい!!審査のかたがたの高得点は大いに
期待できる。お前たちは小松基地のほこりばい!!(なぜ長崎弁?(^^;))。」
「ありがとうございます隊長。」
「さて大トリはブルーインパルスチームのアクロバット飛行だな。」
観客席へ移動した山波たちは仲間から祝福をうけていた。
「お、始まるぞ!!。」
「いつみてもかっこいいな、ブルーインパルスは・・・アメリカにもブルーエンジェルスってあるけどあれの日本版ってとこだな。」
6機の機体はいっせいに離陸を開始し、演技がはじまった。カラースモークの演出も見事なものである。
「やはりブルースにはかなわないな。」
「ああ・・。」
そのときであった、一機の機体が突然失速し、地面に墜落したのであった。
「たいへんだー!!牧島機が落ちた!!。」
会場は一般して、大騒ぎとなったのである。
消防車も駆けつけ、消火活動を続けている。
「なんで脱出しなかったんだろう・・・。」
「あれじゃあ、もう助からねえぜ。」
このような事故があって結局この航空ショーは山波たちが繰り上げ優勝になった。そしてこのあと、牧島一等空尉の葬儀が行われた。
その墓標にはタクトがいる・・・右手には優勝トロフィーをもっていた。
「本当の優勝者は俺たちじゃない・・・あんただ牧島一等空尉・・・・。」
タクトはトロフィーを牧島の墓前にささげるのであった。
続く
管理人:PN.らくがきねこ
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