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第73話、本田拓斗(3)
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光はタクトにセフィーロの話を一部始終はなした。ザガートのこと、エメロード姫のことそしてデボネアのことも・・・・。
「そんなことがあったのかよ・・・・。でも本当にそんな世界があるならこの目で見てみたいものだ。」
「いけるわよ。」
「あんだって?。」
「私の組織エレメンタル・フォースに入れば、本田君も異世界へいけるわよ。」
「本当かよ。」
「エレメンタル・フォースは表向きは貿易商の会社だけど、実態は異世界と貿易したり、またその治安を守る組織なのよ。
君にはその素質があるわけ。」
「おれがか・・・たしかにオレはこの若さでF15のパイロットになれたけど・・・。」
「それよ!!、その才能こそ私が求めていたものなのよ。君はさらに鍛えればもっと強くなる。」
「おだてられてもなあ。」
「あなたは今の自分に満足してないようね、航空自衛隊といえばほとんど偵察飛行や飛行訓練ばかりだと聞くからね。あなたきっとこう思っている。
このまま一生を終えたくない、退屈しているのでしょ?」
「・・・・待遇はどうなんだ?。聞かせてもらおうか?。」
「そうこなくては・・まず契約は3年間、もちろん月々の給料もだすわよ。そのほかに出来高ボーナスというのがあってね。魔物や敵をたおすと
その種類によって金額が変わるのよ。もちろん倒した数が多いほど金額も多くもらえるけどね。」
「まるで傭兵でな。」
「そう受け答えてもいいわねでもその分正規軍だったら命令違反等は銃殺ものだけどここでは罰金ですむということ。たとえば命令拒否は5000G
(異世界での統一通貨、1Gで約100円)のペナルティね、もしその金額に満たない場合は強制執行になるけどね。もしこれを拒んだ場合はその場
で銃殺になるわ。」
「・・・・・メンテや整備はどうなるんだ?。」
「整備に関してはうちにもメカニックがいるから問題はないけど、機体や弾薬等は自分で購入することになるわね。でも本田君の場合は現役だから
特別に機体をこちらで供給するわ。」
「機体は自分で選んでもいいのか?」
「もちろんいま本田君が乗ってるF15でもいいし、F14やクフィール(イスラエル空軍の主力戦闘機の名前)でもOKよ。」
「おれは、実のところをいうと・・。トムキャットに乗たいんだ。F15じゃなくて・・・」
「トムキャット・・・ああ、F14のことね。それじゃあ入ってくれるのね。」
そして光はバックからなにやら書類を取り出して、それを読み上げた。
「本田拓斗、金沢出身1981年生まれ、実家は宝蔵院槍術の道場で、14で免許皆伝、でもパイロットになることが理由で、中学卒業と同時に親に
勘当され、以来叔父の家から飛行機学校へかよってたそうね。」
「そこまでもう調べてあったのかよ。」
「エレメンタル・フォースの情報網を甘く見ないことね。それに飛行訓練学校時代はセスナの曲芸飛行で準優勝、そして浜松の航空ショーでも優勝
と書いてあるわね。即戦力だわ。」
「おれは、アレは優勝したとは思ってない、ブルーインパルスの事故がなければ、向こうが優勝だったんだ。だからオレは事故を起こしたパイロットの
墓前に優勝トロフィーを授けたんだ。」
「それが本田君のいいとこよ。どうエレメンタル・フォースに入る気はある?。」
「ああ、だが条件がある。」
「条件・・・聞かせてもらおうかしら。」
「オレの親友山波裕人をエレメンタル・フォースに入隊させること、それが条件だ。出なきゃオレは入らない。」
「わかったわ、約束する。とりあえずこれを渡しておくわ。」
「なんだこれは?。」
「わたしの紹介状がはいっている。君には総帥にあってもらうわ。」
「いつその総帥に会えばいいんだ?。」
「本田君が会いたいときいつでも、そうそう・・・山波君といったわね。彼はいまどこにいるかわかる?。」
「多分、小松基地にいるんじゃないすか?。」
「本田君はなんで東京へ。」
「休暇で上京しただけっすよ。」
その後タクトは書類にサインをしエレメンタル・フォースに入隊することになった。
時は戻り2001年9月
「そんなことがあったのかよ。前に聞いたときは、首絞められることなんて聞いてなかったぞ。しかもお前が入る条件はこのオレをスカウトすることもな・・。」
「すまん・・・ユートでもこうしなけりゃ、お前もここには入らなかっただろ。」
「ま、いいけどさ・・。おかげでオレは今はエレメンタル・フォースに総長にまで出世した。タクトも治安維持部門の海上部隊統括だろ。」
「ああ・・・。」
「で、おまえ10月まで泊まるとこどうするんだ?。」
「また新宿の公園に野宿さ。以前東京へいったときそうしてた。」
「風呂はどうしたんだ?。」
「ネットカフェのシャワールームつかってた。」
「ホームレスか!!おまえは・・・。泊まるとこないんだったら、基地へ行って泊まれよ、たのむからホームレスみたいな生活はやめてくれ!!。
エレメンタル・フォースの恥だ!!。」
「すまねえな、ユート。」
「それから、どうなったんだ?。」
「あれから、光に買い物をつき合わされたな。」
「買い物?」
「自分の姪にお土産を買うとかいってた。」
時は戻り2000年9月、タクトは光のフェラーリF40の助手席に座っている。
「私にはね、いま5つになる。姪がいるのよ。」
「姪?。」
「私の一番上の兄貴の娘よ。そしてその母親は私の所の総帥の実の姉よ。」
「マジッスか?。」
「本田君は泊まるとこはもう決めたの?。」
「あ・・、いやまだ決めてないんです。」
「一日ぐらいなら泊まっていってもいいわよ。」
「いま実家は姪と覚兄様そして勇美義姉様しか住んでないのよ私もたまにここへ泊まることもあるんだけどね。あと、2番目と3番目の兄貴もいたん
だけど、今は近所に引っ越していないのよ。」
「獅堂さんの実家は剣道の道場なんですね。」
「そうよ。私も中学でるまでは、ここで鍛えていたからね。」
タクトはおそるおそる光に実家の玄関へあがった。
「どうやら、義姉様も覚兄様も留守みたいね。きっと望と一緒にでかけた見たいね。」
「望?。」
「わたしの姪の名前よ。この部屋をつかっていいわよ。ここはかつて総帥がここで下宿していた部屋なのよ。」
「総帥は数年前はここにいたんですか?。」
「ほんの一時ね。私が東京タワーへ行く前日にここをでて行っちゃたけどね。」
タクトは元龍崎の部屋で横になるのだった。
それからまもなくして、覚たちが戻ってきた。
「あれは、光のF40・・・戻ってきてるのか・・。」
「兄様お帰り。」
「光かめずらしいな。」
「あした。また出かけるけどね。」
「どこへ行くんだ。」
「小松よ。仕事でね・・。」
「このあいだフランスから戻ったばかりなのにご苦労なことだな。」
「光、弟は元気にしてる?。」
「龍崎さんは多分家でゴロゴロしてると思いますよ。」
「仕事がないときはいつもああなんだから、光にみんな押し付けて・・・・。」
「龍崎さんはあれでも、あっちこっち奔走して、仕事を持ってきてくれる人なのよ義姉様。」
「あ、どうも。」
「君は?。」
「私の友人本田拓斗君よ。彼は航空自衛隊のパイロットなのよ。」
「お兄様とお義姉様にはお初にお目にかかります。自分は航空自衛隊小松基地第306飛行隊所属の本田拓斗3等空尉と申します。」
「ほう自衛隊のパイロットそれはすごいな。」
「兄様、今夜だけ本田君を泊めてもいいでしょ。」
「光がそういうなら、私は何も言わない。」
タクトはこうして一晩光の実家に泊まることになった。
翌日タクトは光に東京駅まで送ってもらっていた。
「ここでしばらくのお別れね、本田君。私はこれから、金沢へ行くのでね。」
「山波にあうんですね。」
「そうよ。じゃあまた会いましょう。」
光のF40はタイヤを空転させて、東京駅を後にした。
時は再び2001年9月
「そのあとまた新宿へいって野宿か・・・。」
「他になにもすることなかったんでね。そのあと上野でもブラブラしてた。」
「おまえがオレよりも先に光に会いしかも実家に泊めてもらったとはなあ。」
「そういうおまえだって、光の別荘に先に泊まっただろ、おあいこだよ。」
「で、10月まですることないんだったらオレの仕事手伝えよ。やることは山ほどあるぞ。」
こうして、タクトは10月まで山波の仕事を手伝うことになる。
続く
管理人:PN.らくがきねこ
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