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第89話、再びクーカイファウンデーションへ

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エレメンタル・フォースの基地ではいま午前3時をまわっていた。部屋からジャージを着た山波がでたきた。
そして隣からもあくびをしながらジャージを着たタクトが現れた。
「よう、ユート。」
「やあタクト!!。」
「今日は少し寒いな・・。」
「ああ・・。」
山波とタクトは基地内の室内トレーニング場へ足をはこんだ。他の治安部門部隊の隊士たちがロードワークしている姿が見える。
「じゃあな、朝飯であおう。」
そういうとタクトは走っていった。山波もロードワークを始めた。
エレメンタル・フォースの治安部門たちの隊士たちには入社時の研修以外は義務付けられた体力訓練は原則としてない・・・
与えられた仕事と任務を完全に消化する能力さえ保有していればそれでよいのだ。それができなかった場合は・・自分の死に
通じるだけだ。
毎朝8〜20キロのロードワークと数時間のトレーニングがその命をつなぎとめている。それは義務ではなく、好きでやるわけでもない・・・
ただ、死にたくない、生きたい・・・その気持ちがそうさせているのに過ぎないのであった。
ロードワークの中には光や龍崎たちの姿もあった。
そして隊士食堂に部隊は変わる。山波は戦闘装束に着替えていた。他の隊士たちも治安維持用の制服が目だっている。そのなかには
紺色の制服を着たタクト、緑色の制服のエリーそして紺色の制服を着てめがねをしたアルシオーネの姿もあった。
そこへ山波と同じ戦闘装束を着た光が自分の食事をはこんでいた。髪はおろしたままであった。
「山波君、そこの塩をとってくれる。」
「投げるぜ、いいか?。」
山波は光へ塩のビンをなげ光はそれを受け取った。
「ありがとう。」
塩をとった光は空いてる席へ座っていった。山波のそばにエリーがきた。
「山波さん、いつも変だと思っていたのですが・・・龍崎総帥と獅堂代表も我々と同じ食事を取っているんですね。」
「どうして変なんだ?。」
「だって普通・・・軍隊じゃ兵士と士官じゃ食事も食堂も区別されてるんでしょ。」
「らしいな・・・オレが小松にいたころもそんな感じだった。」
「なのに、ここじゃみんな同じところで同じ食事でしょ。」
「そうだ。ここは普通の軍隊とは違うのさ・・総帥も光もオレタチと同じ比重で命を危険にさらしている・・・それに・・・総帥と光は自分だけがいい
食事をしようとはしない主義さ。」
「そうなんですか・・・。」
「早く食えよ、あとがつかえてんだから・・・ま・・・みんなより個性的な食事がしたけりゃエルザ号のマシューズのとこへ行くんだな。」
「マシューズ船長のとこ?。」
「自慢の料理を食わしてくれるさ。」
ここはエルザ号の男性キャビンマシューズとトニー、ハマーそしてケイオスが食事をとっていた。
「たーっ、豆かよ!!もっといいもんでねぇのかよ!!。」
「そーっすよ!!。」
「文句があるなら食うな。・・・いいか、トニー、ハマー・・・豆は栄養があるんだ。豆食ってるだけで人間、死にゃしねんだ。」
「でも朝も豆、昼も豆・・・夜も・・・豆ばっかじゃ力もでねェよ。」
「長生きすりゃそれでいい。」
「オレもエレメンタル・フォースの治安維持部隊に入ろうかな・・・金もらえて・・戦闘機やエイグスなどに乗って・・・それこそ豆ばっかりのメシじゃないし。」
「勝手にしろ・・・。ただひとつだけいっておくが、おまえがエレメンタル・フォースの治安維持部隊にはいったら、二日目で葬式がでるぜ。」
山波はそのころ光の自室に呼ばれていた。光は黒色(ゼノサーガカラー)のビジネススーツに着替えていた。
「これから、私はクーカイファウンデーションへいかなければならなくなってしまった。私が留守の間エレメンタル・フォースの指揮を山波君にお願いしたい。」
「それはこの間、電話で聞いたからわかるが、クーカイファウンデーションへいったい何しに行くんだ?。」
「新しい隊士と顔合わせにいってくるのよ。」
「また新しい隊士をとったのか今度は誰だ?。」
「城乃内最、18歳、神奈川の商業系の高校生よ。もっともまだ高校生なので、ここへはつれてこれないけどね。」
「光だって高校のころ神羅(※FF7より)で龍崎総帥のもとにいたのだろ?。」
「あのころはまだエレメンタル・フォースはなかったし、それに私の場合は学校生活以外はすべて神羅で寝泊りしてたけど、ジョーにはそれは無理よ。
川崎の話だと、”研修”のやりかたに不服を言ってきたというし・・・・。」
「研修?。オレがここへきたときはそんなのなかったぞ。」
「山波くんの場合は現役の自衛官だったでしょ、だから即戦力だったので研修は免除なのよ。」
「なるほど。」
そこへ明里がきた。
「獅堂さん、いつでもクーカイファウンデーションへ出発できます。」
「わかった、今いく。それじゃあ山波君留守は頼んだわよ。」
「まかせておけ、総帥もいることだし。」
光はエルザ号にのりこんだ。
「マシューズ船長、おねがいね。」
「あんたもホント忙しいひとだな。まいいけど。」
エルザ号はクーカイファウンデーションへ向かって飛び立った。
城乃内は川崎の操縦する、異次元航行船に乗ってクーカイファウンデーションへむかっていた。高校の制服を着ている。
「こんな乗り物があるなんて・・・・。」
「驚いたかい、でもこれは異世界で作られたものなんだ、今の我々の文明ではまだコレを作ることはできない。」
「こんな凄い乗り物があるのになぜ公表しないで隠したがるんですか。」
「君はサンダーバードって作品をしっているか?。」
「聞いたことはありますけど・・・。」
「それと同じだよ、こういった物が何者かに悪用されてしまうと、我々の仕事ができなくなってしまうんだよ。だから異世界と貿易はおろか
治安を守るということは現実世界においては秘密としているのだよ。もっとも政府のトップクラスや自衛隊の上層部は暗黙の了解だけどね。」
エルザ号は既にクーカイファウンデーションへ到着していた。空港では鈴木が迎えにきていた。
「おまちしていました。獅堂代表。」
「鈴木、また厄介になるわよ。」
光と鈴木は握手を交わした。
「ミルチア宙域でなにか変わったことはあった?。」
「スキエンティアという地下組織が帝国と手を組んだぐらいですかね。」
「スキエンティア?。」
「よくはわかりませんが、帝国と組んでいるということは油断はできませんね。あと岩崎からの話だと帝国の将校にスキエンティアの一員が
いるというのです。」
「誰かはわかるか?。」
「ドクトゥスという女性将校だと聞いています。しかも驚かないでください。フルネームはドクトゥス・レイナード、以前代表を襲ったあのセビル・
レイナードの実の妹だというのです。」
「あのセビルの妹だと!!。」
「そうです。岩崎がそこまで調べてくれたのです。」
「そのレイナードという帝国の女性将校はきっと私を憎んでいるだろう、私はセビルをこの手で殺したのだからな・・・。」
「監査方の岩崎は本当にすごいですね、どこからこんなネタを仕入れてくるのか・・・・。」
「岩崎には今帝国の本都にもぐらせている・・・。」
「大丈夫なんですか?。」
「彼は変装が得意だ、そう簡単につかまったりはしない。」
そしてクーカイファウンデーション支部のビルに光たちは入った。代表室に光はいる。
「またここへ戻れるとは思わなかった・・。でも帝国との戦いは終わっていない・・一刻も早く終わらせたい・・・。」
帝国との戦いは2002年の2月末に終わるのだが、エレメンタル・フォース治安維持部隊は大勢死んでしまうのだ。まだここでは戦死者はふせて
おく。
そのとき内線がなった。
「私だ。」
「鈴木です。城乃内最という方がお見えになりました。」
「代表室へとおしてあげて。」
「わかりました。」

続く
管理人:PN.らくがきねこ

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