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完結篇(4)

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そして光は中に入る。
「(ほう・・・・レイナードが下座か・・・それに芸者を・・・たいそうな気の使いようね・・・)。」
光は席につく。
「(この女・・・前よりもまして貫禄がついている・・・)。」
芸者が光に酒を注いだ。
「(あの観艦式以来か・・・。)」
光は酒を飲みながらレイナードを見ている。
「(おのれ・・・人間風情が上座に座って真っ向から私をにらみつけるか・・・。)」
光はただだまってレイナードを見ている。
「(・・・だがここはこらえろ・・・・異世界の平和のため説き伏せねばならんのだぐっとこらえて・・・。)」
「・・・・。」
「き・・・・貴殿が・・・成し遂げた業績には、まことに敬・・・・敬服・・・・(言えるか!!くそっ・・・・ましてこいつは私の兄さん(セビル)を殺した張本人
そいつに、この私がへりくだった世辞なぞ言えるか!!)」
隣の部屋ではマシューズとトニーが除いている
「(・・・どうした・・・レイナードがいいかけてやめ・・・また黙ってにらみ合ったままだ・・・。)」
「(船長・・・・なぜズボンを脱いでるんすか・・・!?。)」
「(とにかくどちらにもしなれてはこまる、殺し合いになりかけたら飛び込んでいってとめてみせる命をかけても・・・そこで俺の一演説が勝負を決めるが・・・
必ず説得してみせる!!・・・片陣営だけでは優劣が決まるが、両陣営ならけん制しあい逆に争いを止めやすい・・・この先の異世界の未来がかかっている命がけの勝負だ!!)。」
料亭庭レイナード側
「ドクトゥスが障子を開け放つのが遅れて間に合わないことも考えられる。」
「よしもっと近づこう。」
料亭庭エレメンタルフォース側
「もっと近づこう、ここでは飛び込むまでに時がかかりすぎる。」
「おう、そうしよう。」
そして会見の間では食事が出され、光もレイナードも黙々と食べている。
そして光がいう。
「芸者さん、あちらへ酌を。」
「はい。」
レイナードは杯をとろうとするが手が震えてうまく握ることができない。
「私は自分で勝手にやる、向こうの酌をしていろ・・・。」
光は無言でレイナードをにらむように見つめている。
「(この女・・・・いつまで黙ってにらんでいるつもりだ・・・やはり私を撃つ気か・・・苛立たせ、私が立ち上がったときを撃つつもりか・・・。」
一方障子裏ではトニーとマシューズがそのようすを覗いている。
「船長どうなっているんです?何も声がしないがどっちも話を切り出していないようだが・・・。」
「にらみ合っているだけだ・・。」
そして場はふたたび会見の間に・・・。
「(・・・海ちゃん・・無念だっただろう・・・、風ちゃんくやしかっただろう・・・おまえたちのかたきが今、私の目の前にいる・・・・。因縁だな・・・レイナード・・・。)」
光の心臓の鼓動が高まっていくのがわかる・・・。
光とレイナードはずっとにらみ合いが続くそのときであった!!。
「シドー!!、おまえを上座に座らせ、スキエンティア代表の私が下座に座る、これをエレメンタルフォースのお前のまえにひざまついたととるか!?。
それは断じて違うぞ!!、いいか、おまえは馬だ!!。」
「馬!?。」
その言葉に光は驚いたようすだ。
「スキエンティアがオートザム、クーカイファウンデーションに並んで走るためにはおまえという馬に乗る必要がある、この私が乗りに来たのだ!!。」
光は何も言わない・・・。
「スキエンティアはおまえの協力を必要としている、獅堂光!!、我々のためにこの私を乗せて走ってみろ・・・!!。」
「・・・・ひとつ聞きたい・・。」
「・・・・なんだ?。」
「帝国の人間がなぜ、私にとつぜん会見をしてきたのか?。」
「私は帝国の人間だがスキエンティアの人間でもある、シドー、おまえはアコード・マキシマを知っているか?。」
「アコード・マキシマ?。」
「奴は帝国の実権を事実上握っている、しかも奴のやろうとしていることは異世界の支配ではなく、帝国はおろか異世界そのものを滅ぼそうとしている、奴がもしそれを実現させたら・・・。」
「次は私たちのリアリティの世界というわけだな。」
「そうだ、私はアコード・マキシマを倒して異世界を救う希望がエレメンタルフォースというなら、我々はエレメンタルフォースを支援しようというわけなのだ。」
「なるほど。・・・」
「私は帝国にいたころ、エレメンタルフォースの多くの仲間を死なせてきた、しかし戦局が変わってきたのだ、蜂須賀4兄弟が倒され、ジェノサイドトループスが滅んだいま
戦局はふたたびオートザムに流れ出した、そこで今度はかつて魔法騎士として異世界で名を馳せたおまえの協力が必要となった、たしかに虫がいい話だろうしかしこれも時勢だ!!。」
「・・・・席をはずしてくれないか・・・。」
「!!。」
「は・・・はい・・・。」
「(う・・・撃つか私を・・・。)」
芸者は席をはずして外へでようとしたそのとき、外にはドクトゥスをはじめスキエンティアの兵士が潜んでいるのを目の当たりにした。」
「・・・・し・・・獅堂光代表・・・。」
「わかっている、障子をしめて下がっていなさい・・・。」
「・・・・はい・・・。」
芸者はそういって席をはずしていった。
「(・・・こいつ私の部下が潜んでいることを知っていたというのか・・・それでもこの私を撃とうというのか・・・。)」
そのころマシューズは服の上も脱ぎ始め、障子越しに・・・。
「(芸者をはずして撃つ気か・・・赤毛の姉ちゃん・・・。)」
光はキツイ表情でレイナードをにらんでいる。
「(くそ、気押されてなるものか!!、私はドミニク・レイナードだぞ!!)」。
そのときであった、ユートたちは庭から上がりこんでいるときに音を出してしまったのだ。
「(何っ!?・・・)。」
「・・・・。」
「(そうか・・・なるほど・・・こいつは部下を呼び寄せて、私を撃った後のわが身を守ろうというわけか・・・)獅堂光!!おまえはその程度の人間か!!。」
「ん!?。」
「おまえは私怨を越えられない器か!!、私は私怨を越え、帝国将校としてではなく、スキエンティア代表としてお前と話しに来ている!!。」
「・・・・・アコード・マキシマのこと詳しく説明してくれないか?。」
「・・・・・。」
マシューズは心臓をドキドキさせながら光の会見をのぞきこんでいる。
「・・・・奴は魔神兵をどんどん量産させている。」
「魔神兵?。」
「ただしくはマキナ・トループスだ。これは戦死した兵士の脳などを摘出させ機械と融合させて作り出した兵士といってもいい。」
「マキナ・トループスなら知っている、あれは通常兵器では倒せない厄介な敵だ。」
「そうだ、そのためにエレメンタルフォースはブラスターキャノンという武器を開発して戦ってきたのだろう。」
「・・・。」
「本題にもどるがマキシマはそのマキナ・トループスをつかって帝国をのっとり皇帝やお前の父までも亡き者にしようとしているあの男は危険だ。」
「それは本当なのか?。」
「私はかつてマキシマに自分が任務を失敗したとき暴行を受けたことがある(※94話参照。)。そこで自分の分身を作り私は『眠り』についた、私の本当の名前はドクトゥスではなく
ドミニクという、ドクトゥスというのは仮の名に過ぎない、そこでアンドロイドにマキシマを監視させていた、今では私の秘書としてスキエンティアに戻っている。」
「そうか・・・。」
「スキエンティアはこれからアコード・マキシマを倒すため軍艦を何隻も、対マキナトループスの武器も買い入れ、オートザムやクーカイファウンデーションをもはるかにしのぐ
強い組織にする、いや必ずする!!。そのためにこの第2ミルチアやクーカイファウンデーションで交易商売をし軍資金をかせぐ、おまえがしていることもいろいろ調べさせて
もらった・・・。」
「・・・ほう・・・。」
外ではユートたちやレイナードの部下がたがいに様子を伺っている。
そしてマシューズも・・・。
「獅堂光!!、お前という馬は私を乗せてオートザムやクーカイファウンデーションとの橋渡しに奔走するだけじゃなくて、スキエンティアが軍艦や武器を買うのにもまたスキエンティアが
クーカイファウンデーションやミルチアでする交易商売にも、この私に協力をしろーっ!!。」
光は膳を横へずらした。
「私を撃つ気か!!。」
その言葉に外にいるレイナードの部下たちは驚いていた。そして光は立ち上がりレイナードに近づこうとしたそのときであった。ユートたちとレイナードの部下らが
障子をあけ一斉に踏み込んできたとき、横から一糸まとわない姿のマシューズが割り込んできたのである。
「待ったーっ!!。」
「ああっレイナード代表!!。」
「どけーっ!!。」
するとドクトゥスがマシューズをはらいのけてこうさけんだ。
「レイナード代表!!。」
しかしよく見ると光はレイナードと握手をしているのであった。
ユートたちとレイナードの部下はにらみ合っているが・・・。
「おまえ、なかなか見所がある、気に入った。」
するとエリーが、
「あーっ!!。レイナードを撃っていない握手をしている!!。」
「なんだと!!。」
そして光はレイナードのところへ寄って・・・。
「今夜は顔繋ぎ、相談事はまたにしよう。」
タクトとエリーは今にも怒りが爆発しそうになりながらもこらえて光をにらみつけている。そして・・・。
「異論は外で聞くぞ、私の話も聞け。」
光はタクトとエリーの肩を組みながら退場しようとする。
「さあ、皆ここは引き上げよう。」
光たちは料亭の外へ移動する。
「獅堂中佐!!。」
「わかっている、ここを出てからじっくり話し合おう!!。」
するとさっきの芸者が光のブーツを持って走ってきた。
「獅堂代表、お履物を・・・。」
「すまない・・。」
「・・・ほっとしました・・・。」
「修羅場とならずにすんだのは、あなたという花が互いの殺気を鎮めてくれたおかげだ、ありがとう。」
「・・・。」
「さあ、行こう・・・。」
芸者は深々と頭をさげていた。そして場所は会見の間になるそこにはレイナードの部下たちがいる。
「獅堂光は協力するということか・・。」
「そうだ・・・たしかに手を組むといった。」
「そうだ、この私が説き伏せたということだ、はははは・・・。さて我々も撤収するとするか・・・。」
しかしレイナードは腰が抜けていて立ち上がれない。
「レイナード代表、どうかされました?。」
「あ・・・いや・・・(立てないぞ・・・まさか腰が抜けた!?)い・・・急ぐことはない・・・もうすこしここで飲んでいこう酒を・・・(なんて女だこのドミニク・レイナードの腰を抜けさせるとは・・・)」。
そして場面は料亭近くの川原にうつる、そこには光と山波たちがいる。
「おまえたちの言いたいことはよくわかっている、私の親友をころしたセビルの妹ドミニクと手をくむとはどういうことか!!、獅堂光は親友の思いを踏みにじった裏切り者とも思って
いるだろう・・・しかしそれは断じてちがうぞ!!。」
エリーがたずねてくる。
「どう違うというのですか!?。」
「まず『かたき』と言うならば、ドミニクにとっても兄であるセビルを私はこの手でころした、だから思いは同じ!!、ドミニクは我々の仲間を多く殺したというが・・・それを命じた大本は
皇帝とアコード・マキシマだ!!。」
「・・・・。」
「ところがどうだ、皇帝を敵討ちできるか皇帝をころせるか!?」
「・・・・。」
「だが、殺さなくても倒すことはできる、それは帝国本都を攻略し降伏させ皇帝を失脚させた上で捕縛し身柄をオートザムへ引き渡すことだ、その討伐勢力にオートザム、
クーカイファウンデーションにスキエンティアを加えることができるかどうかはスキエンティアの代表でもあるドミニク・レイナードの器量にかかっていた、私は今夜、それを確かめるのが
目的だった。レイナードがとるに足らん人物ならその場で射殺することも考えた、私は今夜ドミニク・レイナードという女を真剣に観察した!!・・・・・があれはあれでなかなか度量の
ある人物とみた!!。レイナードを動かせばスキエンティアは間違いなく大きな帝国討伐勢力になる、いや私がしてみせる!!。」
「・・・・・・。」
そういって光はその場を去っていった。
「光・・・・。」
「おれは認めねえ・・・・光が帝国の人間と手をくむなんて・・・・。」
タクトはそういうがエリーは。
「でも、よく考えたら獅堂さんのいうことももっともだと思う。」
「ユートはどうなんだ?。」
「俺は何も言わないよ、光にはそれなりの考えがあるんだろう・・・」
「俺はマキシマをこの手で倒す、奴には貸しがあるしな・・・・・。そして光とは口なんかきいてやるもんか!!。」
第2ミルチアの夜は更けていった。

続く
管理人:桜ヶ丘うーくん

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