このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




石炭積み出し

世界でも有数の産出量を誇る三池では、その掘削、選炭、貯蔵、運搬にあたって、それぞれ大がかりな設備を配備し、非常に高い効率で運営していました。
ここでは、それら設備のなかから現存している貯炭場と積み出し施設を紹介いたします。
現在、三池鉱業では、海外からの石炭を輸入していますが、ここで紹介しますエリアと装置は使用していないようです(三池炭鉱万田坑資料館学芸員取材に基づく)。

貯炭エリアに残る、巨大ローダー。
巨大なアームで、石炭を積み上げたり、あるいはすくい上げてベルトコンベアへ流す役割を持っていました。

ホッパー
ベルトコンベアで運ばれた石炭を貯蔵、さらにこのホッパーの下に配置してあるベルトコンベアに落とします。
ここでは2連のホッパーです。
三池では大きなホッパーを幾つも持っていました。跡地に残っているホッパーをみても、如何に大がかりなシステムが構築されていたかが伺えます。掘り出された石炭はグレード別に選炭されました。三池では巨大水槽を用いた効率の良い選炭装置をもっており、また巨大な搬送システムを持っていたので、貯炭場にもグレード別に石炭が積み上げられていたのではないかと想像します。
また顧客の使用目的により石炭の性質を選ぶ事が出来るだけでなく、さらに顧客要求に合わせてこれらをブレンドする場合もありました。
そのブレンドに於いても、ホッパーが活用されたのです。
予め性質の違う石炭をホッパー毎に充填、ベルトコンベアで積み出しながら異なるグレードの石炭をベルトコンベアに落としていく事でブレンドを行ったのです。

例えば、写真のものは2連ですが、これにそれぞれブレンドを行いたいグレードの石炭を入れておきます。
写真では見えませんが下にベルトコンベアが位置しています。
そこへそれぞれのホッパーからスピードを加減しながら石炭を落として行くことで、ベルトコンベア上に2種類のブレンドが出来るわけです。
実際には、横並びのホッパーだけでなく、広くベルトコンベアで搬送しながらブレンドが行われたようです。
つまり、出荷の運び出しを行いながら、同時に顧客注文の対応を実施出来たのです。


ベルトコンベアーのアップです。
随分と厚みのあるベルトですが、こうした大きなローラーでテンションを保ち、稼働していたようです。

ベルトコンベアが四方から集められています。ベルトコンベアは平らに移動していくのではなく、斜めに昇りながら運搬を続け、そして次のベルトコンベアへ落としながら運搬を引き継いで行く様です。

三池炭鉱は高カロリーで無煙という非常に優れた石炭を産出しました。
が、例えば火力発電所ではこの高カロリーが災いし、そのままでは使用出来ませんでした。
これは石炭を焚く釜までもが焼けてしまうからで、時には穴が空くことすらあったことによります。
そこで、火力を調整するため、火力に差のある石炭をブレンドし、燃焼を調整しやすくしました。
さらに高カロリー石炭は灰が粘土質で煙突や釜の内側にくっついてしまうという欠点がありました。
これも別のグレードの石炭をブレンドし、さらさらした灰にして釜から取り除きやすくすることも出来たのです。
石炭というと、炭の固まりという印象から、こうしたブレンド調整があった事自体、やや意外な気がします。
ですが、ガソリンもハイオクなどオクタン価を調整したりしますし、石炭でも同じ事をした訳ですね。

現存する石炭積み出しローダーの内の一つで、海の岸壁に位置しています。
貯炭エリアから伸びるベルトコンベアがローダーへ伸びています。
またこのローダーは左右へ移動する事が出来、水平に伸びるコンベアがその移動範囲となっていました。
ここでもベルトコンベアは次に引き継ぐベルトコンベアよりも高い位置に運び、次のコンベアへ落とす形で運ばれていきます。
先ほど、石炭のブレンドを複数のホッパーから落としながら行ったと書きましたが、こうした運搬のなかでそれなりに巧く混ざったのではないかな、と思います。


先ほどのローダーです。
横付けされる船に合わせてローダーが移動できた様です。
大きさがちょっとわかりにくいかも知れませんが、操作室が見えますので、それからご想像下さい。

隣接する、もうひとつのローダー。


沖合にある現役のローダー。
これを輸入の際に用いている様です。
離れているためわかりにくいのですが、地上5階はゆうにある巨大な物に見えました。
巨大な機械で大量に高効率運用という三井の伝統とも言えますね。


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