このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




富の原戦争遺跡

戦争遺跡
熊本県菊池郡泗水町で撮影。セメント製の給水塔です。
戦時中にはここに初等訓練を行う飛行場と陸軍航空隊の通信学校が有った場所です。
この給水塔はそうした施設の隅っこに建てられたものです。
現在は、宅地が並んでおり、慰霊碑と、機銃弾の跡を残す給水等以外、当時をしのぶものは何もありませんでした。

給水塔
戦後、この一帯は開墾され、広く牧畜や畑となり、さらに現在では住宅が建ち並んでいて、当時の名残はありません。
唯一、当時からある給水塔が残っています。これは現在も使用される、現役のものです。
町の史跡として指定を受けています。

給水塔 別の角度から
鹿児島にも同じく航空隊基地に同じ形の給水塔があったそうです。もし現存しているのであれば、見に行ってみたいものです。

機銃痕
戦時中に受けた米軍の艦載機による機銃掃射の跡が残っています。
壁に穴が空いているのがおわかり頂けるでしょうか。

クローズアップ
大戦中に米軍の艦載機による機銃掃射で空いた穴です。
当時の艦載機は12.7ミリ機銃を主に搭載しており、この穴もその機銃によるものと推測されます。
この銃は、今日も米軍を中心に使用が続けられている非常に強力な機関銃です。
大戦中の米軍戦闘機はこれを6門も搭載しており、日本軍機はほんの一撃で火だるまになっていました。
セメントに混ぜられた砂利もうち砕かれ、割れているのが見えます。

給水塔基礎部内側
給水塔は、上のタンク部分と、下の6角形の部屋とで成り立っています。部屋の中を窓から見たところですが、特に中には何もありません。
中央の窓の淵に、先ほどの機銃弾の穴が見え、貫通しているのがわかります。貫通した弾が内部のどこへ飛んだかは確認できませんでした。貫通した後で、炸裂したのかもしれません。
対戦中には、当時敵国であった米軍の艦載機が、我が物顔で日本中を低空飛行し、あちこちを機銃掃射しました。この写真にあるようなセメントにぱっくりと穴を開ける威力の弾が、あちこちに降り注いでいたのです。
NHK特集の歴史ものでも、その様が飛行機搭載のカラーフィルムで撮影され、逃げまどう市民の姿も写っています。またインターネットの掲示板にも、米軍の艦載機で撃たれた話しは、祖父母から聞いた話しを中心に多く投稿されています。
「頭上をかすめる低空飛行の米軍機パイロットと目が合った。」
「小学校帰りに、撃たれてはらわたの吹き飛んだ弟を抱き上げたが、何もしてやれなかった、と祖父から聞いた」
「昼寝をしていたら表で大きな音がして、飛び出してみたら大好きだった祖母が撃たれて血の海だった。」
実に多くの悲劇があったようです。

門の跡、及び衛兵詰め所跡
門と衛兵跡。
画像左に木々に埋もれそうな四角い柱が門柱です。随分大きな門だったんですね。
衛兵が控えていた小屋は兵隊さん一人分の椅子を置く広さがありました。二人は無理ですね。
この8角形のものは標準的なものだったのか、写真や漫画で多々登場しています。

慰霊塔
給水塔から離れたところにある慰霊塔。
戦争当時、全国から若人がここへ集まり、そして多くが戦死し故郷へ帰ることが出来なかった様です。
この一帯の撮影に先立ち、哀悼と平和の感謝を捧げてきました。

鎮魂
それぞれ
『陸軍航空通信学校菊池教育隊跡』
『第三航空教育隊西武九十九部隊跡』
とあります。二度訪れましたが、花が常に添えられています。

落下傘訓練場跡付近
この場所から南に数キロはなれた熊本県菊池郡合志町に、戦時中の落下傘訓練地があります。先の富の原の飛行場からも訓練で飛んできたのではないかと思います。
空からふわふわと降りる落下傘は遠くからも見ることが出来たそうです。また見物に訪れる人も多かったとか。
現在は自衛隊演習地となっています。
当時は訓練の為に空から見える何らかの表示があったと思われますが、現在名残はありません。

撮影場所
地図を参照下さい。
熊本市から菊池市へ抜ける道路を吉富郵便局から曲がります。ここには泗水町の看板と、小さく慰霊塔の看板があります。
http://www.mapion.co.jp/c/f?grp=all&uc=1&scl=25000&el=130%2F47%2F34.866&pnf=1&size=500%2C500&nl=32%2F55%2F56.247
上記アドレスから、縮尺の変更やスクロールで場所を確認ください。右下のが給水塔、真ん中の慰霊塔、左端のが鎮魂碑です。
給水塔は民家に隣接しておりますので、訪れる際は近所の迷惑にならないように願います。


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