| 皆様は、戦時中の逸話として、松ヤニなどを集め、航空機の燃料にしようとしたと伺われたことはないでしょうか。
これは、実際に全国で展開されましたものです。
こちらに紹介しましたポスターは松の木の根を掘り起こして松の成分を取る運動を呼びかけるものです。
あるいは松の幹に切り込みを入れ、松ヤニを集める活動も展開されました。
ポスターには、陸軍省、海軍省、農商省、全国農業経済界とあり、まさに総動員だったことが判ります。 |
| |
|
|
| 戦時中に松脂を回収した痕跡が幹に残るものを撮影しました。
撮影は、かつて戦時中に松根油の加工を行ったとされる宇部油化から直線で数キロの位置です(宇部常磐公園敷地内)。 |
| |
|
|
| 写真の中央に、矢印を下向きにした様な傷が見えます。 |
| |
|
|
| 写真ではわかりにくいので、模式図と平行して書き出してみました。
左下に木のこぶがあるためわかりにくのですが、矢の羽の様になっています。
中央に盾に深い傷が、そして左右に斜めに傷が付けられています。これら斜めに付けた傷からしみ出した松脂が中央へ流れ、そして下へ流れる様になているのが判るかと思います。 |
| |
|
|
| 松根油につきましては、こちらのウエブサイトに詳しく紹介されていますので、ご案内致します。
http://www1.ocn.ne.jp/~susuma/pineoil/pineroot.htm
(こちらのウェブサイト内
http://www1.ocn.ne.jp/~susuma/bombing
/bomb.htm
)
これは中国新聞のシリーズ記事「緑地帯」を再編集したものです。
またこのシリーズは大変な労力を投入したものでもあり、貴重な写真も掲載された力作頁です。
ここでは、実際に松の成分を当時の方法で精製する実験が紹介されています。また、この実験を通じ、松からの航空燃料は、大変な工数がかかります事を除けば、実際に使える可能性があった事も紹介されています。
当時、石炭からガソリンを合成する技術も実用レベルにあったとされています。宇部化石(山口県宇部市)でも、石炭からのガソリン合成に取り組んでおり、充分な技術力があったものと考えます。
石炭からガソリンというと、意外に思われる方もおられるかもしれません。が、石炭を原料とした化学工業の歴史は古く、日本でも明治時代には石炭を蒸し焼きにして揮発する成分を原料とした染料や肥料を作っていました。
こうした合成技術により、当時の日本でも松の成分からガソリンを合成できる化学工業技術は充分にあったものと考えられます。
尚、先のサイトは、空襲を体験された方々の証言を記録する活動の一環でまとめられた物で、高齢の方々の手になる物でもあります事を併せて紹介致します。 |
| |
|