このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

探索日 2011.08.15
No.AO-062

磯谷線■佐井村 ■全線ダート
■県46号線(かもしかライン)「岩沢橋」付近からR338号線「磯谷」地区とを結ぶ

 鬱蒼と深く閉塞感漂う森の中を人知れず山越えするマイナー完抜けダート 

 ↓そのマイナーな雰囲気を存分に味わうためには雨天時にとまでは言わないで
 すが、どんよりとした曇り時がベスト。気の滅入る心細さが堪能できますよ…。


……こんな感じ……
■県46号線とR338号線とをショートカットするコースで山越えしている完抜けダート。土質と砂利質が混合したような路面は基本的には走りやすくて荒れやガレなどは見られないが、全線に渡って深く鬱蒼とした森の中を抜けてゆくことになる。展望の類や見所的なポイントはとくに存在せず、延長距離的には短くもないが長くもないといった感じで、同じ下北でもメジャーどころの完抜け林道とは一味異なったマイナーならではの閉鎖的な雰囲気が味わえるだろう。磯谷線は主要道路同士を結んで完抜けしているので、ピストン嫌いな方にも軽くお薦めできるが、途中に数本の名無し系が分岐しているので、道間違いにだけは多少の注意が必要となる。

■磯谷線は、陸奥湾に面した川内町から津軽海峡沿岸の佐井村とを結ぶ県46号線(かもしかライン)沿いにあって、川内町側からだと佐井の街並みに入る手前の左手に入口があります。その行き着く先は海峡沿いのR338号線で、 県道と国道とを山越えでショートカットするルートとなっており、川内村→佐井→仏ヶ浦方面と移動する場合には所要時間的にはともかくとして、ガスの節約(佐井での給油を行わない場合)および移動距離の短縮にだけは貢献する林道と言えるでしょう。ただし、林道探索者の立場からすればそれはどうでもよいこと。なのでそのようなことは深く考えず、降りしきる雨の合間を縫ってフラリとやって来たのが、磯谷線の林道標が唯一存在する県道側の入口です。
■磯谷線に入線すると、すぐに県道沿いに流れる大佐井川のコンクリ橋を渡ります。この橋を渡って前方の右カーブの先から林道区間が本格的にスタートするわけですが、その存在がほとんど知られていない未知なる「磯谷林道」、果たしてどのような1本であるのか実に楽しみな瞬間です。
→大佐井川の流れを眺める!
■大佐井川のコンクリ橋を渡ると、ダートは大佐井川の支流の沢沿いに進路をとって一路山越え地点を目指します。気になる天候はというと、降ったり止んだりを繰り返している状態にあり、どちらかといえば降っている瞬間の方が多いような気が…。しかし、それも一興というもの。防水対策は完璧なので、雨に濡れてしっぽりとした森の雰囲気を味わいつつ磯谷線探索を続行せん!
■「むぅ…?」雨粒に打たれて緑の鮮やかさの増した森の中を進んでいくと、このようなY字の分岐が現れました。左手は緩やかな勾配で登坂しており、一方の右手は草むしたワダチダートが濃厚な森の奥へとやや下るように延びています。地図にも記載されていない分岐であるので、初めてやって来ると少々迷ってしまいますが、右手は草むしたワダチが怪しすぎたので左手が磯谷線本道であると判断。 結果的にはそれで正解、左手が本道であったわけですが、 未知なる林道の探索ではそれと分かるまでのドキドキ感もまた面白さの一つであると言えましょう。
■先述の分岐は左手に進路をとってさらに前進、樹海と言ってもいいような自然林の濃厚な緑の中をひたすら一騎駆けにて進みます。ただしこの天候じゃぁ、周囲数キロ圏内の森に存在する人間はまずもって自分くらいなものでしょうね。
■ブナとかヒバとか樹木については詳しくないのでよく分かりませんが、磯谷線のダート沿いには、たとえ樹木の知識がなくても「ああ、これがそうなのか」と、それとなく分かるような豊かな自然林が展開していました。うむ、やっぱり下北の森は素晴らしいな!
■ただし、そのような森の素晴らしさに比例するかのように、ここでは双翅目が大量出現! すなわち、少しでも立ち止まろうものなら、あっという間に数十〜数百匹単位でまとわりついてくる吸血虫の代表であるメジロアブです。夏場の林道でしばしまとわりつかれるあの白黒のアブで、単独では活動せず必ず集団でたかってくる性質があり、吸血されると後遺症ともいえる激しい痒みが2〜3週間も続くとのこと。 画像ではまさに蚊柱状態でワ〜ンワ〜ンとまとわりつかれて襲撃を受けつつある状態なのですが、経験上から言えば、オフ装備をぴっちりまとってさえいれば吸血されることはまずありません。ただし、そのうっとおしさはかなりのものかと…。
■ものの数秒もすると、大量のメジロアブの群れに完全に取り巻かれてしまうので、そのつど逃げるように速攻でXRに跨って急加速にて場所を移動しますが、それでも低速だと執拗に追ってくるのがはっきりと分かります。どこの林道にでも出現するわけではないですが、夏場の明るい晴れた日などではとくにそれが酷く、夏場の東北林道での本当の脅威は、この実に厄介なメジロアブかもしれませんね。ま、これは一度体験してみれば分かるでしょう。
ワ〜ンワ〜ン。 もう慣れているので発狂することはないですが、どこまでも執拗に追尾してくるメジロアブの群れを引き離しては再び取り巻かれて…を繰り返しつつ、さらに山深い磯谷線を前進しますが、ふと気が付くとなだらかなサミットに到達。どうやらここで峠越えを果たすようです。
■峠を越えたので、その後はしっとりと濡れた緩い下りのワダチダートを前進します。磯谷線の路面はどちらかというと土質っぽいので、こういう天候の場合は足回りにペトペトと泥はねしてしまい、ブーツが茶色にコーティングされてしまいますが、それはもう諦めているので気にしません。
■さらに下っていくと路肩に木材が積まれた地点がありました。土場というには小規模過ぎて、磯谷線では本格的な伐採作業は行われていないようでしたが、それでもこのような細々とした林業作業の痕跡が見受けられます。
→周囲を眺める!
■小規模に木材が積まれていた地点から少し下って進むと、今度はこのような分岐が現れました。この分岐もやはり手持ちの県別地図には載っておらず、やはりただの作業道といったところかと。ここは悩むこともなく、そのまま下っていく直進側が磯谷線本道であるとすぐに分かるでしょう。
→右折側を眺める!
■正体不明の右折分岐を過ぎて、昼なお暗い鬱蒼とした森の中をS字カーブにて下って進みます。ただでさえ雨が降ったり止んだりのどんよりとした薄暗い状態なので、ここはもう夕刻を思わせるような暗さでしたよ。このような状況に場慣れしていない方だと、もうかなりテンションが下がって心細くなってしまうでしょうね。
■そしてまた無名の分岐地点です。さて、どちらに進んだものやら。地図上では1本道に記されていても、実際にはこのように無数の分岐が存在していることはよくあることであり、何かで急いでいたり、時間に追われていたりすると判断を誤りがちなので、慎重な見極めが必要でしょう。というわけで、ここは下っていく左手が磯谷線本道となっています。
■3箇所目の名無し分岐を過ぎてさらに下り坂は続きます。そこは一面に真新しい砂利が敷き詰められていましたが、昨夜以来の雨による流水の洗掘作用がはやくも発生しており、ダートはかなりズルズルとした状況に陥っていましたよ。慎重なハンドルさばきで横滑りを警戒しつつ進みます。
■ズルズルな砂利坂を下っていくと再び木材置き場と化した地点を通過。切り出された木材というのは、たいていの場合は筏状に組まれていたり整然と積み重ねられているものですが、ここでは短く裁断された丸太が投げやりかつ乱雑に積み重ねられていました。やはりこれはプロの仕事ではないのかも。これじゃぁ、搬出しにくいでしょうに。
■そんなこんなでスリッピーな砂利ダートを下っていくと、やがて道端にささやかな畑地と農機具小屋が現れて磯谷線のダートは終了。それと気が付かないうちに終点である磯谷地区の集落へとたどり着いてしまったようです。
→振り返る!
■農機具小屋の脇から始まる細い舗装路を集落の民家沿いに下って少し進むと、R338号線に突き当たって磯谷線は完全に終了となりました。磯谷線走破を無事に終え、そしていつものごとくデジカメ片手にまったりとしていると、通りがかりの一般車から向けられる「ヤツはなにゆえこんな場所にてデジカメを?」との視線をひしひしと。確かにここはそうであると言われなければ、林道の入口にはとても見えない地点なので、一般人から不審がられてもそれは仕方ないですけどね。あはは。
→探索終了!
→振り返る!

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