このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
王妃マリー・アントワネット
「ロココの女王」として名高い王妃マリー・アントワネットさまのお姿です。高く結い上げた髪型は、当時の流行で、文献に残っている作品名だけでも100種類はあるのだとか。ふわりと見えるのはダチョウの羽根でしょうか。ダチョウの羽根はとても高価なものでした。髪型は髪結い師によって作られ、土台を入れ、地毛に馬の毛などのつけ毛などを入れてボリュームを出しています。スターチ入りのポマードで固め、髪型が出来上がると、上から白い髪粉を振り掛けました。この頃に流行した髪形は奇抜なものが多く、高く結い上げた為に1人では支えきれずに使用人が棒で支えたとか、劇場の入場を禁じられたとか、様々なエピソードが残っています。
お召し物はローブ・ヴォラント。ヴォラントとは「翻る」という意味。宮廷衣装として愛用されたことから総称してローブ・ア・ラ・フランセーズ(フランス風ドレス)と呼ばれました。この細い腰はコルセットとパニエによって作られています。コルセットで体を締め付ける事により、押し上げられた胸元が強調され腰が細くみえるのです。コルセットは貴婦人達には欠かす事の出来ないお洒落の為の道具でした。王妃さまが、この窮屈なコルセットを外していた事が実家の母女帝に知れた時は、戒められたほどでしたし、「鯨骨のコルセットをつけて欲しい」とそのの素材まで指定している手紙も残っているのです。
髪型が天井に近づくにつれ、対比するようにドレスは横に大きく広がる傾向をみせました。王妃さまがお召しになられているローブは、横幅2メートルくらい。当然、体を横にしないと部屋には出入り出来ません。これらは朝、衣裳部屋の衣服の縮小見本が載っている台帳にピンでその布地を刺す事で選ばれました。下につけられたパニエは同じく横に広がっていますが、真横からみると前後の張り出しがなくすっきりした形であることが分かります。袖口にはレースのアンガジャントをつけています。アンガジャントはレースや麻布を何段も重ねた状態のものを指します。そして贅沢品であったレースのハンカチをさりげなくお持ちです。
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