このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

御田植えの祭
6月30日


境内の入口近くにある小さな斎田。
下社七不思議の一つに
「御作田の早稲」がある。
夏越の大祓の日に植えられた稲は
遷座祭(お舟祭り)には
神前に供える事が出来るとされる。
境内には茣蓙が敷かれる。
神官が行うのは年穀豊作の予祝の神事、
田作りの真似事だ。
鋤で土をならし、稲を植え、収穫する。
古い昔から変わらぬ形で伝承されてきた
諏訪における農耕の形なのだ。

春宮と秋宮の両宮に関わる神事の時には決まって同じ道を使います秋宮から下諏訪宿を通り、春宮へ。春宮からは大鳥居を抜け、魁町を過ぎ、秋宮へ。その界隈を三角八丁(さんかくばっちょう)と呼びます。御作田社はその両宮のちょうど真ん中に鎮座しています。祭神は一説に穂見大神。社名や神事からも農耕の神さまをお祀りしているのが窺い知れます。

6月30日ここでは御作田祭が執り行なわれます。通称「御田植祭」。神饌を伝供し、祝詞を奏し、田遊びの神事がそれに続きます。境内に広げられた茣蓙の上に立った神官は、これを田に見立て四隅を鍬や鋤で田土を起し耕しならします。そして束ねられた稲を植えるのです。2人の巫女は謡にあわせ田遊びの舞を舞います。その後で境内の鳥居の左側に作られている小さな斎田において白丁奉仕役(大総代の一人で田植え経験者がこれにあたる)で田植えを行います。植えられた稲は8月の朔日、神前に供える事が出来るという伝えがあります。旧暦6月30日は新暦で8月上旬から中旬、旧暦8月1日は9月上旬から中旬(*閏月・年が関係して年によって違う)。現在は新暦にそって神事が行われていますが、約一ヶ月余りでの出穂・収穫というのは、七不思議に数えられたのも納得です。余談ですが、「八月一日(朔日)」の別名は「ほづみ」。穂づみ、穂積み、つまりは稲の収穫が始まる日でもあるのです。

捧げた神饌は稲束や御神酒を始め西瓜やメロンなど様々。この中に寒天があるのは諏訪ならでは?と思いましたが、山の物だけではなく海の物も供える事のが習わし。
ここは古くは宮津古と呼ばれた地です。下社大祝の祖は崇神天皇の血をひく建五百武命といわれ、科野(信濃)国造となりこの辺りを統治したといわれています。かつて天武天皇が科野に行宮を置くことを考え、その有力候補だったのが筑摩(松本)だったといいますが、もしかしたらこの交通の要所でもある諏訪の地も候補に上がった事があったかもしれません。

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