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読書ノート 金達寿 対馬まで

書名 対馬まで 河出書房新社出版 1979年10月25日 初版印刷 10月30日発行。日高図書館蔵書。

目次—苗代川(民主文学)1966年、高麗青磁(世界)1970年、ある邂逅(文藝)1972年、対馬まで(文藝)1975年、備忘録(文藝)1979年。 

読後感「歴史認識の糧として評価できる作品は「高麗青磁」だ。当時の陶工たちの作り出す作品が日本に多く残したものは歴史的証拠として認められている。日高・飯能の釜で焼いたものがその周辺に広がっていったという認識は私には無かった。出土品に占めるそれはおそらく歴史を学ぶものの常識で、考古学の基礎を成していると思う。今後の作者の作品を読む基礎知識になった。 「ある邂逅」は北朝鮮の人間と思われる人物(作者の子供時代、一緒に遊んだ)との再会を纏めたもので(“懐かしさ”と現実に横たわる“お互いの立場”の壁)に挟まれた感情の記述。「対馬まで」は在日朝鮮人が祖国に渡れない「制限」があることを知った。韓国人が日本に来ることは日本人よりも困難であることは知っていたが、今はどうなっているのだろうか。また、在日一世の人々の祖国に対する感情に胸を打たれた。それは逆の立場に立てば良くわかる。私にとっては最初の海外旅行の終わりに、ドイツのフランクフルト空港で日の丸を掲げた日航機を見た際の感動を思い出した。最後の「備忘録」は在日朝鮮人組織に対する作者の見方が伝わる作品である。この作品を通して彼のフィルターがかかった朝鮮人感は私のそれと酷似していることに愕いた。 日本社会の中における朝鮮人の存在と役割、地位、日本人との競合部分が彼らへの差別の原因であること。これは同じ日本人社会の中にある差別と選別に「人種的差別」が加わっていることに注目。」

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