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東条英機と軍部独裁


書名 東条英機と軍部独裁(TOUJYOU HIDEKI To GUNBU DOKUSAI) 著者 戸川 猪佐武(TOGAWA ISAMU) 発行所 講談社 (KOUDANSYA) 定価 480円(税別) ページ数 343 ISBN4-06-183510-6 C0121 購入日 1999年02月01日 購入の動機 天皇制のもとで、東条首相をピークとする軍部独裁政権の台頭はなぜ始まったのか? 大日本帝国憲法のもとで議会 制民主主義が一定程度保証されていた当時において、政治のいきづまりと右翼の台頭とが始まり、翼賛政治体制が その基礎を作った。 東条内閣がつぶれ敗戦時の鈴木貫太郎内閣への議会人のたどった道のりはどうだったのか。これが購入の動機である。 読後感 戦後、岸内閣が日本とアメリカの安全保障を取り決めるキーパーソンになったが、彼は軍事政権化で経済官僚とし て政権の中枢にいたなどとは知らなかった。戦後、政権の中心を担った人々が当時、東条を囲む輪の構成員だった とは驚きである。アメリカは周到に戦後の日本政治をあやつり、資本家の利益を保証する権力構造を残したことが 感じられる。 また右翼政治家がきれいすぎるほど抽象化されていて、その資金的背景や背後関係についてまで触れられていない のはどうしてなのか。戦局の悪化に伴い左翼勢力が台頭しているなどという、文中登場人物の独白などが気になった。 これは治安維持法下において、自由主義者さえ弾圧した歴史があり、独裁者は追いつめられると狂気の心境に陥る ものだということをあらためて感じさせた。 登場人物はすべて実在の人々であるし、史実に忠実ではあるが、はたして文中の言動は本当なのか? 作者の執筆 姿勢を良く知らないのでいちおう疑って読む必要があるが、時勢の流れをたどればそうであったろうとうなずける。 最後に、戦争責任は当時の軍部にあり、天皇には責任が無いという潮流が戦後一貫してあるが、この本の中では天皇 は戦争の重大局面では必ず戦争指揮を行っている。 皇軍の最高指揮者たる天皇の絶対権力を話の軸にしてこの本の ストーリーは運ばれている。

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