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鎌倉夢語り 〜 大姫 編 〜
〜 霞初月の頃 心の色 心の池 探して 〜
はじめに。
この物語の主な登場人物の年齢です。
大姫は、十三歳。
海野小太郎幸氏は、十八歳。
北条政子は、三十四歳。
以上を想定して書きました。
物語の世界へどうぞ。
今は文治六年。
奥州藤原氏が滅亡した翌年になる。
幾日かの日々が過ぎた。
今は一月。
初春になる。
ここは、鎌倉。
正月の行事の多くは終わった。
一日を通して寒い日が続く。
ここは、小御所。
大姫の部屋。
大姫は床の中に辛い様子で居る。
北条政子が部屋を心配な様子で訪れた。
大姫は床の中で、北条政子を辛い様子で僅かに不機嫌に見た。
北条政子は大姫に心配して話し出す。
「大姫。正月の行事の多くが終わったから、安心と疲れから、体調が悪くなったと思うの。気を遣わずに、安心して静養して。」
大姫は床の中で、北条政子を辛い様子で僅かに不機嫌に見た。
北条政子は大姫に心配して話し出す。
「大姫。欲しい物はある?」
大姫は床の中で、北条政子に辛い様子で僅かに不機嫌に話し出す。
「お母様に話しても仕方が無いわ。お母様に話しても無駄だわ。」
北条政子は大姫に心配して話し出す。
「大姫。隠さずに話して。」
大姫は床の中で、北条政子に辛い様子で僅かに不機嫌に話し出す。
「義高様に逢いたい。」
北条政子は大姫を困惑して見た。
大姫は床の中で、北条政子を辛い様子で僅かに不機嫌に見た。
北条政子は大姫に申し訳なく話し出す。
「大姫。ご免なさい。」
大姫は床の中で、北条政子に辛い様子で僅かに不機嫌に話し出す。
「お母様。何に対して謝っているの?」
北条政子は大姫を困惑して見た。
大姫は床の中で、北条政子を辛い様子で僅かに不機嫌に見た。
幾日か後の事。
ここは、鎌倉。
一日を通して寒い日が続く。
ここは、小御所。
大姫の部屋。
大姫は床の中に辛い様子で居る。
海野小太郎幸氏は部屋を微笑んで訪れた。
大姫は床の中で、海野小太郎幸氏を驚いて見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は床の上に驚いた様子で体を起こした。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。無理をせずに横になってください。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。
「小太郎。鎌倉が落ち着いたから、昨年の間に、木曽に戻ったわよね。何か遭ったの?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様のお見舞いに来ました。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。
「小太郎が木曽に戻る時は、私は床に着くほど体調が悪くなかったわ。私の見舞いのためだけに木曽から来たの?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「はい。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。
「小太郎。お母様から私を見舞うように命令する内容の文が届いたの?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「政子様から大姫様のお見舞いを催促する文は届いていません。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に呆れて話し出す。
「お母様は今の木曽の気候を知っているわよね。お母様は私を早く元気にするために、小太郎に文を書いたのね。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「政子様は大姫様を気遣っています。政子様は大姫様の体調が悪い時は心配しています。私も大姫様の体調が悪い時は心配します。政子様は、文を書いた関係からだと思いますが、私を普段より良い待遇で鎌倉に居られるように対処してくださいました。政子様を責めないでください。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に呆れて話し出す。
「仕方がないわね。分かったわ。」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。
「小太郎。木曽に戻る日は決めたの?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様の体調によって、木曽に戻る日を決めます。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。
「小太郎。昨年は、奥州征伐の関係で、鎌倉に居る時間が多くて、祝言を挙げる日取りが決められなかったわよね。祝言を挙げる日取りは決まったの?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「祝言を挙げる日は、木曽に戻ってから決めます。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に考え込んで話し出す。
「お母様が文を書いたから、小太郎が祝言を挙げる日を伸ばしたように感じるわ。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「今年の前半の間に祝言を挙げる予定です。私が必要な祝言の準備は少ないです。安心してください。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏を考え込んで見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。体調の辛い日が続いていますよね。床に横になって話してください。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎に逢った関係かしら? 辛さを感じなくなったの。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。食事の時間も傍に居ましょうか?」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に呆れて話し出す。
「お母様は、私の体調の他に、私の食事の量も、文に書いたの?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「体調が悪くなれば、食事の量は減ります。大姫様は私が傍に居ると辛さを感じなくなったと話しました。私が傍に居れば大姫様の食事の量が増えると思って話しました。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に呆れて話し出す。
「お母様は小太郎に宛てて多くの内容を文に書いたのね。」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎と一緒に食事をしたいと話せば、普段より豪華な食事になるかしら。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「私にとっては、普段より豪華な食事になる可能性があります。大姫様は体調の悪い日が続きます。大姫様にとっては、豪華な食事にならない可能性があります。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
数日後の事。
ここは、鎌倉。
一日をとおして寒い日が続く。
ここは、小御所。
大姫の部屋。
大姫は床の上に微笑んで体を起こしている。
海野小太郎幸氏は微笑んで居る。
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎が傍に居ると、体調の回復が早くなるわ。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様の体調の早期の回復に役立っているのですね。嬉しいです。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「侍女に床から起きて過ごしたいと話したの。侍女が、私が完全に快復していないから、暫くの間は床に横になって過ごして欲しいと頼んだの。侍女に迷惑を掛けられないから、床に横になって過ごす日を暫く続けようと思うの。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「今は初春です。季節は春に移りましたが、寒い日は続きます。床の中は温かいです。床の中で過ごす時間を暫く続ける考えは良いと思います。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「私が早く元気にならないと、小太郎は木曽に戻れないのね。小太郎のためにも、床に横になって過ごす日を暫く続けるわ。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「私は小太郎とたくさんの時間を過ごしたいの。小太郎は、私が元気になると、木曽に戻るわ。複雑な気持ちになるの。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「私は鎌倉に呼ばれて来る機会は多いです。私が木曽に戻っても、鎌倉に来る機会は近いと思います。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「政子様が私の祝言のために、素敵な物を用意してくださるそうです。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「良かったわね。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。政子様に私の祝言について話しましたか?」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「お母様は小太郎が祝言を挙げる予定を既に知っているわ。お母様は小太郎を信頼しているわ。お母様は、私の体調が悪くなった時や私の機嫌が悪くなった時は、困ってしまって、小太郎にいろいろと頼むわよね。お母様は、今回は小太郎に無理を頼んだと思った、今後も小太郎に頼む状況が続くと思った、かも知れないわ。お母様は、小太郎と許婚に、感謝の気持ちと詫びの気持ちを表したかも知れないわ。」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎のためにも、私のためにも、早く元気になるわね。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。義高様のためにも、早く元気になってください。」
大姫は床の上に体を起こして、海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
すると、どこかから囁くような声が聞こえてきた。
「義高様・・・」
「私の両親は、強大な権力を持ち始めています・・・」
「私が強大な権力を持つ両親の娘になる日は、近いと思います・・・」
「私の両親の権力が強くなるに連れて、私のために動く人達が増えています・・・」
「小太郎は、私に変わらずに接してくれます・・・」
「義高様に逢いたい気持ちは、両親の権力に関係なく募っていきます・・・」
「義高様に逢う日が幾月か後だったならば、今も幸せに過ごしていたのでしょうか・・・?」
「義高様・・・」
「私と小太郎は、様々な姿を見せる鎌倉で、義高様に逢える日を待っています・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は、奥州征伐の翌年の出来事として書きました。
奥州征伐関連の一部を書きます。
源頼朝は、文治五年七月十九日(1189年9月1日)に奥州征伐のために鎌倉を出発しました。
後白河法皇は、この日付で藤原泰衡追討の院宣を発給したそうです。
奥州藤原氏は、文治五年九月三日(1189年10月14日)に滅亡したと伝わっています。
源頼朝に藤原泰衡追討の院宣が届いたのは、文治五年九月九日(1189年10月20日)だそうです。
源頼朝が平泉を発ったのは、文治五年九月二十八日(1189年11月8日)だそうです。
源頼朝が鎌倉に着いたのは、文治五年十月二十四日(1189年12月3日)だそうです。
源頼朝は、奥州征伐を終えて、全国統一を完了した事になります。
源頼朝は、藤原泰衡追討に不参加の御家人には処罰を行ったそうです。
文治五年八月十日(1189年9月21日)、北条政子は、御所の数人の女房を、奥州征伐の勝利祈願のために、鶴岡八幡宮に御百度参りをさせたそうです。
この物語は、海野小太郎幸氏が奥州征伐に参加した詳細が分からないため、奥州征伐に海野小太郎幸氏が参加していない前提で書きました。
この物語は「鎌倉夢語り 大姫 編 冬 時雨月の出来事 真澄みの想い」より後の出来事として書きました。
この物語より前の出来事になりますが、海野小太郎幸氏の父と兄の一人は、源義仲(源義高の父)に従い、戦いの中で亡くなっています。
この物語の中に海野小太郎幸氏の祝言に関する話題が登場します。
海野小太郎幸氏の祝言を挙げた年月日が分からないので、海野小太郎幸氏が十八歳になった頃で、奥州征伐の終わった翌年の「文治六年(1190年)」としています。
ご了承ください。
「心の色(こころのいろ)」についてです。
「心に深く思い込んでいるありさま。また、その心。」、「心のやさしさ。人情味。」、です。
「心の池(こころのいけ)」についてです。
「心の中の深い思いを水を湛えた池に喩えていう語」です。
「初春」についてです。
「しょしゅん」と読むと、「春の初め(←春の季語)。陰暦正月の異称」です。
「霞初月」についてです。
「霞初め月」とも書きます。
「[かすみそめづき]、または、[かすみぞめづき])」、と読みます。
「陰暦正月の異称」です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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