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市川市万葉植物園 2007年8月 NO.1


後日、容量の関係などで、差換え削除等の可能性があります。
ご了承ください。
2007.8.25撮影。

※説明の中に「万葉集」の「歌・作者」が登場します。
詳しい説明は省きますが、原文は「万葉仮名」を使用しています。
そのため、歌の中の漢字として説明する字は、原文と違う場合があります。
「万葉集」に関する詳細は、当サイトのトップページの「リンク」のページに、万葉集についてのサイト様があります。
リンク先のサイト様には、原文などの記載もあります。
ご参考になってください。

※万葉の時代の植物のため、食用や薬草などに使用されている植物が多いです。
効能や食べる方法など、詳細は各自でお調べください。




「蝶(ちょう)」
万葉集には「蝶」を主題に詠んだ歌はないそう。
大伴旅人の邸宅で詠んだ梅の歌の三十二首の歌に先立って、序文が漢文で記載されている。
その中に「蝶」が登場する。
今回は序文のみを漢文のまま下に掲載する。
※「蝶」は「庭舞新蝶」で登場する。
この部分だけ訳すと「庭には蝶が舞い」となるそう。






「梅花歌卅二首并序/天平二年正月十三日 萃于帥老之宅 申宴會也 于時初春令月 氣淑風和梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香 加以 曙嶺移雲 松掛羅而傾盖 夕岫結霧鳥封□(穀の禾の部分が糸)而迷林 庭舞新蝶 空歸故鴈 於是盖天坐地 促膝飛觴 忘言一室之裏 開衿煙霞之外 淡然自放 快然自足 若非翰苑何以□(手偏+慮)情 詩紀落梅之篇古今夫何異矣 宜賦園梅聊成短詠」




「蜻蛉(とんぼ)」
万葉集では「秋津(あきづ)」となっていた。
万葉集には一首のみ登場する。
「あきづ羽の 袖降る妹を 玉櫛笥 奥に思ふを 見たまえ我が君」
(万葉集 第三巻 三七六番 作者:湯原王)











「屁糞葛(へくそかずら)」
アカネ科。
物凄い名前の花。
名前の由来は香りにある。
確かに良い香りではないと思う。
花は、8月〜9月にかけて咲く。
小さくて白い花が集まったように咲く。
秋になると実が生るそう。
万葉名は「屎葛(くそかずら)」
万葉集には、「屎葛」として一首だけ詠み込まれているそう。
「さう莢に 延ひおほとれる 屎葛 絶ゆることなく 宮仕へせむ」
(万葉集 第十六巻 三八五五番 作者:高宮王)




「数珠玉(じゅずだま)」
イネ科。
熱帯から亜熱帯の各地に分布しているそう。
帰化植物。
果実を数珠に用いた事から、この名前がついたそう。
今回の写真は若い実を撮影。
花の咲く様子は撮影できなかった。
緑色の実は少し経つと色が変わるそう。













「鶏頭(けいとう)」
ヒユ科。
万葉名は「韓藍(からあゐ)」となるそう。
万葉の時代には“染料”として利用されていたそう。
原産地は熱帯アジアだそう。
万葉集には「韓藍」として数首ほど詠みこまれている。
「秋さらば 移しもせむと 我が蒔きし 韓藍の花を 誰か摘みけむ」
(万葉集 第七巻 一三六二番 作者:不明)













「黒米(くろごめ)」
イネ科。
「古代米」
現在も食用として食べる方がたくさんいる。

















「真桑瓜(まくわうり)」
「花」
ウリ科。
万葉名は「うり」
万葉の時代から食用として利用。
歌は実の写真の下に掲載する。











「真桑瓜(まくわうり)」
「実」
















「瓜食めば子ども思ほゆ 栗食めばまして偲はゆ いづくより来りしものぞ 眼交にもとなかかりて 安寐し寝さぬ」
(万葉集 第五巻 八〇二番 作者:山上憶良)




「梨(なし)」
バラ科。
万葉名がはっきりとしないが、万葉集には「梨(なし)」として詠まれている。
万葉の時代から、食用・薬用として使用されていたそう。
万葉集には「梨」が三首登場。
「露霜の 寒き夕の 秋風に もみちにけらし 妻梨の木は」
(万葉集 第十巻 二一八九番 作者:不明)









「沢鵯(さわひよどり)」
キク科。
「万葉名」の「澤蘭(さはあららぎ)」ではないかという言われている花の中の一つ。
万葉の時代には、“薬”として利用されていたそう。
万葉集にも「さはあららぎ」として一首のみ登場。
今回の掲載した歌の題詞の中に「澤蘭(さはあららぎ)」が登場するそう。
題詞の一部を掲載する。
「天皇太后 共に大納言 藤原家に幸しし日 黄葉せる 澤蘭一株を・・・」と続いていくそうです。
歌は「この里は 継ぎて霜や置く 夏の夜に 我が見し草は もみちたりけり」です。
(万葉集 第十九巻 四二六八番 孝謙天皇)







「藪蘭(やぶらん)」
ユリ科。
万葉名は、「山菅(やますげ)」
ただし、「山菅」がどの花をさしているのか、はっきりとしていないそう。
「藪蘭」が「山菅」ではないかといわれる中の一つとなっている。
万葉集には、「山菅」「菅」として、詠まれている。
「ぬばまたの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ」
(万葉集 第十一巻 二四五六番 作者:柿本人麻呂歌集より)













「山吹(やまぶき)」
バラ科。
万葉名は「やまぶき」
「山吹」は現在の暦で3月〜5月に掛けて咲く。
写真の「山吹」は一輪だけ咲いている。
季節はずれの「山吹」
「山吹は 撫でつつ生ほさむ ありつつも 君来ましつつ かざしたりけり」
(万葉集 第二十巻 四三〇二番 作者:置始長谷)








「山萩(やまはぎ)」
マメ科。
万葉名は、「はぎ」
万葉の時代から、“観賞”、“薬”として利用されていたそう。
「秋の七草」の一つ。
正確には、「秋の七草」の「萩の花」は、この「山萩」を差すそう。
「秋の七草」は、「萩(はぎ)、尾花(おばな)[※薄(すすき)]、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、朝顔(あさがお)[※桔梗(ききょう)と言われている]」の以上七つ。
「万葉集」では、「はぎ「秋はぎ」「はぎの花」など、たくさんの歌で詠まれている。
「秋風は 涼しくなりぬ 馬並めて いざ野に行かな 萩の花見に」
(万葉集 第十巻 二一〇三番 作者:不明)





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