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新撰組異聞 〜 五月雨月の頃 美吉野が咲いて 〜


ここは、京の町。



空模様のはっきりとしない日が多くなった。

雨が降る日が多くなった。

時期的に考えると、梅雨が始まったのかも知れない。



そんなある日の事。



ここは、京の町。



灰色の重い空が広がっている。



ここは、屯所。



沖田総司は空の様子を心配そうに見ている。

斉藤一は沖田総司の横に来ると、普通の表情で空の様子を見た。

沖田総司は斉藤一を見ると、心配そうに話し出す。

「これから鈴ちゃんと一緒に紫陽花か花菖蒲を見る予定があります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。

「今の空模様だと、帰るまでに雨が降りそうですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんは紫陽花や花菖蒲が見たいと話しをしていました。出掛けるのを止めたら残念がりますよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「この時期になると雨が降りやすくなるから仕方がないな。紫陽花はいろいろな場所で咲いているから、寺の中などの濡れない場所から見る事が出来るな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。鈴ちゃんに話しをしてみます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「予定が変更になって美鈴さんが残念がっていたら、元気付けてやれよ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今日の総司の任務は、途中からだったな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。鈴ちゃんには、今日は途中からの任務だと伝えます。任務の時間までには戻ってきます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「ここで話しをしていたら、美鈴さんと逢う時間が短くなるぞ。早く出掛けろ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「行ってきます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は少女の家へと急いで出掛けて行った。



それから少し後の事。



ここは、少女の家。



沖田総司は少女の家に到着した。

少女は沖田総司の前に微笑んで現れた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。早く出掛けよう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。



沖田総司と少女が、出掛け始めて直ぐの事。



ここは、京の町。



灰色の空は、今も続いている。



沖田総司と少女は、京の町を一緒に歩いている。



沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し出す。

「鈴ちゃん。実は、今日は途中からの任務なんだ。だから、長く一緒に居る事が出来ないんだ。ごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんはお忙しい方です。私の事は気にしないでください。」

沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し出す。

「鈴ちゃん。今日は天気が悪いだろ。紫陽花や花菖蒲を外で見ている時に雨が降ると困るだろ。雨宿り出来る場所の中か近くで見ようね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。



それから少し後の事。



ここは、沖田総司と少女が何度か訪れた事のある寺。



境内には、青くなりかけた紫陽花、綺麗な青色をした紫陽花など、いろいろな姿の紫陽花が咲いている。



沖田総司と少女は、寺の境内で紫陽花を見ている。



少女は紫陽花を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「紫陽花が綺麗に咲いていて良かったね。」

少女は沖田総司を見ると、微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛けようとした。

少女は紫陽花を見ると、寂しそうな表情になった。

沖田総司は少女を心配そうに見た。

少女は沖田総司を微笑んだ表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。寺の中に入って、縁に座って紫陽花を見ようよ。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は、寺の中へと入っていった。



ここは、寺の縁。



沖田総司と少女は、縁に座った。



少女は時折だが寂しそうな表情で紫陽花を見る。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。次に逢う時は、もう少し時間に余裕があると思うんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「花菖蒲の見頃が終わらない内に、一緒に見に行こうね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「菓子かいなり寿司を持って、花菖蒲を見に行こうよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お出掛けする日が決まったら、何か用意をします。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私が買っても良いかな? 鈴ちゃんは何が食べられるか楽しみに待っていてよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんが買ってくださる物を考えながら、お出掛けする日を楽しみに待っています。」

沖田総司は少女に恥ずかしそうに話し出す。

「余り期待をしないで待っていてね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんが買ってくださるお菓子は美味しいです。だから、心配しなくて大丈夫です。」

沖田総司は少女を恥ずかしそうに見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。



それから少し後の事。



ここは、寺の縁。



雨が静かに降り始めた。



沖田総司は雨の降る様子を見ながら、困惑した様子で呟いた。

「困ったな。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。私は一人で帰ります。お仕事に行ってください。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「傘を差さずに雨の降る中を帰ったら、風邪をひいてしまうよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「たいした雨ではありません。傘はお寺の方から借りられるかも知れません。私の事は心配しないでください。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「傘を借りてくるから、少し待っていてね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。



沖田総司は住職の居る場所へと向かった。



それから少し後の事。



ここは、寺の縁。



雨は静かに降り続いている。



少女は雨の降る様子を心配しながら、紫陽花を見ている。

沖田総司が傘を一本だけ持ちながら、少女の元に困惑した表情で戻ってきた。



少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に困惑した様子で話し出す。

「傘を一本だけしか借りる事が出来なかった。雨が強く降らない内に送っていくよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「傘は総司さんがお使いください。私はここで雨が止むのを待ちます。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「この時期だから、雨が止まない事も考えられるだろ。鈴ちゃんを一人で置いて、私が傘を使う訳にはいかないよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私を家に送って総司さんがお仕事に遅れたら困ります。以前は、待ち合わせや一人で帰る事もありました。だから、心配しないでください。」

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「出逢った最初の頃と今とでは状況が違うだろ。何より、鈴ちゃんが一人の時に何か遭ったら嫌だよ。だから、家に送っていくよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私はもう少しだけ紫陽花を見てから帰ります。総司さんはお仕事に行ってください。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃん。送っていくと何度も言っているだろ。我がまま言わずに早く帰ろう。」

少女は沖田総司を不安そうに見た。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「ここで話しをしていても雨は止まないかも知れないだろ。それに、任務に遅れるのは困るんだ。」

少女は下を向くと、沖田総司に小さい声で話し出す。

「私を家まで送ったら、総司さんが屯所に戻るまでに時間が掛かります。私の事は気にせずに、総司さんは早くお仕事にお出掛けください。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「外は雨が降っているだろ。送っていく。同じ事を何度も言わせないでくれ。」

少女は顔を上げると、沖田総司を不安そうに見た。

沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「すいません。席を外します。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「早く戻ってきてくれ。」

少女は沖田総司に不安そうに軽く礼をすると、縁を歩き出した。



少女の姿は見えなくなった。



沖田総司は不安そうに縁を歩きだした。



住職が沖田総司の前に静かに現れた。

沖田総司は住職に心配そうに話し出す。

「申し訳ありません。私と一緒に居た連れの女の子を見掛けませんでしたか?」

住職は沖田総司に静かに話し出す。

「お連れの方は、たった今になりますが、お一人でお帰りになりました。」

沖田総司は住職に心配そうに話し出す。

「先程の話しでは、傘は一本しか貸す事が出来ないと言われましたよね。彼女は傘を持っていません。傘を差さずに雨の降る中を帰ったのですか?」

住職は沖田総司に静かに話し出す。

「実は、お侍様から傘を借りたいという相談があった後に、お連れの方の分の傘も無いと不便かと思いまして、探していました。傘をもう一本お貸しする事が出来ると分かりました。」

沖田総司は住職を不安そうに見た。

住職は沖田総司に静かに話し出す。

「傘をもう一本お貸し出来る事が分かった時に、お連れの方が見えられました。傘をお貸し出来ると話をしたら、礼を言って受け取られました。」

沖田総司は住職に何かを話し掛けようとした。

住職は沖田総司が話し出す前に、静かに話し出す。

「お連れ様からの伝言を預かりました。」

沖田総司は話しをする事なく、住職を不安そうに見た。

住職は沖田総司に静かに話し出す。

「自分の事は気にせずに、早くお仕事に向かってください。自分は大丈夫だから、心配しないでください。伝言は以上になります。」

沖田総司は住職に不安そうに話し出す。

「分かりました。彼女のために傘を用意して頂いて、ありがとうございました。」

住職は沖田総司に静かに頷いた。

沖田総司は住職に心配そうに話し出す。

「もし、彼女がこちらに戻ってきて、私の事を心配していたら、私は任務に向かった事と、二人で交わした約束を楽しみに待っていて欲しいと、伝えてください。」

住職は沖田総司に静かに話し出す。

「承知しました。」

沖田総司は住職に不安そうな表情で軽く礼をした。

住職は沖田総司に静かに軽く礼をした。



沖田総司は不安そうな表情のまま、縁を歩き出した。



ここは、寺の境内。



雨は静かに降り続いている。



沖田総司は傘を広げると、境内を心配そうな表情で見回した。



少女の姿は見えない。



沖田総司の視線の中に、紫陽花が雨に濡れて静かに咲いている姿が入ってきた。



沖田総司は紫陽花から視線を戻すと、傘を差しながら、屯所へと戻るために寺を後にした。



沖田総司が寺を去って直ぐの事。



ここは、沖田総司と少女が居た寺。



寺に有る一室。



住職は寺の中に在る一室の中へと静かに入っていった。



ここは、寺に在る一室の中。



住職は部屋の中に入ると、部屋の隅を心配そうに見た。



少女は隠れる様にして部屋の隅に座っている。



住職は少女の傍に来ると、静かに話し出す。

「お連れのお侍様には、言われた通りに話しをしました。お連れのお侍様はお帰りになりました。安心してください。」

少女は住職を見ると、微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

住職は少女に静かに話し出す。

「傘の予備ガ少ないために、一本しかお貸しする事が出来ませんでした。一緒に帰る事が出来なくなってしまいましたね。申し訳ありませんでした。」

少女は住職を見ながら、微笑んで小さく首を横に振った。

住職は少女に静かに話し出す。

「傘を捜してきます。少し待っていてください。」

少女は住職に微笑んで頷いた。

住職は静かに部屋から出て行った。



それから少し後の事。



ここは、寺に有る少女が居る部屋の中。



少女は寂しそうに一人で部屋の中に居る。



住職が傘を持って、部屋の中に静かに入ってきた。

少女は住職を心配そうに見た。

住職は少女に傘を差し出すと、静かに話し出す。

「予備の傘が見つかりました。お使いください。」

少女は住職から傘を受取ると、微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

住職は少女に微笑んで話し出す。

「先程の話しが嘘にならなくて安心しました。」

少女は傘を横に置くと、住職を微笑んで見た。

住職は少女に微笑んで話し出す。

「寺を留守にする事が出来ないので、送る事が出来ません。雨の降りに気を付けながらお帰りください。」

少女は住職に微笑んで話し出す。

「お気遣い頂いて、ありがとうございます。」

住職は少女に微笑んで話し出す。

「傘を返すのは、天気の落ち着いている時で良いですよ。」

少女は住職に微笑んで頷いた。

住職は少女を微笑んで見た。



それから僅かに後の事。



ここは、少女が居る寺。



雨は先程と同じく静かに降り続いている。



少女は傘を差しながら、山門を潜り、京の町へと出て行った。



住職は少女の姿が見えなくなると、静かに寺の中へと戻っていった。



それから少し後の事。



ここは、屯所。



沖田総司は屯所に戻ると、直ぐに任務の準備を始めた。



結果として一人にしてしまった少女を心配する想いが、心から放れない。

準備を含めた任務の最中も、少女の事を考えている訳にはいかない。

任務中の考え事は、沖田総司本人や隊士達に最悪の事態を招く事も考えられる。

少女への心配な想いは心の底に封じ込めて、任務に就くしかない。

新番組一番組組長として、最悪の事態を自らが招く訳にはいかない。

複雑な想いも全て心の底に封じ込めて任務に就いた。



それから僅かに後の事。



雨は静かに降り続いていたが、酷く降る事は無かった。



沖田総司の任務は何事も無く終わった。



その日の夜の事。



ここは、京の町。



夜空には、雲の中に僅かに月の光が見える。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



沖田総司は斉藤一の部屋を不安そうな表情で訪れた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんと逢っている途中で、僅かですが雨が降りました。傘を一本しか借りる事が出来ませんでした。鈴ちゃんには家まで送ると話をしました。鈴ちゃんは私の事を気遣って、家に送らなくて良いから早く任務に向かうように言いました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんを一人で帰す訳にはいきません。雨が降ると、歩く早さも遅くなり、気に掛ける事も増えます。私は任務に就く時間の関係で、困ってしまいました。鈴ちゃんに私の気持ちが伝わったのだと思います。鈴ちゃんは一人で帰ると何度も言いました。私も気が焦ってしまって、鈴ちゃんにいろいろと言ってしまいました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは泣いていたのか?」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「私が見ている限りでは泣いていませんでした。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「途中で鈴ちゃんの姿が見えなくなりました。心配になって住職の人に確認を取りました。鈴ちゃんは住職の方から傘を借りて、一人で先に帰ったそうです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの後を追い掛けなかったのか?」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんの姿が見えなくなったのは、私への気遣だと思いました。だから、追い掛ける事が出来ませんでした。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「私が寺を出た時には、鈴ちゃんは寺に居たように思いました。でも、私の機嫌が悪くなったために、一緒に居たくないから先に帰ったようにも思いました。私は鈴ちゃんに嫌われたようにも思いました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話や美鈴さんの性格から判断すると、美鈴さんは寺に居たと思う。仮に、美鈴さんが一人で先に帰ったとしても、総司の事を気遣っての行動だと思う。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通に話しだす。

「総司。自分の思いで悩むより、他に心配する事があるだろ。」

沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが雨の降る中をどうやって帰ったのかを、真っ先に心配しないと駄目だろ。」

沖田総司は斉藤一を見ながら、我に帰ったような表情になった。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。明日にでも時間を作って、美鈴さんに逢いに行け。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに頷いた。



その翌日の事。



ここは、京の町。



相変わらず曇っているが、雨の降る様子はない。



ここは、京の町に在る上生菓子を売っている店。



沖田総司は少女の家に向かう途中に店に寄った。



沖田総司は店の中で真剣な様子でお菓子を選んでいる。

買うお菓子を決めると店の人に声を掛けた。

店の人は丁寧にお菓子を包むと、沖田総司に微笑んで包みを差し出した。

沖田総司は店の人からお菓子の入った包みを受取ると、直ぐに店を出て行った。



ここは、京の町。



沖田総司は包みを大事そうに抱えながら、少女の家へと早歩きで向かっている。



それから少し後の事。



ここは、少女の家。



沖田総司は包みを大事そうに抱えながら、少女の家へと到着した。

少女は沖田総司の前に不思議そうに現れた。



沖田総司は包みを持ちながら、少女の様子を安心した表情で見た。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は包みを持ちながら、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。時間があったら、花菖蒲を見に出掛けないか?」

少女は沖田総司に不安そうに頷いた。



沖田総司と少女は、花菖蒲を見に出掛けて行った。



それから少し後の事。



ここは、花菖蒲がたくさん咲いている場所。



沖田総司と少女は、花菖蒲の前に到着した。



沖田総司は包みを持ちながら、少女に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。昨日は雨に濡れただろ。体調は大丈夫? 辛いところはない?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は元気です。安心してください。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に僅かに安心した様子で話し出す。

「雨に濡れずに帰れたんだね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。住職さんから傘を貸して頂く事が出来ました。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に心配そうに話し出す。

「雨の中を一人で帰らせてしまってごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「たいした雨ではありませんでした。雨の日に一人でお出掛けをする事があります。気にしないでください。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃん。怒っていないの?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「怒っていません。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に微笑んで話し出す。

「もし良かったら、菓子を一緒に食べないか?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんが選んだお菓子が食べられるのですね。楽しみです。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女を微笑んで見た。



沖田総司と少女は、座りながら花菖蒲を見る事が出来る場所を探し始めた。



花菖蒲が咲いている近くに、少し大きめの木があった。



木の下は地面も濡れていない。



沖田総司と少女は、木の下に一緒に座った。



沖田総司は少女に微笑んで包みを差し出した。

少女は沖田総司から微笑んで包みを受け取った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は微笑んで包を開け始めた。

沖田総司は少女の様子を不安そうに見た。



包みの中には、綺麗な上生菓子が入っていた。



少女は包みの中のお菓子を微笑んで見た。

沖田総司は少女の様子を安心した表情で見た。

少女は包みを持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「綺麗なお菓子です。ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが気に入ってくれて嬉しいよ。」

少女は包からお菓子を手に取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「綺麗なお菓子なので、食べるのがもったいないです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「見た目も味も両方共に気に入ってもらえると嬉しいな。」

少女はお菓子を持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女はお菓子を美味しそうに食べ始めた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女はお菓子を一口食べると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。綺麗で美味しいお菓子です。ありがとうございます。」

沖田総司は少女を笑顔で見た。



それから少し後の事。



沖田総司と少女は、お菓子を食べ終わった。



ここは、花菖蒲が咲く場所の近くに在る木の下。



沖田総司と少女は、木の下で花菖蒲を見ながら話しをしている。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。薄い桃色の花菖蒲は美吉野だよね。」

少女は沖田総司を見ると、微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に嬉しそうに話し出す。

「美吉野だけは、何となくだけど、分かるようになったんだ!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「美吉野は淡い色で綺麗ですよね。余り見掛けない色なので、分かりやすい花菖蒲だと思います。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「美吉野は鈴ちゃんみたいだから、分かるようになったんだ。」

少女は恥ずかしそうに下を向いた。

沖田総司は少女の様子を見ると、顔を赤くして下を向いてしまった。



美吉野は沖田総司と少女の様子を見ながら、綺麗な姿で咲き続けている。



それから少し後の事。



ここは、屯所。



沖田総司は少女を家に送ると、屯所に元気良く戻ってきた。



斉藤一は沖田総司の様子を見ると、黙って去って行こうとした。



沖田総司は斉藤一の傍に来ると、笑顔で話し出す。

「斉藤さん! ありがとうございました!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんは元気でした!」

斉藤一は沖田総司に普通に出す。

「良かったな。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



土方歳三が沖田総司と斉藤一の元に微笑みながら現れた。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三を笑顔で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。楽しそうだな。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「客用に菓子を用意したのだが、少し残った。食べるか?」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「はい! 食べます!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「一緒に部屋に着てくれ。」

沖田総司は土方歳三に嬉しそうに話し出す。

「はい!」

斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。菓子は食べなくても、せっかくだから一緒に来い。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は土方歳三に嬉しそうに話し出す。

「土方さん! 菓子は何個食べられるのですか?! 大きくて美味しですか?!」

土方歳三は沖田総司に苦笑しながら話し出す。

「客用の菓子だから、普段より良い物を買った。そのせいか、少し小さいぞ。」

沖田総司は土方歳三に嬉しそうに話し出す。

「土方さん! 客用の菓子だから、美味しいですよね! 早く食べたいです!」

土方歳三は沖田総司に苦笑しながら頷いた。



土方歳三、沖田総司、斉藤一は、お菓子の有る土方歳三の部屋へと向かって歩き出した。



ちょうど同じ頃。



ここは、少女の部屋。



部屋の中に有る机の上には、美吉野が綺麗な姿で咲いている。



沖田総司が少女のために手に入れた美吉野になる。



少女は美吉野を微笑んで見ている。



美吉野も少女に喜んでもらえる事が嬉しいのか、更に綺麗に咲き始めた。




〜 完 〜





はじめに       後書き

目次


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