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新撰組異聞 〜 冬至の七種の物語 〜


今は冬至が近付く頃。



沖田総司達が京の町で初めて迎える冬になる。



ここは、京の町。



寒い日が続いている。



ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。



寺の中。



沖田総司は笑顔で居る。

少女は微笑んで居る。



少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。冬至の日に屯所で柚子湯と小豆粥で楽しむ予定がありますよね。」

沖田総司は少女に笑顔で頷いた。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「冬至の日に“冬至の七種”を食べる予定はありますか?」

沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。

「冬至の七種?」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。

「鈴ちゃん。冬至の七種を教えてくれるかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「冬至の七種は、“なんきん”、“にんじん”、“きんかん”、“れんこん”、“ぎんなん”、“かんてん”、“うんどん”です。」

沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。

「“人参”、“金柑”、“蓮根”、“銀杏”、“寒天”、の五種類は直ぐに分かった。“なんきん”は、“南瓜”、“うんどん”は、“饂飩”、で良いのかな?」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「当たった! 私の食物関連の勘は、剣術関連の勘と同じ程に凄いのかも知れない!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「一人で盛り上がってしまった。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私も冬至の七種を知らずに、冬至の七種を一度に全て当てたら嬉しくなります。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。ありがとう。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「冬至の日に、冬至の七種を食べると、翌年も元気に過ごせると言われています。冬至の七種は、“運”で“うん”、“鈍”で“どん”、“根”で“こん”と繋がって、出世すると言われています。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「京の町には、粋な験担ぎがあるんだね。京の町は風流で雅だね。私も冬至の日に冬至の七種を食べたいな。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「家族で冬至の日に冬至の七種を食べる予定です。家族に総司さんの希望を話します。返事は次に逢った時で良いですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと鈴ちゃんの家族に悪いよ。遠慮するよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「遠慮しないでください。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「近藤さんか土方さんに、冬至の日に冬至の七種が食べられるか確認するよ。冬至の日に冬至の七種を食べないと分かったら、鈴ちゃんから家族の人に頼んでくれるかな?」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。



同じ頃。



ここは、屯所。



近藤勇の部屋。



近藤勇は机に普通に向かっている。



土方歳三が普通に訪ねてきた。



近藤勇は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「京の町に、冬至の日に冬至の七種を食べる風習があるそうだ。冬至の日に冬至の七種を食べると、翌年も元気に過ごせると言われているそうだ。冬至の七種は、“運”で“うん”、“鈍”で“どん”、“根”で“こん”と繋がって、出世すると言われているそうだ。冬至の日に、柚子湯と小豆粥だけでなく、冬至の七種も用意したら、隊士達が喜んで盛り上がると思う。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「冬至の日には、柚子湯と小豆粥の他に、冬至の七種も用意してくれ。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。今迄の隊士達の言動から想像すると、冬至の七種をたくさん用意しないと大騒ぎになると思う。冬至の七種をたくさん用意しなければならないな。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「確実に冬至の七種が食べられるように、お代わり無しにしたいと思う。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司が大騒ぎをする姿を想像した。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。話を戻す。隊士達が冬至の七種について質問すると思う。隊士達に冬至の七種について説明が出来るように、私だけでなく、山南さんにも冬至の七種についての説明を頼む。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



斉藤一の居る部屋。



沖田総司は部屋の中に微笑んで入ってきた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ただいま。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんから冬至の七種について教えてもらいました。近藤さんか土方さんに、屯所で冬至の七種を食べる予定があるか確認したいです。一緒に来てください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「屯所で、冬至の日に冬至の七種を食べる予定があるぞ。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「いつの間に決まったのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が外出中に、土方さんが近藤さんと山南さんに、冬至の七種について説明したらしい。近藤さんも山南さんも直ぐに了承したらしい。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「祝い事や験担ぎの行事が決まると、屯所内は盛り上がますよね。私が帰ってきてから、屯所内は一度も盛り上がっていません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「屯所内を真っ先に盛り上げる人物は、総司と原田さんだ。総司は外出中で、原田さんは任務中だ。近藤さんも山南さんも土方さんも、冬至の七種を食べると隊士達に正式に話していない。冬至の七種を知らない隊士が幾人も居る。屯所に残る隊士達は、詳細が分からないから盛り上がらないのだろ。」

沖田総司は斉藤一に感心して話し出す。

「常に思いますが、斉藤さんの分析力や観察力は凄いですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「普通だ。」

沖田総司は斉藤一を感心して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は何かを思い出した様子で、斉藤一を見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は軽く息をはくと、斉藤一に寂しく話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんから冬至の七種について教えてもらった時に、私は冬至の七種を食べたいと話しました。鈴ちゃんは家族に私の分の冬至の七種を用意して欲しいと頼むと話しました。私は、屯所で冬至の七種を食べる予定がない時に、鈴ちゃんに頼むと話しました。屯所で冬至の七種を食べる予定があるので、鈴ちゃんに頼む予定は無くなりました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。隊士達と冬至の日に冬至の七種を食べるのが寂しいのか?」

沖田総司は斉藤一に僅かに慌てて話し出す。

「みんなで冬至の日に冬至の七種を食べるのは楽しみです。鈴ちゃんと冬至の日に冬至の七種を楽しく食べる予定が無くなったので寂しいです。楽しさと寂しさの両方を感じます。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を見ながら、軽く息をはいた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私の返事が遅くなると、鈴ちゃんの家の冬至の七種の準備の迷惑になります。明日になったら、鈴ちゃんに逢って断る返事をします。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。冬至の日に屯所で冬至の七種を食べると確実に決まっていない。美鈴さんへの返事は少し待て。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



翌日の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は机に普通に向かっている。



沖田総司は普通に訪れた。

斉藤一も普通に訪れた。



土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さん。斉藤さんと私に話しがあるそうですね。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。冬至の七種を知っているか?」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「新撰組の隊士は、雅や京の町の風習に疎い者が多い。京の町では、冬至の日に冬至の七種を食べる風習がある。隊士達に京の町の風習に馴染んでもらうために、冬至の日に冬至の七種を食べる準備をしている。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「楽しみです!」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は何かを思い出した表情で、土方歳三を見た。

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は斉藤一を僅かに困惑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。冬至の七種を食べる約束をした人物がいるのか?」

沖田総司は土方歳三を驚いて見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。誰と約束をしたんだ?」

沖田総司は斉藤一を僅かに怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司が斉藤を疑う様子に見える。総司。斉藤。何か遭ったのか?」

斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に慌てて話し出す。

「私は斉藤さんを疑っていません!」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。良かったな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は土方歳三と斉藤一を安心して見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。屯所で隊士達と共に冬至の七種を食べろ。約束をした相手とも冬至の七種を食べろ。ただし、約束をした相手との冬至の七種を食べる時間は調整してくれ。冬至の七種を食べる時間が決まったら、早く教えてくれ。任務の調整をする。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「土方さん! ありがとうございます!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。俺が、総司と約束した相手が冬至の七種を食べるのを許したのは、新撰組にとって大切な任務だから許した。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「新撰組は京の町の人達に、風流に疎い集団、雅を知らない集団、乱暴者の集団、などと言われている。冬至の七種を屯所で食べると言う理由で断ったら、ありがたい誘いをした人物に対して失礼だ。総司は新撰組の評価を良くするために、冬至の七種をしっかりと礼儀正しく味わって食べるんだ。」

沖田総司は土方歳三に苦笑して話し出す。

「物凄く重要な内容に聞こえます。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「物凄く重要な内容だ。」

沖田総司は土方歳三を苦笑して見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。冬至の七種を使った料理がとても美味しくても、幾度もお代わりをして相手を呆れさせるな。もし、新撰組の評価が下がる状況になったら。」

沖田総司は土方歳三に緊張して話し出す。

「もし、新撰組の評価が下がる状況になったら、何が起きるのですか?」

土方歳三は沖田総司を真剣な表情で見た。

沖田総司は土方歳三を緊張して見た。

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「斉藤と永遠に話すな。斉藤の非番が無くなる。総司は率先して隊士達の剣術の稽古を就ける。総司が剣術の稽古を就けずに居なくなったら、斉藤が代わりに剣術の稽古を就ける。」

沖田総司は土方歳三を驚いて見た。

土方歳三は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「斉藤。総司は斉藤を大切な友達と幾度も話す。総司は俺の提案を了承した。斉藤も俺の提案に了承するよな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は土方歳三に慌てて話し出す。

「私は了承していません!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が新撰組の評価を下げない限り、問題は起きない。今は慌てる必要はない。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。当日は、緊張し過ぎたために、相手に迷惑を掛けて評価が下がる状況にならないように。」

沖田総司は土方歳三と斉藤一に慌てて話し出す。

「はい!」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に僅かに動揺して話し出す。

「土方さん。斉藤さんに同行してもらっても良いですか?」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤は総司の代わりに、任務に就く可能性が高い。総司は一人で任務を遂行しろ。」

沖田総司は土方歳三に緊張して話し出す。

「分かりました。一人で任務を遂行します。」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は土方歳三に緊張して話し出す。

「土方さん。明日の早い時間に約束をした相手と逢って、冬至の日に冬至の七種を食べる時間の確認をしても良いですか?」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は土方歳三を緊張して見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。冬至まで幾日もある。今から緊張していたら、冬至の当日までもたないぞ。」

沖田総司は土方歳三に緊張して話し出す。

「はい。」

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司。斉藤。俺の話は終わった。」

沖田総司は土方歳三に緊張して軽く礼をした。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


沖田総司は部屋を緊張して出て行った。

斉藤一は部屋を普通に出て行った。



土方歳三は机に向かうと、微笑んで呟いた。

「剣術が関係しない時の総司は、とても分かりやすい。」



幾日か後の事。



冬至の日。



ここは、少女の家。



少女の部屋。



沖田総司は僅かに緊張している。

少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女に僅かに緊張して話し出す。

「土方さんから、私はたくさん食べるから、冬至の七種をたくさんお代りして、鈴ちゃんや家族の人を呆れさせないようにと厳しく言われたんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんはお稽古やお仕事でたくさん行動する方です。今年は冬至の七種をたくさん用意しました。遠慮せずにたくさん食べてください。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「土方さんから、私は遠慮して普通だと言われた。私も土方さんの話に僅かだけど同意しているんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私の部屋で冬至の七種を食べます。遠慮しないで食べてください。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「食欲が増し過ぎた時は、遠慮せずに教えてね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に僅かに緊張して話し出す。

「緊張して上手に話せない。楽しくないよね。ごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。緊張しないでください。」

沖田総司は少女を恥ずかしく見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「冬至の七種の料理を取ってきます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。



少女は部屋を微笑んで出て行った。



沖田総司は緊張しながら、幾度も軽く息をはいた。



少女は冬至の七種の料理をお盆に載せて、部屋の中に微笑んで入ってきた。



沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は料理を卓に置くと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「南瓜、人参、蓮根、銀杏、寒天、お饂飩を使用したお料理です。金柑と寒天を使用したお菓子です。合わせて冬至の七種になります。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「美味しそう! 食べるのが楽しみだな!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

沖田総司は料理を美味しく食べ始めた。

少女は料理を微笑んで食べ始めた。

沖田総司は料理を食べながら、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! とても美味しいよ! 何杯でも食べられるよ!」

少女は料理を食べながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「褒めて頂けて嬉しいです。遠慮なくお代わりをしてください。」

沖田総司は料理を食べるのを止めると、少女を恥ずかしく見た。

少女は料理を食べながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんには来年も元気に過ごして欲しいです。遠慮せずにお代わりをしてください。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私にとって、鈴ちゃんは物凄く大切な友達なんだ。私は冬至の七種をたくさん食べて、鈴ちゃんが私を全ての人に自慢して紹介できる稼ぎと出世を手に入れたいんだ。」

少女は料理を食べるのを止めると、沖田総司を驚いて見た。

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

少女は沖田総司に寂しく話し出す。

「総司さんが、お金をたくさん手に入れて、出世も手に入れたら、私を紹介するのが恥ずかしくなります。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは、京の町に不慣れな私に親切に接してくれるよ。今回は、冬至の七種を食べる京の町の馴染みの風習に参加できるように気遣ってくれたよ。とても嬉しいよ。とても感謝しているよ。鈴ちゃんは全ての人に自慢して紹介できる人だよ。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は顔を赤くして、少女を見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は顔を赤くして、少女に恥ずかしく話し出す。

「鈴ちゃん。気付いたら美味しい料理を食べずに話しているね。早く食べよう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は顔を赤くしながら、料理を美味しく食べた。

少女は料理を微笑んで食べた。



暫く後の事。



ここは、屯所。



冬至の七種の料理の準備中のため、僅かに賑やかな雰囲気になっている。



縁。



斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司が笑顔で来た。



斉藤一は傍に在る部屋の中へと普通に入った。

沖田総司は傍に在る部屋の中へと不思議な様子で入った。



直後の事。



ここは、一室。



沖田総司は斉藤一を何かを思い出した様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 南瓜、人参、蓮根、銀杏、寒天、お饂飩の五種類を使った料理を食べました! 金柑と寒天の二種類を使った菓子を食べました! 合わせて冬至の七種です! 雅な組み合わせですよね! 菓子も料理もとても美味しかったです!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「鈴ちゃんと冬至の七種を食べる時に、鈴ちゃんが抱き締めたくなる程に嬉しい話をしてくれました。鈴ちゃんの部屋には、私と鈴ちゃんだけでしたが、迷惑を掛けると困るので抱き締めませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今回の状況の場合は、総司が美鈴さんを抱き締めても迷惑にならない。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、冬至の七種をたくさん食べて、美鈴さんが全ての人に自慢して紹介できる稼ぎと出世を手に入れたいのだろ。美鈴さんは、総司に冬至の七種を食べて来年も元気に過ごして欲しいのだろ。今回の状況で思い切り行動しなければ、いつ思い切り行動するんだ?」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「私は鈴ちゃんと話した内容を誰にも教えていません。なぜ斉藤さんが私と鈴ちゃんの話した内容を知っているのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「細かい状況を気にするな。」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。細かい状況ではありません。重要な状況です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の想いに関係なく、細かい状況だ。」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さんの今回の発言の内容は、重要な内容です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司の額を普通の表情で思い切り弾いた。

沖田総司は額を痛い表情で押さえると、斉藤一に大きな声で話し出す。

「斉藤さん! 痛いです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の大切な物と大切な者を同時に表に出したいが、物凄く奥に在るらしい。再び挑戦する。」

沖田総司は痛い表情で額を押さえながら、斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さんの話の意味が分かりません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



土方歳三の大きな声が聞こえてきた。

「みんな! 冬至の七種の準備が終わったぞ!」



隊士達の勢いの良い足音が、部屋の外から聞こえてきた。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。しっかり稼いでしっかり出世をしたいのだろ。今回は、冬至の七種を張り切って食べろ。」

沖田総司は痛い表情で額を押さえながら、斉藤一に怪訝な様子で頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と俺は、大切な友達だろ。冬至の七種を共に食べよう。」

沖田総司は痛い表情で額を押さえながら、斉藤一に怪訝な様子で頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は額を痛い表情で押さえながら、斉藤一を怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。ゆっくりとしていると、冬至の七種を食べる量が減るぞ。」

沖田総司は額から手を離すと、斉藤一を慌てて見た。



沖田総司は部屋を慌てて出て行った。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



小豆粥を食べる。

柚子湯に浸かる。

冬至の七種を食べる。

冬至の日には、寒さの続く日々を無事に乗り切るための古の知恵が幾つもある。

沖田総司が幾重にも彩る想いに気付く古の知恵は、今の時点では見付からない。

土方歳三、斉藤一、少女の苦労は、暫く続くと思われる。




〜 完 〜




*      *      *      *      *      *




ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ここからは後書きになります。

「冬至の七種(とうじのななくさ)」についてです。

京都の風習と伝えられています。

「冬至(とうじ)」に「ん」が二つ続く七種類の食べ物を食べると、病気に掛からずに過ごせると伝えられているそうです。

「冬の七種」は、「南瓜(かぼちゃ)(※なんきん)」、「人参(にんじん)」、「金柑(きんかん)」、「蓮根(れんこん)」、「銀杏(ぎんなん)」、「寒天(かんてん)」、「饂飩(うどん)(※うんどん)」です。

「冬の七種」は、「運(うん)」・「鈍(どん)」・「根(こん)」に通じ出世すると伝えられているそうです。

「冬至(とうじ)」についてです。

二十四節気の一つです。

現在の暦の12月22日頃、または、この日から「小寒(しょうかん)(現在の暦で、翌年の1月5日頃)」までの期間をいいます。

北半球では太陽が最も低く、夜が最も長くなる日です。

冬至の日に、柚子湯に入り、小豆粥や南瓜を食べると、風邪をひかないといわれています。

冬至の日に柚子湯に入るのは、「冬至」を「湯治(とうじ)」、「柚子」を「融通が利く。融通良く。」に掛けているといわれています。

古代では、冬至を一年の始まりとしていたそうです。

太陽太陰暦では、十九年に一度、冬至の日が11月1日となる事があるそうです。

これを「朔旦冬至(さくたんとうじ)」と呼ぶそうです。

朔旦冬至の時は盛大に祝っていたそうです。

一番最近の朔旦冬至は、1995年だそうです。

次の朔旦冬至は、2014年だそうです。

冬至の日に南瓜を食べる風習は、江戸時代中期頃から始まったといわれているそうです。

柚子湯に入り小豆粥を食べる風習については確認を取っていません。

2008年の冬至は、12月21日です。

2009年の冬至は、12月22日です。

念のためにご確認ください。

「古(いにしえ)」は、「過ぎ去った古い時代。過ぎ去った月日。亡くなった人。」の意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





「はじめに」  

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