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新撰組異聞 〜 緑の桜と黄緑の桜 春の想い 〜
今は、春。
暖かさを感じる時間が増えていたが、数日前から寒い時間が続くようになった。
今日も寒さを感じる。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
本堂。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
少女は辛い表情で咳きをした。
沖田総司は少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。大丈夫? 咳が長く続いているね。風邪かな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「風邪かも知れません。総司さんにうつると悪いです。気を付けます。」
沖田総司は少女に心配して話し出す。
「私の心配はしなくて良いよ。無理しないでね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「今日は総司さんが逢ってくれる大切な日です。大丈夫です。」
沖田総司は少女を心配して見た。
少女は辛い表情で咳きをした。
沖田総司は少女に心配して話し出す。
「今日は帰ろう。鈴ちゃんが元気になったら、毎日、逢うよ。ゆっくりと休んで。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんに、毎日、逢えるのですね。嬉しいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「私も嬉しいよ。」
少女は辛い表情で咳きをした。
沖田総司は少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。本当に大丈夫?」
少女は沖田総司に辛い表情で静かに話し出す。
「総司さん。寒く感じませんか?」
沖田総司は少女の額に心配して手を当てた。
少女は沖田総司を辛い表情で見た。
沖田総司は少女の額から手を離すと、少女に驚いて話し出す。
「鈴ちゃん! 熱がある!」
少女は沖田総司に辛い表情で微笑んで話し出す。
「私は大丈夫です。」
沖田総司は少女を心配して見た。
少女は沖田総司に辛い表情でもたれ掛かった。
沖田総司は少女を驚いて抱いた。
少女が沖田総司に辛い表情で微笑んで静かに話し出す。
「いつも面倒を掛けてしまいます。ごめんなさい。」
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。早く家に戻ろう。」
少女は沖田総司に辛い表情で微笑んで静かに話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を抱いて、少女を心配して見た。
数日後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は困惑して考えながら居る。
斉藤一が部屋を普通に訪れた。
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 今日は予定がありますか?! 何処かに行きましょう!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。本当に何処かに行きたいのか?」
沖田総司が斉藤一を驚いて見た。
斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。
「総司。無理をして笑っている。俺の前で無理をする理由があるのか?」
沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。
「最近、鈴ちゃんの咳きが酷くて心配していました。今日も、鈴ちゃんは高熱が続いて動けないそうです。鈴ちゃんは、今日も食事や水分などを、ほとんど摂れないそうです。鈴ちゃんに逢えない日が続いています。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。
「高熱が幾日も続くと、もしもの可能性を考える必要があるそうです。鈴ちゃんが私に逢いたいと話しているそうです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は、辛くなったから、何処かに逃げたいのか。」
沖田総司は斉藤一に辛く話し出す。
「私より元気な人物が、私より先に亡くなった時があります。数日前の鈴ちゃんは、私より元気でした。鈴ちゃんが私より先に亡くなる状況を考えそうになる時があります。私は任務を理由にして、鈴ちゃんに無理を幾度も押し付けていました。私は任務を理由にして、私の都合を幾度も押し付けていました。鈴ちゃんが私より先に亡くなったら、私の責任です。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に辛く話し出す。
「私の体調を考えると、私は鈴ちゃんに逢えません。今の私は、鈴ちゃんのために逢えません。鈴ちゃんに逢えないまま、鈴ちゃんにもしもの出来事が起きた場合、鈴ちゃんが可哀想です。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に辛く話し出す。
「鈴ちゃんに関して相談の出来る人物は、斉藤さんのみです。一人で居ると、悪い出来事を考えてしまいます。斉藤さんの話すとおり、私は、斉藤さんを頼りにして、逃げようとしたと思います。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺が美鈴さんの見舞いに行く。」
沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。
「斉藤さん。お願いいします。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に真剣な表情で軽く礼をした。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
少し後の事。
ここは、少女の住む家。
少女の部屋。
少女は目を閉じて辛い表情で床の中に居る。
手伝いの女性が心配な様子で居る。
斉藤一は部屋の中に普通に入った。
少女は目を閉じて辛い表情で床の中に居る。
手伝いの女性は斉藤一に心配な様子で軽く礼をした。
斉藤一は手伝いの女性に普通の表情で頷いた。
手伝いの女性は部屋を心配な様子で出て行った。
斉藤一は少女に普通の表情で静かに話し出す。
「美鈴さん。俺の声が聞こえるか?」
少女は床の中で、ゆっくりと目を開けると、斉藤一を辛い様子で微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。今日は、俺が一人で訪ねた。総司は居ない。期待させて悪かった。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さんに逢えて嬉しいです。斉藤さんに病気のうつる可能性が有ります。斉藤さんのお仕事に影響が出ます。離れてください。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「俺は鍛えている。俺は大丈夫だ。俺の心配はするな。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さん。総司さんは元気ですか?」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司は相変わらずだ。心配するな。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「総司さん。無事なのですね。安心しました。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司に逢いたいだろ。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「総司さんに物凄く逢いたいです。総司さんに逢えたら、思い残す出来事が無いと思う程に逢いたいです。今の私が総司さんに逢ったら、総司さんに迷惑が掛かります。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。今にも死ぬ人物の話す内容だ。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で悲しく静かに話し出す。
「高熱が続いて亡くなった人物を知っています。私の症状に良く似ています。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんは、医師ではない。想像で話すな。美鈴さんの身にもしもの出来事が起きれば、総司が泣く。総司を悲しませるな。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さん。思い残す出来事がありました。総司さんと斉藤さんと一緒に、江戸に行って、藤の花と花火を見る約束をしました。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。落ち込ませて申し訳ないが、任務などの関係で、俺と総司と美鈴さんが一緒に、江戸に行って、藤の花と花火は見られないかも知れない。別な思い残す出来事がある。思い出せ。」
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「総司さんと斉藤さんと一緒に、緑の桜の花を見たいです。総司さんと斉藤さんと一緒に、淡い黄緑色の花の咲く桜を見たいです。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「分かった。美鈴さんの話す桜の花を一緒に見る。」
少女は床の中で、斉藤一を見ながら、斉藤一に辛い様子で微笑んで手を伸ばした。
斉藤一は少女の手を普通の表情で静かに握った。
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さん。総司さんの傍に何時も居ますよね。羨ましいです。私は斉藤さんを通じて、総司さんの傍に居ます。斉藤さんと少しだけ同じになりました。」
斉藤一は少女の手を握り、少女に普通に話し出す。
「総司に本当に逢わなくて良いのか? 遠慮せずに話せ。」
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一を見ながら、辛い様子で微笑んで涙を流した。
斉藤一は少女の手を握り、少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。今の話の中に嘘の部分があるから、辛くて涙を流す。俺に嘘をついても無駄だ。素直な気持ちで話せ。」
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「総司さんに逢いたいです。」
斉藤一は少女の手を握り、少女に普通に話し出す。
「美鈴さんの気持ち。了承した。」
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さん。更に思い残す内容を思い出しました。」
斉藤一は少女の手を握り、少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。遠慮せずに話せ。」
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「総司さんが、私が元気になったら、毎日、逢う、と話しました。早く元気になって、本当に、毎日、逢ってもらいます。」
斉藤一は少女の手を握り、少女に普通の表情で頷いた。
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一を辛い様子で微笑んで見た。
斉藤一は少女の手を握り、少女を普通の表情で見た。
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さん。お願いがあります。机の上に、鈴が二つ在ります。私にもしもの出来事が起きた時に、総司さんに机の上に在る鈴を渡してください。」
斉藤一は少女の手を握り、少女に普通に静かに話し出す。
「今にも死ぬ人物の話す内容だ。」
少女は床の中で、斉藤の手を握り、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「総司さんは、私にもしもの出来事が起きた時に、総司さん本人が無理をさせたからだと思って、物凄く落ち込む可能性が有ります。机の上に在る鈴は、大切な鈴です。私が無事な時は、鈴を返してください。」
斉藤一は少女の手を普通の表情で静かに放した。
少女は床の中で、斉藤一を辛い様子で微笑んで見た。
斉藤一は二つの鈴を普通の表情で丁寧に持った。
少女は床の中で、斉藤一に辛い様子で微笑んで静かに話し出す。
「斉藤さん。更に我がままなお願いがあります。」
斉藤一は二つの鈴を持ち、少女に普通の表情で頷いた。
少女は床の中で、斉藤一を辛い様子で微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
沖田総司は心配な様子で居る。
斉藤一は普通に来た。
沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃんの容態を教えてください。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「数日ほど、高熱が続くと危ないらしい。」
沖田総司は斉藤一を心配して見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは総司には逢わないと話した。」
沖田総司は斉藤一に不安な表情で話し出す。
「斉藤さん。今の話は本当ですか?」
斉藤一は懐から藤の花の柄の土鈴を出すと、沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんが総司に鈴を渡して欲しいと話した。」
沖田総司は藤の花の柄の土鈴を不安な表情で見た。
藤田五郎は藤の花の柄の土鈴を普通に放した。
沖田総司は藤の花の柄の土鈴を慌てて取ろうとした。
藤の花の柄の土鈴が地面に落ちた。
藤の花の柄の土鈴が割れた。
沖田総司は藤の花の柄の土鈴を驚いて見た。
斉藤一は沖田総司と藤の花の柄の土鈴を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に怒って話し出す。
「斉藤さん! 鈴から意図的に手を放しましたね!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「呆れた。馬鹿らしくなった。」
沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。あの子は、直ぐに泣く、落ち込む、剣術の知識が無い、役に立たない。あの子より綺麗で役に立つ女性は、たくさんいる。総司の立場ならば、あの子より綺麗で役に立つ女性と過ごせる。あの子は直ぐに死ぬ可能性がある。あの子に見切りをつけて、元気で綺麗で役に立つ女性を探して付き合え。」
沖田総司は斉藤一の着物を掴むと、斉藤一を睨んで静かな声で話し出す。
「鈴ちゃんを貶める内容を話すな。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一の着物を掴んで、斉藤一を睨んで怒って話し出す。
「鈴ちゃんは絶対に亡くならない! 斉藤さんは最低最悪な人物だ! 私は斉藤さんを友達だと思っていた! 私は斉藤さんの本当の気持ちに気付かなかった! 私は私が恥ずかしい!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。本心ならば、俺に私的な内容で迷惑を掛けるな。俺は暇ではない。」
沖田総司は斉藤一の着物を掴むと、斉藤一を睨んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。放せ。」
沖田総司は斉藤一の着物を睨んで放した。
斉藤一は普通に居なくなった。
沖田総司は藤の花の柄の土鈴の欠片を悔しい表情で拾った。
七日ほど後の事。
ここは、八重桜の花の咲く場所。
少女は微笑んで居る。
沖田総司は笑顔で走ってきた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を心配して見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。立って待っていたんだ。疲れるよ。次回からは、待ち合わせをせずに、私が家まで行くよ。無理をしないで。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「体調は戻りました。総司さんと待ち合わせをして逢いたいと思いました。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「私が任務のために後れる場合、鈴ちゃんが一人で待つ時間が増えるよ。鈴ちゃんが元気でも心配だよ。家まで迎えに行くよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「分かりました。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「八重桜の花がたくさん咲いています。八重桜を見ながら話したいです。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。斉藤さんは元気にしていますか?」
沖田総司は少女に僅かに不機嫌に話し出す。
「最近、斉藤さんとほとんど話さないんだ。斉藤さんは普段と変わらずに任務に就いている。斉藤さんは元気だと思う。」
少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。
「総司さん。喧嘩したのですか?」
沖田総司は少女に僅かに不機嫌に話し出す。
「斉藤さんは、鈴ちゃんの大切な形見の鈴を意図的に割ったんだ。斉藤さんは、鈴ちゃんが直ぐに亡くなる、などと話したんだ。」
少女は懐から小さい包みを微笑んで出した。
沖田総司は少女を不思議な様子で見た。
少女は小さい包みを丁寧に微笑んで広げた。
小さい包みの中には、藤の花の柄の土鈴が入っている。
沖田総司は藤の花の柄の土鈴を驚いて見た。
少女は藤の花の柄の土鈴を微笑んで身に付けると、包みの布を懐に微笑んで仕舞った。
沖田総司は少女と藤の花の柄の土鈴を驚いて見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に驚いて話し出す。
「鈴ちゃん! 何故、形見の大切な鈴が在るの?!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんの割った鈴は、別物の鈴です。」
沖田総司は少女を驚いて見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「以前に、似る土鈴を見付けました。何かの時のために、鈴を手に入れました。」
沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃんの今の話。知っているの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんも知っています。」
沖田総司は少女を不思議な様子で見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんは想像より早く鈴を割りました。斉藤さんの話を聞いて、総司さんの話を聞いて、斉藤さんらしいと思いました。」
沖田総司は少女を不思議な様子で見ている。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は本当に危険な状況でした。斉藤さんに、私が亡くなった時に、総司さんが責任を感じる、総司さんが悲しむ、などの状況にならないように、お願いしました。斉藤さんは私のお願いを受けてくれました。」
沖田総司は少女を不思議な様子で見ている。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんは、逢いたい人物に逢うように話しました。私は総司さんに逢ったら直ぐに亡くなる気持ちになってしまいました。私は斉藤さんに逢いたい人物の名前などを直ぐに話せませんでした。斉藤さんは遠慮せずに逢いたい人物を教えろと話しました。私は、逢いたい人物の名前を話しました。」
沖田総司は少女を不思議な様子で見ている。
少女は沖田総司に言い難く話し出す。
「斉藤さんは、鈴を割った次の日以降も、毎日、お見舞に来ました。斉藤さんは、私に総司さんの様子を教えてくれました。」
沖田総司は少女に辛い表情で話し出す。
「何も知らなかった。斉藤さんに酷い言動をたくさんとってしまった。」
少女は前を指して、沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は前を不思議な様子で見た。
斉藤一が普通に居る。
沖田総司は斉藤一を困惑して見た。
少女は前を指すのを止めると、沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は斉藤一と少女を困惑して見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。総司さんのために、斉藤さんのために、私のために、仲直りをしてください。」
沖田総司は斉藤一と少女を困惑して見ている。
少女は沖田総司を微笑んで軽く押した。
沖田総司は驚いて前に出た。
斉藤一は普通に来た。
沖田総司は斉藤一を動揺して見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃんの毎日のお見舞い。ありがとうございました。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。
「私は斉藤さんに酷い言動をたくさんとりました。斉藤さんは私の代わりに鈴ちゃんを励ましたと聞きました。鈴ちゃんの大切な形見の鈴を割っていない話を聞きました。私は斉藤さんの気持ちに気付きませんでした。斉藤さん。本当に申し訳ありませんでした。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんの願いだ。美鈴さんと交わした約束だ。総司が俺に詫びる理由は無い。」
沖田総司は斉藤一を困惑して見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。私と斉藤さんと鈴ちゃんと一緒に、桜を見る約束をしました。鈴ちゃんの傍に早く行きましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
少し後の事。
ここは、八重桜の花の咲く場所。
少女は八重桜を見ながら、微笑んで歩いている。
黄緑色の花の咲く八重桜の傍に来た。
少女は微笑んで止まった。
少女は黄緑色の花の八重桜を見ると、微笑んで呟いた。
「綺麗。」
少女の前から、沖田総司の明るい声が聞こえた。
「鈴ちゃん〜!」
少女は前を微笑んで見た。
沖田総司は微笑んで来た。
斉藤一は普通に来た。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。私と斉藤さんと鈴ちゃんで、桜を見る約束をしたよね。居なくなったら、約束が実行できないよ。」
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。
少女も沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。
少し後の事。
ここは、八重桜の花の咲く場所。
斉藤一は普通に居る。
少女は微笑んで居る。
沖田総司は斉藤一と少女の居る場所から、少し離れた場所に居る。
少女は斉藤一を申し訳なく見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。
「私の我がままのために、総司さんと斉藤さんが、長い間、お話しが出来なかったと知りました。斉藤さんにも総司さんにも、迷惑を掛けてしまいました。ごめんなさい。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「当時の総司は、動揺が激しかった。当時の総司は、美鈴さんの身に本当に不測の事態が何か起きた場合、落ち込みも動揺も、激しくなる可能性があった。当時の総司は、放って置くと、対処が更に大変になった。迷惑にならない。安心しろ。」
少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。
「総司さんと斉藤さんは、物凄く仲が良いです。私のために、総司さんと斉藤さんが仲違いの状況になってしまいました。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「俺は、総司が落ち込んで総司本人を責める姿より、総司が俺を責めて強く生きる姿が、見たい。美鈴さんは総司が大切に想う人物だ。俺は美鈴さんを尊敬している。俺は、総司と美鈴さんが関係する状況だから、美鈴さんの願いを受けた。」
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「本当に強い縁は、切れない。切れる縁は、脆い部分の有る縁だ。不測の事態が起きれば、必ず切れる。俺と総司の縁は、強い。今も、俺と総司の縁は、切れていない。心配するな。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。総司より絶対に先に死ぬな。美鈴さんが総司を看取れ。美鈴さんが総司を看取れない状況の場合、美鈴さんは総司より何が何でも長く生きろ。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
斉藤一の後ろと少女の後ろから、沖田総司の明るい声が聞こえた。
「緑色の桜の花が咲いているよ〜! 黄緑色の桜の色が咲いているよ〜! 早く来て〜!」
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に普通の表情で頷いた。
少女は微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、八重桜の花の咲く場所。
沖田総司は僅かに拗ねて居る。
斉藤一は普通に来た。
少女は微笑んで来た。
沖田総司は斉藤一と少女に僅かに拗ねて話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃん。長く話していたね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「生きるは良いです、総司さんと斉藤さんに逢えて嬉しいです、総司さんと斉藤さんに逢えて感謝します、などの内容を話しました。」
斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司は少女に真剣な表情で話し出す。
「私は、鈴ちゃんが先に亡くなったとしても、絶対に忘れない。鈴ちゃんを何時も思い出すのは無理だけど、鈴ちゃんを絶対に忘れない。鈴ちゃんは、私のためにも、斉藤さんのためにも、何が起きても生きる状況を諦めないで。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一と少女に恥ずかしく話し出す。
「今回の件では、斉藤さんにも、鈴ちゃんにも、迷惑をたくさん掛けた。鈴ちゃんと斉藤さんに、謝る言葉が思い浮かばない、などと気付いてしまった。」
斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。
「今回の件では、ではなくて、今回の件でも、が正しい。」
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は斉藤一と少女を苦笑して見た。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司、斉藤一、少女の八重桜の花見は、強い想いと強い繋がりの中で、続いている。
〜 完 〜
* * * * * *
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ここからは後書きになります。
「緑の桜」は、「御衣黄(ぎょいこう)」です。
「黄緑の桜」は、「鬱金(うこん)」、です。
「桜(さくら)」の「御衣黄(ぎょいこう)」についてです。
バラ科です。
オオシマザクラ系の「里桜(さとざくら)」です。
栽培品種です。
八重咲きです。
開花期は、現在の暦で、4月下旬頃です。
開花した時の花色は、緑色です。
次第に、花色が緑色から黄緑色に変化していきます。
更に、花弁の中心部分が筋状に赤くなります。
別名は、「御衣黄桜(ぎょいこうざくら)」、です。
江戸時代には見られる桜だったそうです。
「桜」の「鬱金(うこん)」についてです。
バラ科です。
オオシマザクラ系の「里桜(さとざくら)」です。
栽培品種です。
八重咲きです。
開花期は、現在の暦で、4月中旬頃です。
花色は、淡黄緑色です。
別名には、「鬱金桜(うこんざくら)」、などがあります。
名前の由来は、鬱金色の花色が咲くところから付きました。
江戸時代の書物に記録のある桜です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
「はじめに」
目次
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