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新撰組異聞外伝 〜 文月の風の音 〜


ここは、東京の町。



蝉の鳴き声が元気良く響き、暑い日が続いている。



ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。



沖田総司の息子の敬一が、藤田五郎の家を訪れている。



藤田五郎は仕事のために家に居ない。

時尾と勉と敬一の三人が家に居る。



ここは、藤田五郎の家の客間。



敬一は一人で客間に居る。



時尾がお盆に麦茶の入った湯飲みを載せて、部屋の中に微笑んで入ってきた。



敬一は時尾を微笑んで見た。

時尾は敬一の前に、微笑みながら麦茶の入った湯飲みを置いた。

敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「ありがとうございます!」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は麦茶を美味しそうに飲み始めた。

時尾は敬一を微笑んで見ている。



敬一は麦茶を笑顔で飲み終わった。

時尾は敬一を微笑んで見ている。

敬一は湯飲みを時尾に差し出すと、微笑んで話し出す。

「ごちそうさまでした。」

時尾は敬一から湯飲みを受取ると、微笑んでお盆に置いた。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「話しが遅くなりましたが、今日は勉君と遊ぼうと思って訪ねてきました。」

時尾は敬一に申し訳なさそうに話し出す。

「勉は昼寝をしているの。もう少し経つと起きると思うから、少し待っていても大丈夫かしら?」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「勉君が寝ているのなら、僕は直ぐに帰ります。」

時尾は敬一に心配そうに話し出す。

「外はまだ暑いし、来たばかりよね。勉も敬一君が来た事を知ったら遊びたいと思うの。もし勉がずっと寝たままだとしても、直ぐに帰らずに日差しが落ち着いてからというのはどうかしら?」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「僕も突然に来ました。勉君も起きて直ぐに遊ぶのは辛いと思います。僕の事は気にしないでください。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「直ぐに帰るにしても、麦茶をもう一杯だけ飲んでからにしない?」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お願いします。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「麦茶のお代わりを用意します。少し待っていてくださいね。」

敬一は時尾を微笑んで軽く礼をした。



時尾は麦茶の用意をするために、お盆を持ちながら客間を出て行った。



それから僅かに後の事。



敬一は客間に一人で居る。



時尾は麦茶の入った湯飲みを載せたお盆を持ちながら、微笑んで客間の中に入ってきた。



敬一は時尾を微笑んで見た。

時尾は敬一の前に麦茶の入った湯飲みを微笑んで置いた。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は麦茶を美味しそうに飲み始めた。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「もう少し経つとお盆ね。」

敬一は麦茶を飲むのを止めると、時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんと敬一の二人でのお盆の準備は大変ね。」

敬一は困惑した様子で下を向いた。

時尾は敬一に申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんなさい。」

敬一は顔を上げると、時尾に微笑んで話し出す。

「僕は大丈夫です。」

時尾は敬一を心配そうに見た。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんは、お父さんはお盆には行かなければならない所があると言いました。だから、僕とお母さんは、お盆に関する事をほとんど行いません。でも、お盆に関する事を全く行なわないと、周りの人達が不思議に思うかも知れないし、僕がお盆について何も知らないのは困るから、お盆らしい事を行なう程度です。」

時尾は敬一を心配そうに見ている。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんはお父さんの事をたくさん知っています。僕とお母さんは、お父さんが安心してお盆を過ごす事が出来るように、普段から心配を掛ける事のないように生活をしようと話しをしています。」

時尾は敬一を心配そうに見ている。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「陽の落ちた時に僕が一人で盆踊りに出掛ける事があります。お母さんは僕の事を心配していると思います。僕もお母さんの事が心配です。だから、一人で出掛ける時は、早く帰るようにしています。お母さんと一緒に盆踊りに出掛けた事もあります。でも、お母さんは、盆踊りをほとんど踊りません。僕一人だけ盆踊りを踊るのは悪いから、早めに帰るようにしています。」

時尾は敬一を心配そうに見ている。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「盆踊りに限らず、お母さんは僕と一緒に出掛ける時は、とても気遣ってくれます。陽が落ちた時は、更に気遣ってくれます。東京に着てからは、お母さんと一緒に出掛ける機会が増えました。お母さんも楽しそうにしている事が増えました。斉藤さんに稽古を就けてもらえるようになってからは、少しずつだけど強くなってきたように感じます。僅かずつですが、お母さんの事を守る事も出来るようになったと感じます。」

時尾は敬一を心配そうに見ている。




外で微かに風が吹いた。



風鈴が涼しげな音を鳴らした。



敬一は風鈴を寂しそうに見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「麦茶を飲んでいる最中に話し掛けてごめんなさい。麦茶がぬるくなっているわね。麦茶を入れ直すから、少しだけ待っていてね。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「時尾さんの入れてくれた麦茶は美味しいです。麦茶を入れ直すのは、もったいないです。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は麦茶を微笑んで飲み始めた。

時尾は敬一を微笑んで見ている。



敬一は麦茶を微笑みながら飲み終わった。

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は時尾に湯飲みを微笑んで差し出した。

時尾は敬一から微笑んで湯飲みを受取った。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「勉君の様子を見ても良いですか?」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。



敬一は微笑んで部屋を出て行った。

時尾湯飲みを載せたお盆を持ちながら、微笑んで部屋を出て行った。



それから僅かに後の事。



ここは、時尾と勉の部屋。



時尾と敬一は、静かに部屋の中に入ってきた。



勉は床の中で気持ち良さそうに寝ている。



敬一は勉の寝顔を微笑んで見た。



時尾は敬一と勉の様子を確認すると、静かに部屋を出て行った。



外で微かな風が吹いた。



風鈴が涼しげな音を鳴らした。



敬一は勉の寝顔を見ながら、微笑んで呟いた。

「いいな〜」

勉は床の中で気持ち良さそうに眠り続けている。

敬一は勉の寝顔を微笑んで見た。



風鈴の涼しげな音が、少しずつ小さくなっていく。



敬一は静かに部屋を出て行った。



それから暫く後の事。



ここは、敬一と母親の美鈴の住む家。



敬一が元気良く家に帰ってきた。



美鈴は敬一の前に微笑んで現れた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。もう直ぐお盆だね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。お腹が空いた。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「直ぐに用意をするから、食卓で座って待っていてね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。



美鈴は台所に向うために、敬一の前から居なくなった。



敬一は食卓に向かうために、家の中へと入っていった。



それから僅かに後の事。



ここは、敬一と美鈴の家に在る食卓。



敬一は食卓の前に微笑んで座っている。



外で風が吹いた。



がらすの風鈴が涼しげな音を鳴らした。



敬一はがらすの風鈴を微笑んで見た。



がらすの風鈴の涼しげな音が、少しずつ小さくなっていく。



敬一はがらすの風鈴を微笑んで見ている。



がらすの風鈴の動きが止まり、涼しげな音が止んだ。



敬一はがらすの風鈴から視線を外すと、寂しそうな表情になった。



それから暫く後の事。



ここは、藤田五郎の家。



藤田五郎は仕事を終えて家に帰ってきている。



ここは、藤田五郎の部屋の中。



時尾が藤田五郎の部屋に来た。



藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎に心配そうに話し出す。

「今日の事ですが、敬一君が家に来ました。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎に心配そうに話し出す。

「敬一君にお盆の話をしたら、寂しそうな顔をしました。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎に心配そうに話し出す。

「敬一君の家では、お盆らしい事は行っていないようです。美鈴さんが実家などに気を遣われているのだと思います。私の気配りが足りなくて、敬一君に寂しい思いをさせてしまいました。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「時尾は気配りが出来ている。近い内に敬一の様子を確認する。気にするな。」

時尾は藤田五郎を安心した表情で見た。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「酒が飲みたい。食卓の方に用意をしてくれ。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「直ぐに用意をします。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。



時尾は酒の用意をするために、藤田五郎の部屋から居なくなった。



その翌日の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



敬一と美鈴は、家の中に居る。



敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お母さん。近くのお寺で盆踊りをするらしいよ。一緒に出掛けようよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お寺に出掛けて調べてきたのね。凄いわね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「偶然に知ったんだ。だから凄くないよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「一晩中は無理だけど、盆踊りに出掛けましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「楽しみだね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を笑顔で見た。



それから何日か後の事。



敬一と美鈴が出掛けるお寺で盆踊りが行なわれる日。



ここは、東京の町。



まだ陽の明るさが残っている。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「簡単な物になるけれど、早めに夕飯にしましょう。盆踊りから帰ってきた後にも、簡単な物になるけど食べましょう。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。



それから少し後の事。



ここは、東京の町。



陽の落ち始める時間が近づいてきた。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



外で風が吹いた。



がらすの風鈴が涼しげな音を鳴らした。



敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! 盆踊りに出掛ける準備は出来た?!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「盆踊りに出掛けるのは、もう少し後よね。今は準備をしている最中よ。」

敬一は美鈴を恥ずかしそうに見た。

美鈴は敬一を微笑んで見た。



玄関で誰かが訪ねてきた音がした。



美鈴は敬一に微笑んで話し掛ける。

「お客様が来たみたい。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。



美鈴は敬一の前から微笑んで居なくなった。



敬一はがらすの風鈴を寂しそうに見た。



敬一の後ろで美鈴と藤田五郎が居る気配がした。



敬一は驚いた様子で後ろを振り向いた。



藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

美鈴は敬一を微笑んで見ている。



敬一は藤田五郎に不思議そうに話し出す。

「斉藤さん。こんばんは。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。今夜は近くの寺で盆踊りを行なうそうだな。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「一緒に盆踊りに行こう。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「三人で一緒に出掛けるんだ! 楽しみだな!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと敬一の二人で楽しんできなさい。」

敬一は美鈴を心配そうに見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんはご飯を作って、斉藤さんと敬一の帰りを待っているわ。」

敬一は藤田五郎を見ると、言い難そうに話し出す。

「僕は盆踊りに出掛けても、早めに戻ろうと思っているんだ。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「構わない。」

敬一は美鈴を心配そうに見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんの事は気にせずに、ゆっくりと出掛けてきなさい。」

敬一は藤田五郎を見ると、微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎を見ると、微笑んで話し出す。

「お酒と肴の用意をして待っています。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎と美鈴を微笑んで見た。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お酒を飲んでから盆踊りに出掛けますよね。簡単な物ですが用意をしています。少しだけお待ちください。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「酒を飲むのは盆踊りから戻ってきてからにする。今は麦茶が飲みたい。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「麦茶の用意をします。少しお待ちください。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。



美鈴は麦茶の用意をするために、微笑んで居なくなった。



それから少し後の事。



藤田五郎と敬一が、盆踊りに出掛ける時間となった。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



藤田五郎、敬一、美鈴は、一緒に居る。



敬一は美鈴に心配そうに話し出す。

「お母さん。直ぐに戻って来るからね。戸締りと火の元には、充分に気を付けてね。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんの事は心配しなくてもいいから、斉藤さんと思い切り楽しんできなさい。」

敬一は美鈴を心配そうに見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと敬一は、旅行で何日も家を空ける訳ではなく、盆踊りに出掛けるのよ。心配せずに、笑顔で出掛けなさい。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。出掛けるぞ。」

敬一は藤田五郎を見ると、微笑んで話し出す。

「はい。」

美鈴は藤田五郎と敬一に微笑んで話し出す。

「食事とお酒の用意をして待っています。ゆっくりと出掛けてきてください。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。行ってきます。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

敬一は美鈴を微笑んで見た。



藤田五郎と敬一は、盆踊りへと出掛けて行った。



それから僅かに後の事。



ここは、東京の町。



陽がほとんど落ちているので、空の色が紺色で覆われ始めている。



藤田五郎と敬一は、寺へと向かって歩いている。



敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと一緒に盆踊りを踊るのですね。楽しみです。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺は盆踊りを踊らない。」

敬一は藤田五郎に不思議そうに話し出す。

「斉藤さんは盆踊りを踊らないのに、僕を誘いに来たの?」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと一緒に出掛ける盆踊りです。少しだけで良いから盆踊りを一緒に踊りたいです。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「分かった。ただし、俺は少しだけしか踊らない。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。



威勢の良い太鼓の音が聞こえてきた。



敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「太鼓の音が聞こえましたね!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。



それから少し後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



敬一と美鈴の家の縁。



美鈴は一人で縁に座って、微笑んで庭を見ている。



微かに風が吹いた。



がらすの風鈴が涼しげな音を鳴らした。



美鈴はがらすの風鈴を見ると、微笑んで呟いた。

「総司さん。斉藤さんと敬一がいつ帰ってきても良いように、ご飯とお酒と肴の準備は済ませてあります。もちろん総司さんの分の準備も済ませてあります。五人で楽しんで過ごしましょう。」



がらすの風鈴の涼しげな音が、少しずつ小さくなっていく。



美鈴はがらすの風鈴を微笑んで見ている。



がらすの風鈴の涼しげな音が聞こえなくなった。



美鈴は静かに立ち上がると、微笑んで家の中へと入っていった。



涼しげな風鈴の音。

響き渡る蝉の声。

威勢の良い太鼓の音。

盆踊りを楽しむ人々の声。



文月の頃に東京の町で聴く事の出来る音。



日を重ねるごとに、秋の季節を感じさせる音がゆっくりと増えていきます。




〜 完 〜




*      *      *      *      *      *




ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ここからは後書きになります。

「新撰組異聞」と「新撰組異聞外伝」では、敬一君と美鈴さんが沖田総司さんの家族という事は、ごく一部の人達だけしか知らないという設定になっています。

そうなってしまった理由に一つに、幕末という背景があります。

そのため、この物語での美鈴さんや敬一君は、この頃に行われるお盆とは少し違う事をしています。

「お盆」についてです。

旧暦の頃の「お盆」は、「旧暦の七月十五日」に行われている事が多かったそうです。

明治になってからも、旧暦で「お盆」行う地域もあったそうですが、次第に減ってきたそうです。

次第に「新暦の七月十五日」や「新暦の八月十五日(旧暦の七月十五日を意識しての日程と考えられているそうです)」に「お盆」行う地域が増えてきたそうです。

「新暦の七月十五日」に「お盆」を行なうのは関東が主流に、「新暦の八月十五日」に「お盆」を行なうのは関西が主流に、それぞれなっていたようです。

ただし、最近(昭和の終わり頃から平成の頃)は、仕事や学校などの関係で、「お盆」の日程をずらして行う事も増えてきました。

この物語の舞台は東京ですが、「新暦の八月十五日」にお盆が行なわれているという設定にしました。

「お盆」の日程について、簡単な流れで説明します。

「十三日」の野火を「迎え火(むかえび)」と呼びます。

故人を家に迎えるそうです。

故人を家に迎えた後に、僧を招いて読経して供養します。

この読経を「棚経(たなぎょう)」と呼ぶそうです。

お盆が終わる「十六日」の野火を「送り火(おくりび)」と呼びます。

故人を彼岸に見送ります。

「十六日」の晩に「盆踊り(ぼんおどり)」を寺社の境内で行います。

この時期は満月や十六夜などに当たる事が多いので、夜通し盆踊りを踊る事も出来たようです。

新暦の八月十五日の前日か前々日は、ペルセウス座流星群の極体日に当たります。

流れ星の多い時期でもあります。

「盆踊り」は秋の季語です。

「盂蘭盆(うらぼん)」の頃に広場や寺社の境内などで、たくさんの人達が集まって踊る行事です。

本来の目的は、「お盆」に迎えた精霊を送り返すための行事といわれています。

「文月(ふみつき)」は、「陰暦七月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





はじめに  

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