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新撰組異聞外伝 〜 夢見草の咲く頃 誠を繋ぐ者達 〜


今は春。



ここは、東京。



桜の花は直ぐにも咲きそうな気配を見せている。



ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉、昨年の秋に生まれた剛の住む家。



藤田五郎の部屋。



藤田五郎と沖田総司の息子の敬一が居る。



敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんに、斉藤さんがお父さんの刀を預かっていると話したいと考えています。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に心配そうに話し出す。

「斉藤さんと以前に話した時に、お母さんに暫く秘密にすると決めましたよね。だけど、お母さんはお父さんが物凄く大好きです。お母さんはお父さんの刀が無事だと知ったら、物凄く喜ぶはずです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に心配そうに話し出す。

「お母さんには秘密を続けた方が良いのでしょうか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が美鈴さんに教えたい内容は決まっているのか?」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんがお父さんの刀を預かっている。お父さんは僕に刀を譲る考えがある。斉藤さんの刀を僕が譲り受ける予定がある。お母さんには以上の内容を話す予定です。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんに詳細に教えたいと考えているんだな。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お父さんについての大切な内容です。詳細に話したいと考えています。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。確認と忠告を兼ねて話したい内容がある。」

敬一は藤田五郎に不思議そうに頷いた。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんが今回の内容を聞いて、敬一などに取る言動がはっきりと分からない。敬一にとって予想外の言動だとしても、冷静に対処できるか?」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんは予想外の言動をしないと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「もしもの時の話をしているんだ。」

敬一は藤田五郎に考え込みながら話し出す。

「良く分かりません。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺は、敬一から美鈴さんに話すには、以前も今も早いと考えている。」

敬一は藤田五郎を心配そうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が本当に冷静に話せると考えるのなら、俺は止めない。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。冷静に話します。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんにお母さんと話した結果を伝えたいです。お母さんは今回の内容を知って、斉藤さんと連絡を取りたいと話すかも知れません。斉藤さんが休みの日にお母さんに話したいと考えています。良いですか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。



それから数日後の事。



ここは、東京。



桜の花が咲き始めている。



ここは、敬一と母親の美鈴の住む家。



食卓の有る部屋。



敬一と美鈴は、朝食を終えた。



敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「ごちそうさまでした!」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんに話があるんだ。食事の片付けが終わったら話しても良いかな?」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「今日は天気の良い日になりそうだから、洗濯物を早く干したいと考えているの。洗濯物を干し終わってからの話でも良いかしら。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「洗濯物を干し終わったら、ゆっくりと話しましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕に出来る手伝いがあったら遠慮なく言ってね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。



それから暫く後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



食卓の有る部屋。



敬一は焙じ茶を微笑んで入れている。



美鈴は敬一の傍に微笑んで来た。



敬一は美鈴の前に焙じ茶を微笑んで置いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。焙じ茶を入れてくれてありがとう。洗濯物は干し終わったから、話しを始めて良いわよ。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お父さんの刀は斉藤さんが管理しているんだよ。」

美鈴は敬一を驚いた様子で見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お父さんは亡くなる少し前に、斉藤さんに刀を預けるように、斉藤さん宛ての手紙も一緒に渡すように、誰かに頼んだらしいんだ。でも刀と手紙が別れてしまったんだって。斉藤さんの元に刀が届いた時は、手紙が無くて簡単な経緯を聞いただけなんだって。お父さんが斉藤さんに宛てた手紙は、僕と斉藤さんが逢ってから少し経った頃に届いたんだって。お父さんの手紙には、僕に刀を譲る、斉藤さんが僕に刀を譲る時期を決めて良い、などと書いてあるんだって。僕は刀の管理が出来る年齢や状況ではないから、斉藤さんが刀を預かる状況が続いているんだ。時尾さんと勉君は、斉藤さんがお父さんの刀を預かっている状況を知らないんだって。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんやご家族の方にお礼をしないといけないわね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが敬一に刀を譲ると決める日が早く訪れると良いわね。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。続きを話しても良いかな?」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「斉藤さんからお父さんの刀について教えてもらった日に、斉藤さんが僕に斉藤さん本人の刀を譲る話をしたんだ。」

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「普通ならば、斉藤さんの刀は、お子さんの勉君や剛君に譲りたいと考えるわよね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕は斉藤さんに確認したよ。斉藤さんは、勉君や剛君ではなく、僕に斉藤さんの刀を譲ると話したんだ。最初は僕も斉藤さんに断ったよ。斉藤さんは僕に刀を譲るのを決めたと話したんだ。僕は斉藤さんに刀を譲り受けると話したんだ。」

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「斉藤さんは刀と共にたくさんの戦いを生き抜いた人なの。斉藤さんにとって、刀は分身と同じなの。斉藤さんにとって、刀はとても大切な物なの。斉藤さんが敬一と逢って間もない頃に刀を譲ると言ったのには理由が有るはずよ。」

敬一は美鈴を困惑した様子で見た。

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「時尾さんと勉君は、敬一が斉藤さんの刀を譲り受ける状況を知っているの?」

敬一は美鈴に困惑した様子で話し出す。

「たぶん知らないと思う。」

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「斉藤さんの刀を敬一が譲り受ける出来事は、斉藤さんだけでなく、時尾さんと勉君と剛君にも大切な出来事なのよ。」

敬一は美鈴に困惑した様子で話し出す。

「分かっているよ。」

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「お母さんは、時尾さんと勉君が知らない状況の中で、敬一が斉藤さんの刀を譲り受けるのは賛成できないわ。」

敬一は美鈴を不機嫌そうに見た。

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「敬一。斉藤さんに断りの返事をするか、斉藤さんと再度の話し合いは出来ないの?」

敬一は美鈴に不機嫌そうに話し出す。

「嫌だ!」

美鈴は敬一を心配そうに見た。

敬一は美鈴に不機嫌そうに話し出す。

「僕が斉藤さんの刀を譲り受けるのは、僕と斉藤さんの間で交わした約束だよ! 男と男の間で交わした約束だよ! 僕は斉藤さんの刀を譲り受けるんだ!」

美鈴は敬一を心配そうに見た。

敬一は美鈴に不機嫌そうに話し出す。

「お母さんはお父さんとたくさん過ごしたよね! 僕はお父さんと一瞬も一緒に過ごしていないんだよ! お母さんはお父さんとたくさん過ごしただけでなく、贈り物もたくさん受け取っているんだよね! お母さんは我がままだよ! お父さんが信頼する大切な友達の斉藤さんと、刀を通じてずっと繋がっていたいんだ!」

美鈴は敬一を心配そうに見ている。

敬一は美鈴に不機嫌そうに話し出す。

「僕がお母さんのお腹の中に居たから、お父さんと江戸に行けなくて別々に過ごすようになったんだよね! お母さんは僕が嫌いだから意地悪を言うんだね!」

美鈴は敬一に悲しそうに話し出そうとした。

敬一は美鈴が話し出す前に、不機嫌そうに話し出す。

「これから出掛ける!」

美鈴は敬一に心配そうに話し出す。

「どこに出掛けるの?」

敬一は美鈴に不機嫌そうに話し出す。

「どこに出掛けても良いだろ!」

美鈴は敬一を悲しそうに見た。



敬一は不機嫌そうに居なくなった。



それから少し後の事。



ここは、藤田五郎の家。



藤田五郎、時尾、勉、剛の全員が居る。



ここは、玄関。



敬一は息を切らしながら訪ねてきた。



時尾は敬一の前に微笑んで現れた。



時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。こんにちは。もしかして長く走っていたの?」

敬一は息を切らしながら、時尾に困惑した様子で頷いた。



勉は敬一の前に笑顔で現れた。



敬一は息を切らしながら、勉を困惑した様子で見た。

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。こんにちは。たくさん。えがお。」

敬一は息を切らしながら、勉を微笑んで見た。

勉は敬一を笑顔で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「喉が渇いたわよね。飲み物を用意するから、家の中に入って。」

敬一は息を切らしながら、時尾に微笑んで頷いた。

時尾は敬一を微笑んで見た。

勉は敬一を笑顔で見た。



それから僅かに後の事。



ここは、食卓の有る部屋。



時尾、勉、敬一が居る。



時尾は敬一の前にお水を微笑んで置いた。

敬一はお水を一気に飲んだ。

勉は敬一を笑顔で見た。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「剛君は何をしていますか?」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「ねてる。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「剛君は寝ているんだ。」

勉は敬一に笑顔で頷いた。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんは、敬一君が訪ねてきたら、遠慮せずに部屋に来て良いと話しているの。五郎さんは部屋に居るわ。遠慮せずに部屋に行ってね。」

敬一は時尾を困惑した様子で見た。

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。いっしょ。はなみ。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君とお父さんの用事が終わって時間に余裕があったら、敬一君と庭でお花見しましょう。」

勉は時尾に笑顔で頷いた。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「お茶の用意が出来たら、部屋に持って行くわね。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

時尾は敬一を微笑んで見た。



敬一は微笑んで居なくなった。



それから僅かに後の事。



ここは、藤田五郎の部屋の前に在る縁。



敬一は困惑した様子で立ち止まった。



障子が普通に開いた。



敬一は障子が開く様子を僅かに驚いた表情で見た。



藤田五郎が敬一を普通の表情で見る姿が現れた。



敬一は藤田五郎を困惑した様子を見た。



藤田五郎は普通に話し出す。

「早く部屋の中に入れ。」



敬一は藤田五郎に困惑した様子で軽く礼をした。



藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。



敬一は部屋の中に困惑した様子で入った。



藤田五郎は障子を普通に閉めた。



ここは、藤田五郎の部屋の中。



藤田五郎と敬一が居る。



敬一は藤田五郎を困惑した様子で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。俺に話があるだろ。早く言え。」

敬一は藤田五郎を不機嫌そうに見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「お母さんに斉藤さんの刀を譲り受ける予定だと話したんだ。お母さんは、時尾さんや勉君や剛君が知らない状況で承諾したから、断るか再び話し合いをするように言ったんだ。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「僕は斉藤さんの刀を譲り受けると決めたんだ。強くなると決めたんだ。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「お母さんはお父さんが物凄く大好きなんだ。お母さんは僕がお腹の中に居たから、お父さんと江戸に行けなかったんだ。お母さんはお父さんと離れて暮らす原因になった僕が嫌いなんだ。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。本気で話しているのか?」

敬一は藤田五郎に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「僕は間違った話をしていないよ。僕は本気で話しているよ。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を僅かに不機嫌そうに見た。



藤田五郎は部屋の中に仕舞ってある沖田総司の刀を丁寧に取り出した。



部屋の中が凛とした空気に包まれた。



藤田五郎は敬一の前に沖田総司の刀を丁寧に置いた。



敬一は藤田五郎と沖田総司の刀を僅かに不機嫌そうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一の前に有るのは、総司の刀だ。俺が言わなくても既に分かっているな。」

敬一は藤田五郎に僅かに不機嫌そうに頷いた。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司の刀を総司本人だと思って、敬一が俺に話した内容を再び話せ。俺が総司の代わりに話す。」

敬一は藤田五郎を僅かに不機嫌そうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。早く話しなさい。」

敬一は藤田五郎に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「嫌です。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「斉藤一の前では話せても、父の前では話せないのか?」

敬一は藤田五郎を僅かに不機嫌そうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「危険な出来事に巻き込まれずに育てている母の美鈴に対して、恩も感謝も感じない、大嫌いだ。以上のように、私の刀に言いなさい。」

敬一は藤田五郎を僅かに不機嫌そうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「斉藤一を睨むのは止めなさい。敬一が正しくて素直な気持ちを話しているのなら、私の刀を本気で睨みなさい。」

敬一は沖田総司の刀を僅かに不機嫌そうに見た。



沖田総司の刀は、部屋の中を凛とした空気で包んでいる。



敬一は沖田総司の刀を僅かに困惑した様子で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。早く言いなさい。」

敬一は沖田総司の刀に寂しそうに話し出す。

「お母さんがお父さんからたくさんの物をもらって繋がっているように、僕もお父さんや斉藤さんと繋がっていたいんだ。お母さんは僕が嫌いかも知れないけれど、僕はお父さんもお母さんも好きだよ。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は沖田総司の刀を寂しそうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「私も美鈴も敬一を大切に想っている。敬一はたくさんの想いに包まれて生きている。」

敬一は沖田総司の刀を寂しそうに見ている。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が、新撰組三番組組長 斉藤一の刀を譲り受ける時は、新撰組三番組組長 斉藤一本人と家族の想いも譲り受けるんだ。」

敬一は沖田総司の刀を寂しそうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一がたくさんの人達の想いも譲り受けて生きるのが重荷なら、斉藤一の刀を譲り受ける話を断っても構わない。」

敬一は沖田総司の刀を寂しそうに見ている。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。美鈴には刀について冷静に話すと言ったのに、冷静に話せなかったな。」

敬一は沖田総司の刀に寂しそうに頷いた。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一がこれから取るべき行動は分かっているな。」

敬一は沖田総司の刀に寂しそうに頷いた。

藤田五郎は沖田総司の刀を丁寧に持った。

敬一は藤田五郎を寂しそうに見た。



藤田五郎は沖田総司の刀を丁寧に仕舞った。



敬一は藤田五郎を寂しそうに見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺は美鈴さんに話がある。敬一。一緒に行こう。」

敬一は藤田五郎に微笑んで頷いた。

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。



それから少し後の事。



ここは、東京。



桜が咲き始めている姿がたくさん見える。



藤田五郎は普通に歩いている。

敬一は微笑んで歩いている。



敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「桜が咲き始めていますね。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に苦笑しながら話し出す。

「桜を楽しんで見る状況ではないですよね。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「寄り道して桜を見る訳ではないから構わないと思う。」

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「家に帰らないと長々と言うと思ったが、家に帰ると直ぐに言ったな。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「迫力だと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一は、迫力を受けても長々と怒っていたのに、迫力によって家に帰ると言ったんだ。」

敬一は藤田五郎を不思議そうに見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一は総司と一度も逢っていないのに似ている。」

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「思い切り怒って、思い切り寂しがって、思い切り拗ねて、思い切り楽しんで、総司と敬一は本当に良く似ている。」

敬一は藤田五郎に不思議そうに話し出す。

「斉藤さんとお父さんは本当に友達なのですか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「秘密だ。」

敬一は藤田五郎に不思議そうに話し出す。

「秘密ですか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に不思議そうに話し出す。

「答えを教えてもらう方法を教えてください。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が俺と総司と同じ所に着いてから考える。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。精進します。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。



それから少し後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



玄関。



敬一は微笑んで来た。

藤田五郎は普通に来た。



美鈴は藤田五郎と敬一の前に心配そうに現れた。



敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「ただいま。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お帰りなさい。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「美鈴さん。話しがある。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕は部屋に居るね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。



敬一は家の中へ微笑んで入って行った。

美鈴も家の中へ微笑んで入っていった。

藤田五郎は家の中へ普通に入って行った。



それから少し後の事。



ここは、食卓の有る部屋。



藤田五郎と美鈴が居る。

食卓の上には、酒と肴が載っている。



藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「俺の刀を敬一に譲ると決めたのは、敬一の言動から判断して決めた。敬一に刀を譲ると話した時は、美鈴さんと再会できるか分からないために事前の許しをもらわなかった。」

美鈴は藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「今は基本的には刀が重要な時代ではない。家族には俺の刀の他にも譲る物は有る。息子達に刀が必要になった時は、息子達に合う刀を用意する。」

美鈴は藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「美鈴さん。俺が敬一に刀を譲る話を納得できないのなら、俺にはっきりと言ってくれ。俺が敬一と話し合う。敬一を責めないでくれ。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一へのお気遣いありがとうございます。斉藤さんが敬一の様子から刀を譲ると決めたのならば、私が反対する理由はありません。」

藤田五郎は美鈴を普通の表情で見た。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一は、刀に込めた想いを全て理解できるほどに、刀の管理が出来るほどに、精進も成長もしていません。総司さんの刀と斉藤さんの刀に関しては、よろしくお願いします。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎を微笑んで見た。



それから少し後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



藤田五郎は帰ったので家に居ない。

敬一と美鈴の二人になっている。



ここは、食卓の有る部屋。



敬一と美鈴が居る。



敬一は美鈴に真剣な表情で話し出す。

「お母さん。今日は酷い言葉で話してごめんなさい。」

美鈴は敬一を見ながら、微笑んで首を横に振った。

敬一は美鈴に真剣な表情で話し出す。

「お母さん。僕はお父さんの刀と斉藤さんの刀を譲り受けると決めた。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。斉藤さんの刀を譲り受けるのは、斉藤さんだけでなく、時尾さん、勉君、剛君にも恥じない生き方をするのと同じ意味なの。敬一がしっかりと生きないと、斉藤さんが、時尾さん、勉君、剛君に責められるかも知れないの。敬一がしっかりと生きないと、お父さんが責められるかも知れないの。敬一はたくさんの人達の想いと共に生きていくのよ。」

敬一は美鈴に真剣な表情で頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。



それから少し後の事。



ここは、食卓の有る部屋。



敬一は美味しそうに食事をしている。

美鈴は敬一を見ながら、微笑んで食事をしている。

食卓の上には、美味しそうなおかずが載っている。



敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。数日後には桜が見頃になると思うんだ。花見に行こうよ。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで頷いた。

敬一は食事をしながら、美鈴を笑顔で見た。

美鈴は食事をしながら、敬一を微笑んで見た。




〜 完 〜




*      *      *      *      *      *




ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ここからは後書きになります。

「新撰組異聞外伝」では、藤田五郎さんが沖田総司さんの頼みを受けて、敬一君に沖田総司さんの刀を渡すために預かっています。

藤田五郎さんは沖田総司さんが亡くなった後に、沖田総司さんの刀を預かっています。

藤田五郎さんが沖田総司の刀を預かっているのは、敬一君の年齢や状況が関係しています。

藤田五郎さんが沖田総司さんの刀を預かった時は、美鈴さんの存在は知っていましたが、敬一君の存在は知りませんでした。

藤田五郎さんは敬一君に沖田総司さんの刀を見せています。

藤田五郎さんは、敬一君に藤田五郎さん本人の刀を譲る話をしています。

美鈴さんは、藤田五郎さんが沖田総司さんの刀を預かっている事と、藤田五郎さんが敬一君に刀を譲る事を知りません。

以上の経過や設定は、「新撰組異聞」や「新撰組異聞外伝」関連の幾つかの物語に掲載しています。

敬一君が美鈴さんに、沖田総司さんの刀を藤田五郎さんが預かっている事と、藤田五郎さんが敬一君に刀を譲る事を、いつ伝えるのか考えました。

当初はかなり後の出来事になると考えていました。

しかし、美鈴さんの沖田総司さんへの想いを知る敬一君が、数年以上も隠せるのかと考えました。

そこで、藤田五郎さんと時尾さんの間に次男の剛さんが生まれてから迎える初めての春で、更に桜の咲く頃で物語を書きたいと考えました。

題名の「誠を繋ぐ者」は、沖田総司さん、藤田五郎さん、藤田時尾さん、藤田勉さん、藤田剛さん、敬一君、美鈴さんという、様々な立場で誠を繋ぐ人という意味で付けました。

「夢見草(ゆめみぐさ)」は「桜の別名」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





はじめに  

目次


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