新撰組異聞外伝　〜　春分の頃　〜


〜　改訂版　〜


ここは、東京。


たくさんの春の気配を感じるようになってきた。


沖田総司の息子の敬一は笑顔で歩いている。

母親の美鈴は微笑んで歩いている。


敬一と美鈴の視線の先に、桜が見えた。


美鈴は桜の傍に微笑んで来た。

敬一は桜の傍に笑顔で来た。


桜にはたくさんのつぼみが生っている。


美鈴は桜を微笑んで見た。

敬一は美鈴と桜を微笑んで見た。

美鈴は桜を見ながら、敬一に微笑んで話し出す。

「たくさんの桜のつぼみが見えるわね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を見ると、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。桜のつぼみを見ても楽しくないわよね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんと桜を見ると楽しい気持ちになるよ。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一も美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。桜餅で評判のお店で、桜餅を買いましょう。」

敬一は美鈴を見ながら、微笑んで首を横に振った。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。遠慮しないで。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「桜の花を見ながら、桜餅が食べたい。桜餅は桜の花が咲いてから買おう。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「桜の花が咲いたら、桜餅をたくさん食べましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。


美鈴は微笑んで歩き出した。

敬一も微笑んで歩き出した。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。


美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。もう直ぐ春分ね。近い内に牡丹餅を作りたいと思っているの。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。無理しないで。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「春分の頃に、お父さんに牡丹餅をたくさん食べて欲しいと思っているの。近い内に牡丹餅を作りたいと思っているの。敬一はお母さんの作る牡丹餅を食べたいか確認のために質問したの。敬一。遠慮せずに答えてね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕もお母さんの作る牡丹餅が食べたい。僕もお母さんの作る牡丹餅を食べる日が楽しみだよ。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。突然だけど、近い内に斉藤さんの家に出掛けるね。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんやご家族の方に迷惑を掛けないようにね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、敬一と美鈴の家。


玄関。


敬一は笑顔で居る。

美鈴は微笑んで居る。


敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん！　行ってきます！」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。


敬一は元気良く出掛けて行った。


少し後の事。


ここは、東京。


青空が広がっている。


敬一は元気良く歩いている。


敬一の視線の先に、桜が見えた。


敬一は桜の傍に元気良く来た。


桜は今にも咲きそうなつぼみがたくさん生っている。


敬一は桜を見ると、微笑んで呟いた。

「桜が青空の下で少しずつ咲く準備を始めている。桜の花が咲く日が楽しみだな。」


敬一は元気良く歩き出した。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の家。


玄関。


敬一は元気良く訪ねてきた。


時尾は微笑んで現れた。


敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「こんにちは！」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「今日は勉君と遊びたくて訪ねてきました。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「藤田は家に居るの。藤田は敬一君と話す時間を楽しんでいるの。藤田の部屋を遠慮しないで訪ねてね。藤田と遠慮しないで話してね。」

敬一は時尾を不思議な様子で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「今日は勉と遊ぶ約束をした日ではないわよね。今日は藤田が家に居るわ。敬一君が藤田と話すと、藤田は喜ぶわ。敬一君が藤田と話した後に余裕があれば、勉と遊んで。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一も時尾を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋の前。


敬一は笑顔で来た。


敬一は藤田五郎の部屋の中に向かって、元気良く声を掛ける。

「敬一です！　こんにちは！」


障子が普通に開いた。


藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。


敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの家に遊びに来ました。時尾さんが斉藤さんは家に居ると教えてくれました。斉藤さんの都合が悪くなければ、斉藤さんと話したいです。」


藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「部屋の中に入れ。」


敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「失礼します。」


藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


敬一は部屋の中に微笑んで入った。


藤田五郎は障子を普通に閉めた。


直後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は普通に居る。

敬一は微笑んで居る。


敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「春分が近付いていますね。暖かい春が待ち遠しいです。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は微笑んで藤田五郎に話し出す。

「斉藤さんと話しが出来て嬉しいです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は、藤田五郎の刀と沖田総司の刀が仕舞われた所を普通の表情で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に苦笑して話し出す。

「余所見をしてしまいました。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「気にするな。」

敬一は藤田五郎を苦笑して見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司の刀が気になるのか？」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「理由は分かりませんが、今日は普段より気になります。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんが敬一に総司の墓について話した記憶はあるか？」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんが僕にお父さんのお墓について話した記憶はありません。お母さんはお父さんの位牌に花や美味しいお菓子を備えています。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんはお父さんのために、近い内に牡丹餅を作る予定です。お母さんは僕の分の牡丹餅も作ってくれるそうです。楽しみです。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんの作る牡丹餅は美味しいか？」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「はい！　とても美味しいです！」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司の墓参りに行った記憶はあるのか？」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「僕はお父さんのお墓参りに行った記憶はありません。お母さんがお父さんのお墓参りに行ったと話した記憶もありません。お母さんもお父さんのお墓参りに行っていないと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。総司の墓参りに行きたいと思った時はあるか？」

敬一は藤田五郎を寂しい表情で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は下を見ると、藤田五郎に寂しく話し出す。

「出掛けたいと思った時は、無いです。出掛けたくないと思った時は、一度も無いです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は下を見て、藤田五郎に寂しく話し出す。

「分かりません。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんはお父さんのお墓の在る場所を知っていると思います。僕はお父さんのお墓が在る場所を知りません。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんは、お母さんも僕も今はお父さんのお墓参りに行かない方が良いと考えていると思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんは敬一に総司の墓参りに行かない理由を説明していないのか？」

敬一は藤田五郎に寂しく頷いた。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんは、僕にお父さんに関する出来事をたくさん教えてくれます。でも、お母さんは、僕にお父さんのお墓が在る場所について教えてくれた記憶がありません。お母さんは、今の僕がお父さんのお墓の在る場所を知らない方が良いと考えていると思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。総司の墓参りに行きたいと本気で思うならば、俺が総司の墓まで連れて行く。」

敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。お父さんのお墓の在る場所を知っているのですか？」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に心配して話し出す。

「僕がお父さんのお墓参りに行っても大丈夫なのですか？」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「今は、幕府側も維新側も共に、たくさんの関係者が生きている。危険が無い、より、危険が有る、と答える方が正確だ。」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「今も危険な状況が続いているのですね。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。危険を感じない程度になるが、総司の墓が在る場所の近くまで行くか？」

敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「僕は、お母さんがお父さんのお墓が在る場所を教えてくれるまで、お父さんのお墓参りに行きません。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。総司の墓参りに行きたくなったとしても、一人で総司の墓参りに行くな。俺が敬一を総司の墓の在る場所に案内する。」

敬一は藤田五郎に微笑んで頷いた。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎の家。


玄関。


藤田五郎は普通に居る。

時尾は微笑んで居る。

敬一も微笑んで居る。


敬一は藤田五郎と時尾に微笑んで話し出す。

「今日もたくさんの気遣いありがとうございます。斉藤さん。時尾さん。いつも感謝しています。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎と時尾に微笑んで話し出す。

「近い内に遊びに来ます。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんも私も勉も、楽しみに待っているわ。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎と時尾に微笑んで軽く礼をした。


敬一は微笑んで居なくなった。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の家。


台所。


敬一は微笑んで来た。


小豆が置いてある。


敬一は小豆を微笑んで見た。


美鈴は微笑んで来た。


敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お父さんと敬一に美味しい牡丹餅を食べてもらうために、早めに準備を始めるの。小豆はたくさん買ったから、牡丹餅はたくさん作れるわ。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。牡丹餅を予定より早く作るんだ。楽しみだな。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お父さんと敬一に、お母さんの作る牡丹餅を喜んで食べてもらえるように努力するわ。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんが作る食べ物は全て美味しいよ。お父さんも美味しいと言って喜んで食べているはずだよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。ありがとう。」

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴も敬一を微笑んで見た。


幾日か後の事。


今日は春分の当日。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。


美鈴は牡丹餅を持ち、微笑んで来た。


敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん！　立派で美味しい牡丹餅だね！　お父さんも喜ぶよ！」

美鈴は牡丹餅を持ち、敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴を笑顔で見た。

美鈴は牡丹餅を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。最初にお父さんに牡丹餅を食べてもらいましょう。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。


敬一は笑顔で居なくなった。

美鈴は牡丹餅を持ち、微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の家。


食卓の有る部屋。


敬一は笑顔で居る。


美鈴は牡丹餅と焙じ茶を持ち、微笑んで来た。


美鈴は食卓に牡丹餅と焙じ茶を微笑んで置いた。

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「いただきます！」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

敬一は牡丹餅を美味しく食べた。

美鈴は牡丹餅を食べながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は牡丹餅を食べながら、美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん！　美味しいよ！」

美鈴は牡丹餅を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。ありがとう。」

敬一は美鈴を見ながら、牡丹餅を美味しく食べた。

美鈴は敬一を見ながら、牡丹餅を微笑んで食べた。


たくさんの桜が花を咲かせるための準備を終わらせている。

たくさんの花が咲く春が始まろうとしている。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語の時間設定は、物語の多くの部分が春分の直前です。

時節に合わせた題名にすると、物語の多くの部分が「啓蟄」の間の出来事になります。

題名に「頃」と付いているので、「春分の頃」の物語として読んでください。

沖田総司さんのお墓は、東京都の或るお寺に在ります。

一般の方は基本的にはお墓参りが出来ないそうです。

詳細は各自でお調べください。

「春分（しゅんぶん）」は、「二十四節気の一つ」です。

三月二十一日頃、及び、この日から「清明」までの期間です。

太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。

天文学的には、太陽が黄経０度の点（春分点）を通過する時にいうそうです。

春分点は、太陽が黄道と赤道との二つの交点のうち、太陽が赤道の南から北へ向かって横切る点のことで、赤経・黄経の基準となるそうです。

毎年僅かずつ西に移動しているそうです。

春分の日をはさんで前後七日間が「春の彼岸」になります。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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