このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新世界より

ドヴォルザークが活躍した19世紀後半、
“新大陸”アメリカは彼にとって紛れもない『新世界』であり、
そこには、自由と混沌とエネルギーにあふれた世界が広がっていたのだろうと思うのだが、
いまや21世紀、この地球上の何処に行ったとしても、
世界地図のどこかのポイントにピンを一本立てれば事足りるくらいの
もう、オリエンテーリング状態といっても過言ではない状況になっているような気がする。

確かに、狭い地球とは言っても、まだ見た事のない景色、人々、文化、
そういったものはまだまだ沢山あって、
地球の片隅の小さな島国にへばりついて生きている存在である自分としては、
まだ知らないもの、まだ見ぬものは星の数に匹敵するだろうくらいあることは分かっている。

だが、その対象が地球上である以上、個人として絶対に行く事のできないところがあるだろうか?
今では、南極ですら、観光旅行の対象でありうる。

大航海時代、コロンブスやマゼラン(今教科書には“マガリャンイス”と表記されてるらしいが)
その他の多くの探検家、交易商、冒険家が、多くの冒険譚を語って聞かせた貴族たちは、
今、TVの前に座って「新しいものは何かないだろうか」と、
ソファーに座り、ポテトチップをかじる小市民に換わってしまってはいるが、
人跡未踏の大地、
窺い知る事のできない風景、
人知の及ばない、隔絶した存在。

そういったものを求める気持ちは、きっと変わっていないと思うのだ。

アポロは過去へ去って行き、
私の生まれた年に初飛行したスペースシャトルは、
内容はどうあれ、まだ現役で飛び続けている。

幼い頃に胸膨らませた宇宙には、人工重力の宇宙ステーションがあり、
民間人が宇宙に旅行し、月面都市があって、
有人宇宙飛行は火星まで到達。

そういったことに胸膨らませる人間が少なくともここに一人いる。


1893年12月16日ニューヨークのカーネギー・ホールで
アントン・ザイドル指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによって行われた
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

初演から既に100年以上。
次の「新世界より」は、いつ、どこから演奏されるのだろうか。


雑文置き場へ


back to home

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください