御行の松

薄緑お行の松は霞けり　 　子規
松一本根岸の秋の姿哉 　子規



(『下谷・浅草　新版　史跡をたずねて』から)

西行院不動堂　　東京都台東区根岸４丁目の西行院不動堂。江戸期から人々に親しまれ、「江戸名所図会」や広重の画にも描かれた御行の松はこの境内にある。
	御行の松の碑　　　御行の松は周囲４メートル余、高さは１３・６メートル、樹齢は３５０年と推定され、１９２６(大正１５)年、東京市の天然記念物に指定されたが、１９２８年枯死した。
初代の御行の松　　不動堂境内に展示してある枯死した初代御行の松の幹。戦後、枯死した松の根を掘り起こし、その一部で彫った不動明王像が不動堂に祀られているという。
	御行の松の三代目　　昭和５１年８月に植えられたこの松が三代目。左横は「御行松不動尊之碑」。明治１５年の日付がある。
御行の松裏手の横町　　志賀直哉の『暗夜行路』の主人公は、幼い時に他の兄弟と引き離されて、若い女と住む「」祖父に引き取られ、「貧乏くさく下品な」祖父との生活を余儀なくされる。その祖父の家は、御行の松に近い横町の奥だった、と書かれている。御行の松を一度は訪ねてみたかったのも、この『暗夜行路』の描写が頭にあったからだ。

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