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それまで安全な川として親しまれていた多摩川の、まさかの堤防決壊、民家が濁流の中に次々と流失する被災状況が、テレビ画面に連日映し出される——という異常地特異な大災害だった。堤防の決壊が堰の左岸を大きくえぐったが、周辺一帯の全面的な浸水に至らなかったのも特殊な災害だった。
堤防決壊の直接のきっかけとなったのは、二ヶ領宿河原堰の左岸河川敷に設けられた「小堤防」の崩壊だった。この小堤防は古くからあった堤防を堰改築の際に補強したもので、厚さ15cmの「植石コンクリート造り」だったが、全体的に弱かったために真っ先に崩壊し、水流はここから二ヶ領宿河原堰の左岸を回り込むようにして、本堤防との間の児童遊園地をえぐり本堤防をえぐったのだった。 |
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水の引いた後の二ヶ領宿河原堰 右が堤防決壊箇所 |
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二ヶ領宿河原堰の5連ゲートの放水門 堰の右手に堤防の決壊箇所 |
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二ヶ領宿河原堰下流の水害の跡 |
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何事もなかったように水鳥が泳ぐ |
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堤防に置き去りにされた残骸 |
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堤防決壊でえぐられた跡 中央の窪みにはまだ水がたまっている |
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修復工事のはじまった決壊現場 |
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多摩川河川敷に集結したブルドーザー 前方は小田急線鉄橋 |
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