汽車旅つれづれはなし
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

---------------------------------------------------------------------- [汽車旅つれづれはなし]        第5号 2001/2/25 ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して 発行しています。( http://www.mag2.com/ ) ---------------------------------------------------------------------- 尚、登録・解除は、 http://www.mag2.com/mag2/m/0000043279.htm にて自由におこなうことができます。 --------------------------------------------------------------------- こんにちは。 いかがおすごしですか? 少しずつ、春らしくなって参りましたね。 花のたよりもそろそろか、と。 南の方へ旅でもしようか、と思っている今日この頃ではあります。 それでは、第5回をどうぞ。 ----------*-------------------- "はくつる81号" は、昭和の香りを乗せて<その2>小田原〜東京 (344M) 新幹線電車を見、ふと思い出す。鴨宮が東海道新幹線発祥の地だった、と、 小田原、鴨宮、国府津、二宮、大磯、平塚、茅ヶ崎、辻堂.... 子供の頃、いつの間にか覚えてしまっていた駅名。 344Mはこんな「湘南」という語感に相応しい駅を ひとつ、ひとつ停車してゆく。 その度、駅名票を見るたびに、車窓に往時の面影を探す。 いちばんに当時のイメージが色濃いのは やはりこの113系電車のようだった。 80系電車が多かった頃、この113系の前身111系が新湘南電車 と言われて東海道を駆けていた頃.. あれから、どのくらいの時が過ぎていったのだろうか、と、 心の中で指を数えるように取り外された灰皿の痕跡にそっと触れてみる。 ここに、かつてはJNRマークがあったのだったな、と、 その螺頭のざらりとした感触は「昭和」を想起させてくれた。 旅だ、と意識せずに113系に乗ったとしてもこんな風には思わないから、 我ながらおかしなものだ、とふと笑いたくなる。 小田原までの区間では山間の段々畑にみかん木のオレンジ色と グリーンが見えかくれするようなのどかな風景であったが 小田原以東では海浜、という印象が強くなる。 乗客の話し言葉も、間延びしたような静岡弁から、東京弁っぽくなってきて。 さて、そろそろ京浜地区に近付いたかな。 今日の昼食のお目当ては、京浜急行京浜蒲田駅近くにある「にいはお」 という中華食堂。 横浜中華街よりは駅に近いし、何と言ってもここは値段が安く それでいて味が本格的。 お店の方も皆さん中国の方で、それゆえ本格中華、 というよりは中国料理といった感じ。 メニュウは、というと.. ラーメン:\300 揚げ餃子:\300/6個 焼き餃子:\300/6個 水餃子 :\500/10個という風に安い。 味の方は、というと餃子、小籠包などの「あん」は肉っけが強く、 鶏、豚肉。そして脂の風味、ごま油、の香り、という独特のもので、 慣れるとおいしく、また食べたくなる。 場所は、京急蒲田駅から線路伝いに三浦方向へ歩くと、最初の踏切の角に「am/pm] コンビニがあり、そこの三叉路を挟んでニ軒あるが、旧店舗の方は「ラーメン屋」という イメージで、新店舗の方は「中華料理屋」という感じの地下店舗。 心なしか旧店舗の方がおいしいような気もする。なにやら、旅行というよりは「途中下車の旅」のようだが、まあいいだろう。 気楽なひとり旅、気の向いた所で降りれば良いし、好きなように動けるのが 単独行の楽しいところ。 .... と、考えていると、ちょっとしたミスに気がついた。 この中華料理屋は14:00で一旦閉めるのだった。 このまま、この344Mに乗っていると、川崎で京浜東北線に乗り換えた、 としても蒲田到着は13:30をかなり過ぎるはずだ。そこから、京浜蒲田駅前の この店までは歩いて20分、というところ。 まず、間に合わないだろう。 では、横浜乗り換えで、京浜急行品川行きに乗り換えて?とも思ったが、 それでも大差ないだろう、とも思える。 横浜到着時点で、既に13:00を回っているはずだから。 熱海駅で「快速アクティー」に乗り換えておけば良かった、とも思ったが、 まあ、そのおかげで鈍行の旅を楽しめたのだし。 215系ダブル・デッカーでは、快適ではあるが今一つ「旅」という感じがしない。 (「快速アクティー」、多客期、土日祝日には何故か113系で運転されるが) まあいいだろう。 予定を変更して、餃子は夕食としよう。 それまでは、まあ温泉にでも入る、としようか。 どのみち、上野に行くのは21:00過ぎで良いのだから。 このあたりの海辺には、何故か温泉が湧いている所が多く、独特の黒いお湯は 千葉県の御宿あたりに良く似ている感じの泉質で、また銭湯のような所だと 共同浴場のムード、下町の情緒などが楽しめて、僕は良くふらり と立ち寄ったtりする。 今日は、どこに寄ろうか?と思っていると、とりあえず川崎に着いたので 降り、京浜東北線で蒲田をめざす。 ますます、「ぶらり途中下車の旅」じみてきた。(笑) 川崎駅は、階上をビルが塞いでしまっていて閉塞感がある。 やはり、都市にきたのだな、と実感し、東京へ向かう 344Mのボディを見送った後階段を昇り、京浜東北線ホームに移る、 と間もなく、軽快な音とともに209系が入選して来た。 軽合金とプラスチックの車両に乗ると、ふと、「都会に来たな」と思う。 それと同時に、さっきまでの113系の鉄の香りが懐かしく、 鉄道好き、という人種である自分を強く感じる。 古い車両が好き、という方は鉄道好き以外には、あまり居られないであろうし。 感慨に耽る暇なく、次の蒲田で下車、東急池上線に乗りかえる。 目黒線、と名称が変わった「目蒲線」のターミナルである蒲田駅。 東急にはJR側から改札を出ずに乗り継ぎが出来るので便利である。 このあたり、都会のターミナルらしい。僕は、何故か東急沿線住いの時期が長く、この蒲田は出生地でもある。 幼児期、まだものごころつかない頃には、この目蒲線のつりかけ電車の音を 毎日聞いていたはずで、そのせいかどうか、つりかけモーターの音には どこか特別な感慨を覚える....。 昭和40年代には、この池上線も、深緑のつりかけ電車だったっけ.... などと思いつつ自動改札をくぐると、ステンレスボディーの電車が 単端式ホームに待っていた。 空いているロング・シートに腰かけると、中吊り広告の文字の洒落たロゴ、 乗客たちが静かな感じ、とか、東京に来たな、と実感する。 すぐに発車時間になり、電車は独特のモーターのうなりと共に軽く走り出す。 インヴァータのような、音楽的に変化するノイズがどことなく沿線の下町 風景に似合わない。 徐々に、確実にこうして時代は変わって行くのだろう。 いずれはこの池上線も地下化され、下町電車の風情も無くなってしまうのだろうし と、回想を続けていても、電車は静かにレール・ジョイントの響きを伝えている.. さて、蓮沼を過ぎ、池上で降車。 構内踏切を渡り、ローカル私鉄ムードたっぷりの駅舎を眺めつつ、 駅前から本門寺通りへ。こじんまりとした住宅、商店街。 プラスチックの造花に飾られたアーケード、 蛍光灯の街灯は塗装が色褪せて。 ここにも「昭和」がある。 思いの他静かな盆の町並みを歩く。 折からの曇り空、ぽつり、ぽつりと小雨が...。 緊急避難、として、参道の葛餅屋さんで雨宿り、としようか。 こういった参道沿いに似合いの、和風っぽい建築様式の店。 天気がよければ、お参りの方などでにぎわっているこの店も、 今日は雨、とあって、ひっそり閑、と静まっている。 葛餅、とひとことで言っても、葛の根を使ったものと、小麦粉の類を 水に晒し、沈殿したものを練ったもの、とがあるようで、 ここは「久寿餅」とされているので、おそらくは後者だろうと思う。 きな粉と、黒蜜をかけて頂くのですが、こういった夏の頃、には 冷えた感触が心地よい。 民芸囲炉裏端っぽい升席をひとりで陣取りながら 時刻表を眺めて、これからの行動を考えていた。 と、今風の髪を茶色に染めた女店員が注文を取りに来たので、 葛餅と冷たいコーヒーを頼む。 その、丁寧な応対と、髪の赤い色、表情が硬いところ、などがアンバランスな 印象を受けるが、これもまた、現代的なのだろう。 見かけと人柄に同一性がない、というところ、少々奇異な感じ。 そのあたりに「平成」の現代を思わせて。 自分が「昭和」の残滓に浸っていたことに気づく。いつしか、雨はあがり、薄日が射してきたので歩くとしよう。 まだ、はくつる81号を迎えるには時間もあるので、 しばらく、下町の街並みを漂ってから、銭湯にでも入ろう。 と、参道沿いを歩き、本門寺の山門脇を山沿いに左折する。 この奥には池上梅園があり、梅の季節には梅花の香りで春らしい華やかな 雰囲気にひたることもできるが、今の季節にはそれもままならない。 盆参りをすまそう。と、本門寺の参道を登った。 関連サイト↓(池上梅園のご紹介、花の写真など) http://ekimae.toshiba.co.jp/holiday/html/main/eria/eria5.html http://www.asahi-net.or.jp/~FJ7H-FKD/11utokyo/ikebai02.htm http://www.o-net.or.jp/nexpo50/machi/ittemiyo/kou/hkou-23.htm http://www.ne.jp/asahi/camera/fs/cz-reala-hpps/1999-ikegami-baien-bairin.htm http://www2.big.or.jp/~jinjin/kuga/ume/baien/index.htm 緑地が少ないこのあたりでは、寺、というのは動植物にとっては憩いの場所のようで、 烏やヒヨドリ、椋鳥、といった、どこにでもいる都会の野鳥が囀っている。 お供えものなどを食べにきているのか、猫などもいる。 寺の境内にある五重塔(徳川の将軍が建立した、とか言われるが。詳細失念。) 関連サイト↓(本門寺について) http://www.asahi-net.or.jp/~uu2n-mnt/kyuseki/honmonji.html http://www.o-net.or.jp/ota/ittemiyo/rek/hrek-04.htm のんびりとした雰囲気のなか、猫などが境内に寝転んで、ほのぼのと。ひととき、憩いの時を過ごす。 猫たちも人を恐れず、僕が撫でたりしても逃げない。 みなに可愛がられているのだろう、と微笑ましく思える。 時刻も3時を回り、そろそろ銭湯も開いているころかな、と 参道を下り、これから夜行の旅が始まるのだ、と。 わくわくする。 この感じは、子供の頃と変わらない。 いくつになっても、旅はいいものだな。とひとり思う。 ひとり旅は特にそうで、大人になるとあまり実行できなくなるから 格別に非日常感があり、楽しい。 今日は、また583系に乗れる、という... 特別の中でも、また格別の思い。 気分は、「途中下車の旅」から、「遠くへ行きたい」的になってくる。 (古くてすみません。) などと、とりとめのないことを考えながら、木々の生い茂る参道を下った。 -------|以下、次回に続きます..|------- -----[あとがき]------------------------------ 池上梅園も、今日あたりは春うらら、なのではないか、と。 梅花の香りを想起している私であります。 春、いいものですね。 ご意見、ご感想、ご指南等お待ちいたしております。 山岡。 --[PR]------------------------------------------------------------- 姉妹誌のご紹介。 メールマガジン「淡彩画」 http://www.mag2.com/m/0000007590.htm 現在、連載小説[city](カーアクションもの)短文物が主体です。 音楽のページでは、古今の名曲のお話しなども。 メールマガジン「ヒト学のかたわら」 http://www.mag2.com/m/0000005981.htm 著者の20年来にわたる人類学研究の過程からの 情報、分析、書物の紹介などが主体。 真面目にヒトの生態を考える方向きの真面目なマガジン。 ---------------------------------------------------------------------- 汽車旅つれづれはなし 第5号  2001/2/25 関連サイト  http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5733/583k.htm 掲示板 http://www6.jp-bbs.com/640/board.cgi?room=shoo 電子メールあて先 583k@railfan.forum.ne.jp 発行人 山岡 鉄男 ------------------------------------------------------------------------

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください