このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

NHK「天橋立の松林がピンチ」

【ご回答】
先日はメールをいただき、ありがとうございました。
 松林の再生のため頑張っておられるとのこと、本当に素晴らしい活動と思います。
 昔の瀬戸内海の面影がなくなってしまったことは大変残念で、少しでも日本の代表的な景観である多島と白砂青松の姿を継承していけることを願っております。
 そのためには、皆さんの様な熱意と実行力が最も大切なことと思います。
また、ご指摘するように、松枯れの要因を総合的に調査し、対策を考えていくことが不可欠です。
 私も、微力ながら、今後の研究の中で取組んで行きたいと思っております。
 貴重なアドバイスをいただき、誠にありがとうございました。
      2012.4.18                               
 京都大学 深町加津枝

【問合せ】
 京都大学院農学部 准教授 深 町 先生
                                2012.4.8

 主題の件、興味深く視聴させて頂きました。
 
就きましては、瀬戸内の松も枯れています。瀬戸内海と言えば、「多島と白砂青松」美として国立公園の指定を受けています。今は、多島であっても、砂が減り、ごみと藻に覆われ、松は枯れ、段々畑に花を作る人達は居ない、昔の瀬戸内海の面影がありません。
 海辺まで、自然に生え茂っていた松林の一本でも再生できないかと、最後の奉公に頑張っています。常々、疑問に思っていたこと(別紙添付)をまとめてみました。ご指導のほど、よろしくお願いいたします。
【添付の別紙】 
先般、NHK「日本三景、天橋立の松林がピンチ」を視聴いたしました。
 幣広島町(瀬戸内の離島)の松林が30年ほど前から枯死し、パラパラとクロマツが生えても短命です。先生は、松葉の腐食が「肥沃土」を造り、雑木の繁殖を促して松の生育を妨げている。「白砂青松」で有名な天橋立の景観を台無しにしている!…危機感については、その通りだと思っています。
 ただ、酸性雨による被害にも触れて頂きたいです。ご存知の通り、硫黄酸化物による大気汚染については悪化の一途を辿っています。
 結果、酸性雨が酷くなり、野菜や果物の栽培にも被害があり、粒状消石灰(JA推奨の苦土石灰ではトマト尻腐り病に効果なく、続ければ土壌中のCa不足が心配です)を年2回施肥しています。
 行政と公的研究機関における松枯れ対策は、センチュウ媒介の松くい虫駆除とセンチュウに強い松の品種改良をテーマとした予算計画に凝り固まっています。酸性雨中の窒素酸化物による植物への影響を調べ、公開をお願いします。
 山林を観察すれば、松脂を噴出する松にはセンチュウを媒介する松くい虫が産卵を避ける傾向があります。花崗岩の島では、雨量が少ない年に松の生育が劣り、10歳を過ぎ成熟期の松が全島で枯れ始めます。それでも生き残っている松は、その地形と向きが最適(排水と保水)と思われます。
 目下、は、マツガードの幹注を試みていますが、費用と手間がかかり個人には大変です。基本的には松の樹勢を保つ土壌改良が大切です。松の成長する場所と悪い場所の土壌成分を調べ、粒状消石灰を空中散布し、確認して頂き公開をお願します。
 公害防止法のできた時期の国民は、自然について研究熱心(訴訟も)でした。バブル崩壊後の研究テーマがすっかり変わりました。いつまでも、貴大学院の地道な研究に敬意を表します。

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