このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
叡電デオ600形 |
デオ600型は現在,クリームと濃緑2色塗装の旧叡電色を守る唯一残った車両です。車体は700形などと同じ全長15.7m,おでこのあたりがどことなく阪急車っぽさを漂わす顔つきです。 1979年に20年ぶりの新車としてデナ500形の電気機器を流用し,武庫川車輌製の車体を新造して登場。車両数も多く,京福時代後期にはひときわ目立つ「新型車両」でした。 | ||
種車のデナ500形は阪神電鉄から譲渡された非常に小型な車で,鞍馬線に欠かせない電気ブレーキがないため山岳区間に入れない,小型低輸送力という欠点がありました。 更新により6両が製造され,懸案だった電気ブレーキを装備し,漸く鞍馬乗入れが叶いました。 | ||
600形の履くイコライザー台車。出力48.5kwは現在叡電旅客車中最弱でデナ20よりも低い値です。釣掛音は加速時は渋く控えめな音を出すものの,電気制動をかけると非常に甲高い軽やかな音を大音声で奏でます。 | ||
車内です。あまり凝ったところもなく実用中心主義と言う感じ。3扉ロングシートでデザインは嵐電車両と似通ったものがあります。内壁板の柄は特にそっくりです。800形の白っぽい内装を見慣れると,かなり緑々した印象を受けます。 | ||
座席もごく標準的といったところでしょうか。モケットは叡電標準の青。 座面は少し経年劣化しつつある感がします。 | ||
天井の扇風機と室内灯。扇風機が全面灰緑色というのは特徴的といえそうです。車体色と合わせたのでしょうか。 室内蛍光灯は中央に2列で配置されています。車両というより建物の室内灯にありそうなデザインです。関西私鉄には室内蛍光灯覆い付きが標準的ですが,当系は剥出しです。 | ||
運転台後方部分。中央貫通部分はデフォルトで仕切りがなく,両脇の窓もガラスがないためデナ21と似た開放的な運転台です。 | ||
運転台。晩年まで速度計すらなかったデナ21よりはいいとしても,非常にコンパクトな設備になっています。特筆すべきは独特なマスコン操作で,左の逆転レバーが大活躍します。左上の箱状の表示器には,発電制動をかけたときに上の「電制」ランプが点灯します。下は「防曇」。 | ||
貫通扉には京福伝統の金属製楕円形車番銘板が踏襲されており,デオ300形同様,当初より格納式の貫通幌を装備しています。これ以後登場の車両は全て前面非貫通式で,600形は叡電最後の貫通式となりました。 今は当系だけになりましたが,過去の車と同じく鞍馬線では丸型中折式,八瀬ゆきでは長方形の行先板を使用しています。京福時代は単行運転も見られましたが,近年では完全に2連を組んでいます。 | ||
外見はさほど古さを感じさせないものの,非冷房のため,デオ900形の配備に伴い1997・98年に2編成が廃車され,今は603-604の1編成2両を残すのみとなり,それも予備車ゆえに,修学院車庫片隅の電留線を定位置にして眠っており,普段の出番は皆無に等しい状態です。 | ||
しかし沿線最大のイベント,鞍馬の火祭の折には,収容人員の少ない900形に代わって代打出場の機会が巡ってきます。 いつまでこの姿を見られるかは予断を許しませんが,元気で走り続けて欲しいものです。 |
Copyright © 2003 SSS, All Rights Reserved. | 叡電頁 | ▲HOME |
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |