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東京見聞録  
2006年4月4日(火) <銚子電鉄、犬吠埼、地球の丸く見える丘>


<余った18切符を使って銚子へ>

 JRの青春18切符が三回分も余っています。そして使用期限は4月10日まで。3回分6900円を無駄にするのは勿体無いので、18切符を消費する旅行に出かけることにしました。当初の予定は三重にお伊勢参りする予定だったけど、ムーンライトながらの切符が取れなかったので、急遽日帰りで千葉県の銚子へ。鈍行列車に揺られて、千葉県の東の端を目指します。

 8時46分、吉祥寺駅から中央線快速に乗って御茶ノ水へ。御茶ノ水で総武線各停に乗り換えて錦糸町、錦糸町で快速に乗り換えて千葉へ。千葉着10時ちょうど。千葉までは首都圏であり、かつ朝のラッシュの残り香に遭遇してしまったので、ずっと立ちっぱなし。。

 千葉駅での乗り換えの時間を利用して、遅い朝食に駅の立ち食い蕎麦を食べた後、銚子行きの各駅停車へ。銚子行きの電車は極端に人が少なくなるので、基本的にはボックスを占領できます。快適です。車窓は千葉を出発して10分もすると、のどかな郊外の風景に変わります。ここは東京通勤圏の千葉ではないのか?というくらい、田舎です。電車は同じような風景の中をひた走り、12時7分に終点の銚子駅着。


<千葉から走ってきた電車>

<銚子電鉄>

 銚子駅で銚子電鉄に乗り換え。犬吠埼へは銚子電鉄を利用して行くのですが、銚子電鉄の駅舎は何とJRのホームにありました。JRの2番線を千葉よりをJRが、犬吠崎寄りを銚子電鉄が使用している状態です。とりあえず存在している、なんちゃって南国風の銚子電鉄銚子駅舎が物悲しい。とりあえず存在しているだけの駅舎な(はずな)ので、切符売り場があるはずもなく、どうしていいのやらわからないまま電車に乗り込みました。


<銚子電鉄・銚子駅>
 
<銚子電鉄の電車>

 電車も超ローカル。この前島根で乗った一畑電鉄もローカルだったけど、銚子電鉄はその比じゃないです。何がローカルかって、電車の中吊り広告がほとんど手書きなのです。これには本当に驚いた。

 犬吠崎に行くと思われる乗客を乗せ、電車は出発。スピードもあまりでません。途中にある駅も、ほとんどが無人駅で、パッと見では駅とはわからないようなものもあります。いや〜、本当にローカルだ。


<車内>
 
<手書きの中吊り広告>

 どうやら切符は車内で買うらしく、車掌さんがまわって来ました。隣の親子連れ人が持っていた「一日乗車券」がお得そうだったので、感化されて640円で購入。裏を見ると、入場割引券やらぬれせんべい一枚サービスやら、いろいろな特典があって、本当に結構お得そうです。

 キャベツ畑と菜の花畑の間を縫うようにしてコトコト電車は進み、約15分後、終点一つ手前の犬吠駅で下車。犬吠駅は関東の駅100選に選ばれているそうで、バブル期にポルトガル気分いっぱいの駅舎として建て代えられたそうです。ホーム目の前に広がるキャベツ畑が田舎っぽくていい。


<ホームとキャベツ畑>
 
<ポルトガル風の駅表示>

<ある種異様な犬吠駅>

 駅舎の隣に二台ほどある古い電車は、観光案内所とレストランだそうで、これまたいい味を出してます。駅内にはぬれせんべい試食があったけど、これはまた後ほど。

<犬吠埼>

 犬吠から目指すは、千葉県の東の端、犬吠埼。駅から10分ほど歩くと、灯台が見えてきます。灯台にのぼる前に、まずは犬吠埼の海を眺めてみました。潮風を受け波の音を聞くと、見ずにはいられません。先祖代々受け継がれてきた漁師のDNAがそうさせるに違いない。

 今日は晴れていて、風もそんなにないはずなのに、犬吠埼は時化ていました。次から次に大きな波が押し寄せます。特に岩に打ち付ける波はものすごい迫力です。


<波が高い>
 
<ギネスビールの泡のよう>

<岩に打ち付ける波>

 上の写真では、大きな波が岩にぶつかり、飛沫をあげております。この迫力たるや、まるで東映映画のオープニングかを見ているようです。よく似ているなぁと思ったので、家に帰ってネットで調べてみたところ、東映のオープニングは何と犬吠崎で撮られていたということが発覚しました。ということは、もしかしたら、オープニングのシーンは今日見たところが使われているのかもしれません。何も知らないで行ったお陰で、驚きの結果がもたらされました。

 しばらく海を眺めた後、灯台へ。島根の日御碕灯台と同様、世界の灯台100選に選ばれている犬吠崎灯台です。


<崖の上に聳え立つ犬吠埼灯台>

 料金150円を払ってのぼってみます。地上からは27メートル、階段は99段。右下の写真のように、階段の至るところに、マスコットキャラクターの灯台君(?)とともに応援メッセージが貼り付けられています。確認しただけでも順番に、

 「頂上(99段)を目指して頑張ろう!」
    ↓
 「頂上まではまだまだ。休憩しながら行きましょう」
    ↓
 「半分制覇。気を引き締めて」
    ↓
 「そろそろ疲れたかな、あと一息頑張ろう」
    ↓
 「ラスト10段」
    ↓
 「犬吠埼灯台99段達成おめでとう!」

 の6種類がありました。計算すると16.5段に1回応援されていることになります。そんな応援を背に受け、最後の「99段到達おめでとう」のメッセージ確認し、さて景色を堪能するか、・・・と思ったら、最後に梯子みたいに急な階段があるじゃないの。ぬか喜びさせおって。99段+αと書いておかないと嘘じゃないか。


<登りきったー>
 
<・・・と思ったら最後に急な階段>

 頂上からの景色はなかなか。この犬吠埼灯台は明治7年に建設されたというけど、そんなに早い時期に建設された理由がよくわかります。本当に海が荒れている。晴れて風が穏やかな日でもこんなに波が高いんだから、そりゃ航海するのも大変です。あとで隣にあった資料館で見たら、やっぱり犬吠埼周辺は海難事故の多発地帯だったみたいで、それが灯台の建設理由になったそうな。


<この海の向こうはアメリカ>
 
<波がギネスビールの・・・(略)>

 灯台を降りて海岸の遊歩道を歩いてみると、一面波の侵食によってできた奇岩だらけです。あとは天然記念物に指定されている「白亜紀浅海堆積物」。地学をやったことがないので全くわからんのだけど、天然記念物だから価値のあるものなんでしょう。こういう調子で遊歩道を歩き、再び犬吠駅へ。


<洗濯板のような岩>
 
<白亜紀浅海堆積物>

<漁港を歩く>

 犬吠駅に戻り、「ぬれせんべい」の試食。初めて食べるぬれせんべい、本当に湿気ているみたいです、これ。でも湿気てない。不思議。パリパリと音を立てて食べるせんべいもいいけど、音の出ないせんべいもいいもんですね。歯が弱い人にはよさそう。


<ぬれせんべい>

 このぬれせんべい、銚子電鉄の中の一部門が製造・販売しているそうで、この一部門だけが黒字だそうな。銚子電鉄が潰れないのは、このぬれせんべい部門のお陰かもしれない。そんなわけで銚子電鉄に貢献するべく、ぬれせんべいをお土産に購入しました。

 ぬれせんべいに満足し、次に目指すのは、犬吠から一駅の終点の「外川」という漁師町。漁師町はやはり行っておかないと。先祖代々受け継がれてきた漁師のDNAが・・・(ってしつこいか)。。電車を待つと相当な時間ロスになるので、海沿いを歩いて行きます。

 銚子へ観光に来る人は基本的に犬吠埼だけで終わってしまうので、ここから先はほとんど観光客がいません。ここから先、道を歩いていても一人も観光客に会わなかったから。そんなところへ行くなんて、僕は奇特な人間ですねぇ。

 外川に行く途中、長崎海岸というところから見えた犬吠埼は、荒々しくて素晴らしい画になりました。この海の荒れ具合と、その中でたたずむ灯台。荒々しさの中に凛としたものがある。


<長崎海岸から、遠くに見える犬吠埼>

 その後もしばらく歩いて、銚子電鉄終点の外川駅へ。この駅はNHKの連続テレビ小説「澪つくし」にも登場したそうで、駅前にそのことを誇らしげに示す案内板が立っていました。どんな話か知らんけど、沢口靖子が主役のね。しかしこの駅も他の調子電鉄の駅に負けず劣らずいい味を出している。日本的な古さという点では、一番かもしれない。昔は田舎に行けばどこの駅もこんな感じだっただろうなぁ、という感じの駅です。犬吠駅はそんな駅じゃないからね。


<終点 外川駅>
 
<外川駅付近の線路はこんな感じ>

 外川駅から海岸方面へ。坂道を下ると外川漁港と漁師町。鄙びた感じが何とも言えません。広い道を歩いているのは僕一人。漁港の敷地で二人の高校生と思しき男の子がキャッチボールをしていました。のどかだ。僕の田舎よりは「都会的な田舎」だけど、こういう風景はいいですねぇ。


<海の見える坂道>
 
<外川漁港>

 時間は3時近くになろうとしてしたので、ここで遅い昼食を。ネットで評判の店を調べると、外川漁港に「犬吠食堂」という、地元の人や釣り客に評判の定食屋があるというので、そこに行くことに決めていました。何かで鉄腕DASHにも出たことがあって、リーダーの城島氏が考案したメニューもあるらしい。

 ところが、その場所に行ってみると、閉まってる!しかも閉まり方が何というか「長年のご愛顧有難うございました」みたいな閉まり方なのです。店先には「売り地」とか書いてるしさぁ・・・。真相はわからないけど、昼食を食べることができずにショック。おいしい海の幸を食べようと思ったのに・・・。

 失意の中、次の場所へ向かうことになりました。

<地球の丸く見える丘>

 腹が減っている中、外川漁港から歩いて「地球の丸く見える丘」というところに。ここから景色を見ると、まるで地球が丸く見えるというネーミングそのままの場所です。どんなものやら、と半信半疑で行ってみました。

 丘に向かう途中の道は、それはのどかでよかった。視界一杯にキャベツ畑が広がっているのです。漁港から近いのに、これだけの農地。漁業と農業が両立している町っていいですね。


<一面のキャベツ畑>

 ちょっとした坂道を登り、丘に着きました。丘というくらいなので、高さは大したことありません(確か海抜70メートルくらいです)。丘の上に「地球の丸く見える丘展望館」があるので、そこに入って景色を見てみることにします。入場料300円。

 屋上の展望台に登ると、おぉ、確かに地球が丸く見える!標高が低い割りに見晴らしがいいのです。そうか、これが地球が丸く見えるという意味か・・・。

 銚子の町は東と南は海に囲まれていることは知っていたのですが、眺めてみると北側も海のように見えました。何でかな・・・?と地図を見ると、北は利根川なのね。銚子は利根川の河口部分に位置するから、利根川が海に見えたわけです。三方を海と川で覆われているのも、地球が丸く見える一因かもしれません。


<地球の丸く見える展望館>
 
<北・キャベツ畑と遠く利根川>

<南東 フィリピンはさすがに見えない>

<東 犬吠埼灯台 手前の家が・・・>

 展望台を後にして、再び犬吠駅へ。ちょっとの差で電車を逃してしまったので、30分待つ羽目になりました。乗れていたら銚子駅前で遅い昼食をとろうと思っていたのに・・・。次の電車だと、東京へ戻る電車までの乗り継ぎが10分程度しかないので、昼は諦めなければいけません。

 犬吠埼から帰ってきたと思われる観光客のおばさんたちのおしゃべりの声の大きさに慄きながら、もんもんとした30分を過ごし、ようやく銚子行きの電車が到着。乗り放題切符を買ったのに、結局銚子犬吠間の往復しかしませんでした。これはもしや無駄だったか??

 15分後、銚子駅到着。乗換えが10分しかなかったものの、腹が減って仕方がなかったので駅前に出て見ました。すると、「マクドナルド」の文字が!こういうときに便利なファーストフード。銚子まで来てマクドナルドとはどうかと一瞬思ったものの、ここは腹が減っているので仕方がない。チーズバーガーとマックチキンを買い、急いで千葉行きの電車に乗り込みました。4時21分、電車は銚子駅を出発。やっぱりJRの電車は郊外でも速い、と思いながら、チーズバーガーをほおばるのでした。

 9時前、吉祥寺着。今回は新鮮な魚介類を食べることができなかったので、次は是非。


モドル

                                         

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