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京都で紅葉狩り2008 3  
2008年11月30日() 三日目   <清水寺、高台寺、北野天満宮、金閣寺、光悦寺、源光庵、常照寺>


清水寺と高台寺>

 どうも最近は睡眠4時間が定着してしまったようで、朝5時に目が覚めてしまいました。昨日はビールに日本酒、最後は焼酎と、かなり飲んだはずなのに、全く酒が残っていないのはありがたい。もう眠れないので本を読んでだらだらし、7時に一人朝食。昨日錦市場で買って食べなかったお惣菜弁当です。冷蔵庫にも入れず、消費期限も昨日の夜11時となっていたけど、まあ大丈夫だろう。京都寒いし。ちなみにこの弁当は錦市場の総菜専門店 「平野」 で買ったもので、日替わり弁当(630円)。いろいろな総菜が入っていますが、メインはおからコロッケのようで、ふわふわとした食感がよかったです。おいしかった。


<昨日買っておいたおばんざい弁当>
 
<社宅の紅葉も真っ赤>

 お世話になったあおかつ邸を8時前に出て、伊勢田駅から京都市内へ。予定より1泊多く滞在したので、今日はすぐに新幹線に乗って帰るつもりでした。でも空を見上げると雲ひとつないかなりのいい天気。こんないい天気なのにすぐ帰ってしまうのは勿体ないと、少し観光してから帰ることにしました。一人だとこういう予定変更が簡単に出来るので楽です。ということで、京都駅で市バスの一日パス(500円)を買って、とりあえずは清水寺へ向かうことにしました。清水寺には5回くらい行ってますが、紅葉の時期の日中に行ったことはありません。過去2回はいずれも夜間拝観だったので、日中の紅葉はどんなものだろうかと。

 超満員のバスに揺られて五条坂まで行き、茶碗坂を上って清水寺へ。朝9時だというのに、かなりの人がいます。さすがに京都を代表する観光スポット。日本人だけでなく、韓国中国台湾や西洋系の観光客もかなり多い様子です。清水寺では今特別に本尊を御開帳しているということで(西国三十三ヵ所の中興の祖と言われる、花山法皇没後1000年記念)、特別拝観料100円払えば見ることができますよと。最初はあまり見る気がありませんでしたが、係のおじさんが「今を逃すと次の御開帳は平成45年、今から25年後になります!」というので、そう言われると見ないと勿体ないような気がしてきました。で、100円払って御本尊を拝観させていただきましたが、御本尊にたどり着くまでの行列が大混雑で何とも・・・。疲れた。

 御本尊の御顔を見た後は、いつものお決まりコースで、清水の舞台に立って眺めたり奥の院から舞台を眺めたり。奥の院から眺める紅葉は夜間ライトアップでなくても十分きれいです。ただ夜間ライトアップのときは分からなかった場所の紅葉がかなりきれいで、清水寺は思った以上に紅葉が豊富で美しいことが分かりました。下から見上げる舞台とその前にある紅葉が結構画になります。


<お決まりの清水寺の風景>
 

 清水寺から三年坂を歩いて高台寺方面へ。


<三年坂>
 
<法観寺八坂塔>

 高台寺は去年夜間ライトアップで訪れて、美しくてかなり気に入ったので今年も行ってみることに。しかし、去年素晴らしいと思った水面に映る紅葉の場所が、昼間だと池が濁っていてどうしようもありません。境内の紅葉も「あれ、こんな少なかった?」という感じ。まあそれでも綺麗なことは綺麗ですが少し残念でした。夜間ライトアップの魔力は恐ろしい。まるで女性の化粧のようだ(失礼な発言ですみません)。


<高台寺境内>
 
<あれ、こんなんだっけ・・・?>

 高台寺からねねの道を歩き、八坂神社を抜けて祇園のバス停へ。八坂神社は桜の名所で紅葉は特にないと聞いていましたが、立派な紅葉があってなかなかのものでした。


<八坂神社>
 
<祇園交差点>

 祇園からバスに乗って東大路通りを北上し、京都大学がある百万遍交差点で下車。そして百万遍でバスを乗り換えて、今度は今出川通りを西へ。途中バスに乗って移動するのも味気ないと、同志社大学の前で降りて次の目的地である北野天満宮まで歩くことにしましたが、北野天満宮までの距離が予想外にあったために途中であきらめて再びバスに乗ってしまいました。こういうどっちつかずなことをすると、時間を無駄にしてしまったような気がします。

<北野天満宮から金閣寺へ>

 11時半、北野天満宮前に到着。12時になって混む前に昼食を食べようと思いましたが、北野天満宮前にある豆腐料理で有名な「とようけ茶屋」には既に長蛇の列が出来ていました。皆様並ばれるなんてご苦労様です。僕はとようけ茶屋には行かず、一本うどんで有名なたわらやにも行かず、近くにある 「豆腐カフェ藤野」 へ。カジュアルな喫茶店のような感じで、窓側にカウンターもあるので一人でも入りやすい店です。京都の料理屋は一人で入りづらい店が多いので、こういう店はありがたいです。

 この店はカフェと言っても、京豆腐の藤野が経営する店なので、豆腐料理はかなりおいしいと聞いていました。数々の豆腐料理が乗ったランチプレート(1000円)に、プラス200円でおぼろ豆腐を注文。ランチプレートには豆腐コロッケ、ごま豆腐、湯葉揚げ、厚揚げ、豆腐サラダなどなどが一口サイズで乗っていて、ご飯は揚げが入った薄い炊き込みご飯。おぼろ豆腐は暖かくて、醤油をかけずそのまま食べてもおいしかった。値段も手頃だし、とようけ茶屋で並ぶことを考えたら空いているここでゆっくりするのがいいかな。


<ランチプレート>
 
<おぼろ豆腐>

 食後北野天満宮へ。学問の神様なので、今後のことも含め一応お参りしておこうと思いましたが、拝殿前にはお参りを待つ長蛇の列が出来ていました。僕は並んでまでお参りする必要を感じない人間なので、この光景はいつも不思議に思います。別に遠くから拝んでも御利益は変わらないはずで・・・。神社で並ぶ人と、宝くじを買うために初日から行列を作る人だけは、何でそんな非合理な行動をするのかと納得が行きません。みんな合理的に生きればいいのに。ということで、並んでいる人を横目に遠目からお参り。

 北野天満宮には「御土居」という庭園があり、そこの紅葉が綺麗ということでしたが、入苑料600円取られるのと抹茶菓子付きということで、一人で抹茶菓子の接待を受けるのもどうかと思ったので入らずにおくことにしました。まあ、外からもちょっと紅葉見えたし。庭園に入らなくとも、本殿裏の銀杏が綺麗に色付いていたのでそれでいいかと。


<なでると頭がよくなる(らしい)牛>
 
<三光門(重要文化財)>

<本殿に並ぶ人々>

<本殿裏の銀杏>

 北野天満宮の裏口から出て、次は近くにある平野大社へ。平野大社は桜の名所ではありますが、紅葉は特にそうでもないのでこの時期はひっそりとしています。この平野神社はかなり格式の高い神社だそうで、平安時代に選ばれた 二十二社 (上七社・中七社・下八社)のうち、上七社の一つに位置付けられています。言ってみれば七英雄みたいなものか。他の六つの神社は伊勢神宮・石清水八幡宮・賀茂神社(上賀茂神社と下鴨神社)・伏見稲荷・春日大社・松尾大社という錚々たる顔ぶれです。さっきの北野天満宮や八坂神社は下八社なのだから、平野神社は本当に由緒正しいらしい。

 平野大社は桜の名所だけあって、この時期でも咲いている桜がありました。紅葉ばかり見ていた目には、桜の柔らかいピンク色が癒しになります。今度は春に来て桜を堪能しよう。


<平野神社>
 
<秋だけど桜>

 平野神社からは西大路通りに出て北上し、途中にあったわら天神へ。安産の神様らしく、若い夫婦の参拝客や小さな子を連れた親子連れが多くいました。まあ今の僕にはまだ関係ないか。またそういう機会があったら来ます。


<わら天神>
 
<わら天神の紅葉>

 そして金閣寺へ。金閣寺はどうせものすごい混雑だろうし、紅葉というよりは金閣の方が重要だから行くのをやめておこうかと思いました。でも人間不思議なもので、近くまで来ると足を運んでしまいたくなるもの。予想通りかなりの観光客で混雑していましたが、久しぶりに行ってみることにしました。思ったより紅葉が多くて、いい意味で期待を裏切られる結果に。お決まりの金閣の写真を撮って、あとは園内を散策。秋の金閣寺もなかなか風情があります。これで人が少なければ・・・。

 

<鷹峯の三寺 光悦寺・源光庵・常光寺>

 金閣寺から千本北大路の交差点まで歩いて行き、ここからバスに乗って北にある鷹峯地区へ。ガイドブックによると、鷹峯は紅葉の時期でも人が少なくて意外と穴場と書かれています。金閣寺で人の多さに辟易したので、早く人のいない穴場へと逃げたくなりました。さっきまで雲一つなかった天気も、わら天神の辺りから曇りだし、金閣寺を見終えた時点で今にも雨が降りそうな雰囲気に。まあ、穴場に行くならこのくらいのどんよりした天気が似合ってます。

 千本北大路から鷹峯源光庵前のバス停までは時間にして約10分程度ですが、鷹峯行きのバスには思ったよりも人が乗っています。穴場じゃないじゃん。。バスの中では仕方なく立つことになり、足痛いのになぁとがっかりでしたが、それよりも後ろに立っていたジイさんと優先席に座っていた中学生男子のやり取りがあって退屈しませんでした。

 ジイさんは歳の頃70前後、一人旅のようでかなり矍鑠とした顔をしています。僕と同じく千本北大路から乗ったので座ることは出来ず、優先席の横に立つことになりました。まあ特に問題ないようで、バスに乗ってからは立ったままガイドブックに目を落としています。で、それを見て気まずくなったのはその優先席に座っていた中学生の男の子で、見ているとやけにそわそわしています。恐らく彼はジイさんに席を譲ろうと声をかけようかかけまいか、かなり悩んでいるのでしょう。格好からして彼は部活の帰りだと思いますが、まだ線も細く、気が弱い中学一年生と言ったところでしょうか。まだまだ小学生のようなあどけなさが残っている顔です。

 少年はそわそわしたまま5分くらい経ち、それを見ていた僕は「頑張れ、少年!」と勝手に心の中でエールを送っていました。やがて、ついに少年も意を決したのか、席を立ちあがって「どうぞ」とジイさんに声をかけました。声が震えています。でも少年よ、偉い!

 しかしこのジイさんの返答が予想外なもので、僕はびっくりしました。このジイさん、「どうぞ」と言われたにも関わらず、見ていたガイドブックから目を離さず、少年の目も見ずに「よろしい」と一言だけいい放ちました。「よろしい」って・・・。せっかく少年が勇気を出して、ジイさんのことを思って立ちあがったというのに。それなのに何だこのジジイは!目も見ないで「よろしい」って、お前何様だ!?このせいで少年が大人に失望して、将来不良になったりしたらジジイお前はどう責任をとるのかと。僕はずっと少年の決意に至る瞬間を見ていて応援していたので、このジイさんの恩を仇で返すような仕打ちに腹が立ってしょうがなくなり、よほどこのジイさんに言ってやろうかと思いましたが、バスは満員なのでイライラしながらも我慢しました。一旦席を立ってしまった少年は再び座ることも出来なくなり、降りるまで恥ずかしくてたまらなかったでしょう。可哀そうに。

 ジイさんにも言い分はあるでしょうか、少年の純粋な勇気をあんな形で返すのは非常に失礼なことだと思います。最低でも「大丈夫だよ、わざわざありがとう」くらいの返事をなぜしないのか。このジイさんはどういう教育を受けてきたのだろうか。自分はこういう礼節を欠いた歳の取り方をしないようにしようと堅く誓いました。まあそんなわけで、バスの中では退屈することなく、鷹峯源光庵前に到着。

 まずは光悦寺へ。名前から分かるように、ここは元々本阿弥光悦が草庵を立てて、一族や職人たちとともに移り住んで芸術郷を築いた場所。寺内は芸術に優れた光悦の庵らしく、かなり意匠に富んでいます。光悦が考案したとされる「光悦垣」も。こういうところに籠って芸術郷を開いて生活することが出来るなんて、何て羨ましい生活だろう。残念なのは紅葉のピークが少し過ぎていたことか。

 

 続いて源光庵へ。ここはまた紅葉が壮大で綺麗です。

 

 源光庵の名物(?)として、本堂に「悟りの窓」と「迷いの窓」というものがあります。この二つの窓を通してみる庭園の紅葉はまた見事。この悟りと迷いは禅の世界の精神を表わしているそうです。


<迷いの窓>
 
<悟りの窓>

 もう一つの見どころとしてはこの本堂の天井で、「血天井」となっています。1600年、徳川家康の家臣である鳥居元忠らは石田三成に敗れて伏見桃山城で自害しました。そのときの血しぶきで天井その他が赤く染まり、それが血天井を呼ばれるものになりましたが、家康は鳥居ら供養としてこの伏見桃山城の血天井をいろいろなところに移築しています。その一つがこの源光庵本堂で、天井を見ると血の足跡が。結構不気味です。


<血天井>
 
<血の足跡が>

 最後は常照寺へ。ここは本阿弥光悦の寄進によって日蓮宗寺院となったところです。この鷹峯一帯は本阿弥光悦の影響力が大きかったということでしょうか。常照寺は拝観料300円ということでしたが。拝観料を払わないでも見物できる場所も紅葉がきれいだったので、本堂は拝観しませんでした。

 

 常照寺を見物し終わった時点で時刻は2時半。雨も降りそうだし、今回はひとまずこれで終了することにし、バスに乗って京都駅へ。昼に藤野で食べているときから、どうも胃の調子が悪くて気分が悪いのもあって、京都駅でパンシロンを買って飲んだものの、なかなか痛さはとれません。それどころか、胸まで痛くなる始末。まさかこれは、胃ではなくて心臓が悪いのではないかと思いましたが、頻繁に空げっぷが出るので悪いのは胃なのだと思います。最後になって胃が痛くなるとは、今日の朝食べた消費期限切れの弁当がよくなかったのか。結局のところ、後日風邪をひいてしまったので、この胃痛は風邪の初期症状だということがわかりましたが。

 帰りの新幹線は自由席。新幹線を待っている頃には再び晴れていて、昨日今日の天気は一体何なのか。3時48分発ののぞみ自由席は何とか空いていて無事席を確保出来ましたが、僕の後ろに相撲取りの方が乗っており、鬢付け油のあまい匂いが充満してちょっと変な空気でした。胃の調子が悪くてどうしようもありませんでしたが、名古屋を過ぎた辺りで夕食用に買っておいた「京のおばんざい」駅弁を。京都駅で一番人気の駅弁だそうです。ヘルシーなおかずが多くて体にはよさそうですが、胃が痛くて全部食べられませんでした。残りは持って帰って次の日の朝食に。


<最後に晴れた>
 
<京のおばんざい弁当>

 6時過ぎ、東京駅に到着。今回も紅葉を十分堪能することができました。次の京都行きは恐らく年明けの三連休。ああ、最近京都に行き過ぎてる。次は洛西の方を攻めたいと思います。


モドル

                                         

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