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知床調査 2  
2009年8月4日(火)  <オロンコ岩、知床クルージング、ウトロ道の駅、知床博物館>


<午前:ウトロ名所 オロンコ岩と知床クルージング> 

 7時起床。やはり布団が変わると眠りが浅くなるようで、夜中に何度か目が覚めたので疲れが抜けきっていませんが、酒が全く残ってないのは救いです。7時半に朝食。朝食は大食堂みたいなところでバイキングで、和洋一通りそろっています。ご飯の友みたいなおかずが多かったのが高ポイントでした。生卵に青のりに烏賊の塩辛に梅干しにウニシイタケと、朝からご飯が進んで困ります。まあ、よかったのは初日だけで、この後は毎日同じメニューで苦しめられることになるわけですが。

 食後、ホテルの売店でご当地ものの「白樺の雫」と「白い恋人チョコレートジュース」を。「白樺の雫」は文字通り白樺樹液100%で、樹液を飲んだことがないのでどんなものだろうと期待して口にしました。が、普通の水のようで、ほんのり甘いとかトロトロしているとかを期待していたので少々がっかりです。まろやかな天然水という感じでおいしいことはおいしいですが、何だかなぁ・・・。これで300円だし。△↓さんによると取れたての樹液はこんなものじゃないということなので、いずれ取れたて樹液を飲んでみたいものです。一方の白い恋人の方は歯が浮くような甘さで、一回で全部飲みきることが出来ませんでした。おいしいけど甘過ぎて、奥歯にしみます。。嗚呼余分糖分。


<朝食のバイキング>
 
<樹液と白い恋人ジュース>

 今日は日程の都合上、調査が入れることが出来ず、結果的に一日フリーの日になりました。フリーなので、知床の観光地をまわるという嬉しい一日。最初は調査なのに観光地を巡ることに対する後ろめたさもありましたが、結局観光地も含めて土地の「距離感」が分からないと、単に聞き取りや見学をしても何も分からないことが身にしみて分かったので、結果として一日フリーの日があってよかったと思います。あと、フリーの日は朝の集合が遅いので、体を休めるためにもよかった(まだ2日目ですが)

 9時50分にホテルロビーに集合し、昨日の貸切バスに乗って麓のウトロ市街へ。ちなみに今回泊まったホテルはウトロにあるホテルの中でも一番の高台にあるそうで、麓のウトロ市街からは1km程度離れています。うねうねと坂道を下り、目の前に海が広がると、その風景に一見不釣り合いな巨大な岩の塊が現われます。どうも今日一番はこの岩に登るそうです。

 この巨大な岩は「オロンコ岩」といい、知床八景の一つだそうです。昔この辺りに住んでいた「オロッコ族」から名前が来ているそうで、オロッコ族が敵との戦いのために見張り台にし、アイヌと戦った場所がこのオロンコ岩。高さ60mで、階段が170段もあります。先生方を初め、皆で一列になって朝からひーひー言いながら上りました。


<オロンコ岩>
 
<岩を登る>

 朝から結構な運動をして頂上に着くと、そこからの眺めはまさにウトロ360度のパノラマを誇る風景でした。ウトロ市街地からウトロ漁港、オホーツク海に知床の先端方面。オロンコ岩の頂上はぐるりと歩けるようになっていて、植物を見ながら散策することができます。まずは知床八景のうちの一つをクリア。曇りだったのが少し残念。  


<ウトロ市街地 右上が今回のホテル>
 
<海の先端に岩が突き出る>

<知床の世界遺産指定方面>

<頂上には緑が広がる>

 次はオロンコ岩の近くにある「道の駅うとろ・シリエトク」へ。知床はアイヌ語で地の果てを意味する「シリエトク」が変化したものだそうです。物産店は知床っぽいラインナップ。トド・熊・鹿と、ジビエの缶詰が売られています。トドと熊は一回食べてみたいんだけどねぇ、どうしても及び腰になってしまう。熊は違いますが、トドは魚を食い荒らすものとして、鹿は増え過ぎて生態系を乱すものとして害獣扱いされているので、こうして捕まえて缶詰にするのは一石二鳥になるのでしょう。ここで売られているのはいわゆる「ウトロの名物・お土産品」なので、その土地の名物を端的に知るにはいい場所です。


<道の駅 うとろ・シリエトク>
 
<物産店内>

<トド肉の缶詰>

<熊・鹿肉の缶詰>

<斜里町は小麦の産地でもある>

<新鮮なオホーツクの海の幸>

 その後は今日のメインイベントである、貸切クルーザーによる知床クルーズへ。先端の知床岬まで行く船(3時間)は予約でいっぱいということで、次に長いルシャ往復コース(2時間)になりました。知床岬まで行ってはみたかったけれど、まあこれは次回のお楽しみということで。曇り空で波が高いかもしれないということで、クルーザー屋に表示されている船酔いレベルはLEVEL2。「波がややあり、酔う人がでるでしょう」というレベルです。LEVEL3になると「嘔吐者が出る」という怖い書き方になりますが、LEVEL2なら何とかなりそうです。大体僕はあのめちゃくちゃ酷かった与那国行きフェリーを経験しているのだから(2005年3月の旅行記参照)。ただ皆さん「酔ったらいやだ」ということで酔い止めの薬を買って飲んでいて、もし僕がここで飲まずに船酔いを起こしたら問題だと思い、一応買って飲むことにしました。一本380円で結構高いです。まあ飲まずに酔って皆さんに迷惑をかけるコストに比べれば、380円なんてねぇ・・・。


<一応酔い止めを飲む>

<今日は船酔いレベル2だそうです>

<ゴジラ岩>

<離れて見たオロンコ岩>

 クルーザーに乗り込み、ライフジャケットを着てからいよいよ出発。僕は一番後ろの席で、隣には卍先生。なかなか緊張する席ではあります。フェリーに比べてスピードが速いので、あっという間にウトロ港が遠くになりました。


<このクルーザーに乗って>

<ウトロ港を出発>

 知床半島は北側と南側で表情が全く違うそうです。南側の羅臼はなだらかな海岸線が続いていますが、北側ウトロはほぼ断崖絶壁です。しかしだからこそ、その落差を使って海に流れこむ滝の迫力は見事です。ただ、船のお兄さんがいろいろと解説してくるのはいいですが、エンジン音が大きくて何を言っているのかがほとんど分かりません。何となく、そういうことを言っているのだろうと思って、適当に頷くばかりです。まあ言葉がなくても、雄大な景色は無言で語りかけてくれるような気がするので問題ありませんが。


<プユニ岬>

<フレペの滝>

<カムイワッカの滝>

<多分・・・硫黄滝>

<平らな海岸線もある>

<この辺りで折り返し>

 クルーザーで海から知床半島を見る楽しみの一つには熊を見ることがあるようで、今回も途中の平地で熊を発見しました。ただ、遠くて熊がぽつんとしか見えず。。カメラのズーム一杯にして撮ってみましたが、それでも右下程度の感じです。まあ見ることができたということでいいか。知床は熊の住処としても有名で、「ある日森の中熊さんに出会った」という洒落にならないことも結構あるそうです。ただ熊は基本的に人を襲わないので、その場合は死んだふりをせずに静かに立ち去るのが良いということでした。


<この画像を超拡大すると・・・>

<熊が見える>

 船は漁師の番屋があるルシャ湾まで行き、そこで折り返し。地上もルシャ湾までは林道が通じているそうですが、ルシャより先、知床岬までは本当に道がないらしく、立ち入りも厳重に管理されている場所になっています。知床岬を見るには、海か空から見るか、または特別な研究として許可をもらって立ち入るしか手段がありません。

 こうして往復2時間の知床クルーズは、誰も酔う人が出ずに無事終了しました。ほとんどの人が酔い止めを飲んでいたのと、思ったほど波が高くなかったのが幸いしました。ただ、酔い止めの副作用でかなり眠くなり、帰りは同じ道を引き返すので眠いったらありゃしない。隣で卍先生はぐっすりと寝ていらっしゃるようでしたが、ジャンパーを借りていた卍先生はまだいいとして、ジャンパーを借りなかった僕は寝ると海風で体力を奪われそうだったので我慢するのが大変でした。曇の知床は気温20度。海上で風に吹かれると、体感温度は3度から5度くらい下がってしまい、まるで秋か初冬の寒さになります。辛かった。

 クルージング後はバスの運転手さんお薦めの 「知床寿し かに乃家」 という海鮮料理屋へ。ガイドブックにも載っていたので、はずれはないでしょう。全体的に結構値段が高めでしたが、旅に出たらお金を出してでもおいしいものを食べるという信念のもと、いくらかに丼を注文しました。2500円です。本当はウトロ産ウニ丼を食べたかったけど、さすがに3880円という値段には手が出ず、ひよった形にはなりましたが・・・。でもいくらかに丼もおいしかった。1600円程度のオホーツク海鮮ラーメンを頼んだ人達は若干がっかりしていたので、まあそれに比べればよかったかたと。。


<かに乃家>

<いくらかに丼>

<午後:知床博物館>

 ここまでの日程を見ていると、完全に遊びに来たというか慰安旅行みたいな感じなっていますが、今日の目的は本格的なヒアリングや見学を始める前に、知床のことを知っておこうという溢れる向上心から来ているものです(恐らく)。その辺をお間違えないよう。知床のことをしるためには博物館に行くのがよいと、午後は斜里町役場近くにある 「知床博物館」 へ行くことになりました。斜里町中心部とウトロは離れているので、バスに乗って40分程かけて博物館へ。

 博物館は完成から30年ほど経っているので若干古く感じましたが、斜里町・知床の社会科学・自然科学ことを総論的に学べるので、とっかかりの知見を得るためのとっかかりとしてはよい見学になったと思います。野外植物園で飼われていたオオワシ・オジロワシの迫力のすごいこと。あと、斜里町が沖縄の竹富町と姉妹都市であることを初めて知りました。


<知床博物館>

<博物館内>

<熊さんに出会う>

<本物のオオワシ>

 博物館を見物し終えた時点で時刻は既に5時前。セブンイレブンで夜のお酒類の買い出しをして帰ろうということでしたが、せっかく斜里町の中心部に出てきたのだからと、地元のスーパーを見て行きたいと思い、A-COOPで買い物をして帰ることに。やはりその土地のスーパーを見るのは楽しいもので、この地方ではどういう品がどういう風に売られているのかという勉強になります。道の駅での売り物は観光客向けの他所行きラインナップという感じですが、スーパーに並んでいるものは地元の生活に密着したものばかり。取れたての生マスが安くて美味しそうです。あと僕はご当地もの(特に飲み物)に弱いので、北海道限定のコアップガラナとJA斜里町のにんじんジュースを買いました。ガラナは正直あまりおいしいとは思いませんでしたが、こういうのって美味しい美味しくないは別にして、飲んだという事実が重要なのよね。


<田舎の味方、A−COOP>
 
<斜里産取れたて生マス>

<新鮮な地物海産物達>

<ご当地ものには弱い>

 再びウトロのホテルに戻り、7時から広間で夕食。昨日と同じ、いわゆる宴会的な御膳料理で、次から次に出てくる料理の多さにはびっくりします。でもどれもおいしいので箸が止まらなくて困ってしまう。今日はスタートラインナップの海鮮鍋・刺身に加えて鹿肉や鰊が出てきて、参りましたという感じです。鹿肉は思ったよりも臭みがない上に柔らかくておいしかった。〆はじゃこご飯とホタテの吸物、最後のデザートは夕張メロンと、名物食べっぱなしで調査なのに申し訳なくなります。このシーズンに普通に泊まってこの食事をしたら1泊2日で18000円くらいするらしいからな・・・。


<今日もいわゆる宴会的な>
 
<鹿肉の焼き物>

<にしんの焼き物>

<じゃこご飯とホタテの吸物>

 食後は部屋に戻り一休み、というか今日も数人で打ち合わせ。まあこれは調査なので仕方がないですが、眠くて仕方がありませんでした。おかしい、今日は調査も何もしてなくて遊んでいただけなのに、何故こんなに疲れて眠いのか。どうも疲れていたのは僕だけではないようで、先生方を初め皆さんほとんど疲れていたようです。原因は朝一番のオロンコ岩登山、クルージングの酔い止め、クルージングの海風等いろいろ挙げられましたが、とにかく疲れてしまったことは間違いありません。

 打ち合わせが終わった後は、昨日に引き続き飲み会。しかし皆さんやっぱり疲れているようで、さらに明日から本格的に調査が始まるということで、11時にはお開きになりました。正直助かった。


<飲み物をご用意しております>

<鮭とばがビールに合い過ぎる>

 本当に眠かった僕は、温泉に入るのも諦めてすぐに就寝。


モドル

                                         

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