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知床調査 4  
2009年8月6日(木)  <森林デー(製材会社見学、保健保安林散策、知床半島の深部へ)>


今日は一日森林デー> 

 朝4時にトイレで目が覚めると、ネットのある1階ロビーからFさんが戻ってきたところでした。明け方まで明日の聞き取りに関する仕事をしていたなんて、寝てしまって申し訳ない・・・。M2のY君も4時頃から起きて作業を始めたので、僕も5時過ぎに起きてからお手伝い。いやしかし眠い。7時前に何とか終えて、朝食になりました

 朝食会場に着くと、当たり前のように昨日と同じ食材が並んでいます。さすがに飽きました。せめてもの抵抗として、今日は洋食にしてみることに。でもあまり変わらない。


<今日は洋食で>
 
<深い霧が立ち込める>

 今日は一日「森林デー」と称して、林野庁の北海道森林管理局の方々の案内のもと、いろいろと回ることになっています。このプロジェクトは金銭的にはNC総研が全面支援しているもので、研究会や調査にもNC総研の方が毎回二人参加されていますが、そのうちの御一人であるI理事研究員と森林管理局の局長が古くからの知り合いということでこのような一日が実現しました。つながりというのは素晴らしいものです。あと余談ですが、理事研究員のIさんは僕が今まで見てきた大人の中でも1,2を争うくらいめちゃくちゃいい方です。この方に出会えただけでも、このプロジェクトに参加してよかったと思うくらい、それほど素敵な人です。僕もああいう歳の取り方をしたい。

 8時半にホテルを出発し、近くにある知床森林センターで林野庁職員の方々と顔合わせをしてから、まずは斜里町市街地方面にある製材工場へ。斜里町の基幹産業は農業・漁業・観光業で、林業はそれほどでもありませんが、いろいろと面白い話を聞けました。


<原材料の丸太>
 
<丸太が加工され>

<機械で精密に加工され>

<こんな感じの製材に>

 製材工場から畑を見ていると、ちょうど電車(というか汽車)が通ったのでタイミングよく一枚。釧網本線を走る一両の汽車ですが、結構なスピードで疾走しています。

 再びウトロの森林センターに戻り、昼食の弁当を食べつつ、職員の方から知床の森林の現状と午後の予定についてブリーフィング。午後は森林の中に入って行くということで、各個人にヘルメットとサイズぴったりの長靴があらかじめ用意されていました。しかも新品。おもてなしにびっくり。昼食を食べている間にだんだんと青空が広がり、朝の曇り空が嘘のように気持ちの良い天気になりました。これは嬉しい。山の天気は変わり易いです。


<知床森林センター>
 
<地元仕出し弁当屋の昼食>

<もらった資料>

<ヘルメットと長靴を借りる>

 1時過ぎに森林センターを出発し、バスの中で長靴・ヘルメットを装備して準備万端。知床峠に向かう道の途中でバスを降り、林野庁が管轄する保健保安林を見学することに。もちろん世界遺産に指定されている森です。世界遺産に指定されているために、草木を勝手に抜いたり切ったりすることはできません。熊が出る可能性が高いので、一般的にはネイチャーガイドの人と一緒に散策する道のようですが、今回はそこを管轄する林野庁の方の案内で散策できるということで(しかもタダで)、何となくVIP待遇の気がして気分がよろしいです。


<知床峠に向かうこの辺りの道から>
 
<保健保安林に入る>

 局長さんの説明のもと、ブナやミズナラなどが茂る森を歩き、世界遺産の森林状況を確認することができました。やはり北海道の森林、本州の森林とは少し違います。本州だったらもう少し緑臭く、緑の量も多いかと思いますが、亜寒帯の知床はやはり森林も涼しげです。「涼しげ」というところが生物的学のなさを露呈してしまうところですが・・・。

 しばらく歩くと、急に公園のような開けた場所に出ました。ここは春から初夏にかけて、雪解け水が溜まる沼になる場所だそうで、気温が上がった今は沼が干上がって広場のようになるそうです。ここから見える羅臼岳は見事で、職員の方によるとこの場所からこれだけ綺麗に見えることは極めて稀なことらしい。本当に運がよかったことに感謝。


<広場のようなところから羅臼岳が見える>

 その後もてくてくと歩いて、約70分の森林散策は終了。一旦バスで昨日訪れた知床自然センターへ戻り、今度はここで総勢4台の林野庁の車に分散して乗り換えることに。これから向かうのは知床五湖の先ですが、知床五湖より先は自家用車や自転車、徒歩での侵入が制限されています。五湖の先にはカムイワッカ湯の滝という名所がありますが、一般人がそこに行くにはシャトルバスに乗り換えて行かなければいけません。しかし、今回僕らは林野庁の車に乗り、車でずんずんと進んで行くことになります。もうこれはVIPそのものではないか。

 林野庁の車に乗り、まずは昨日も通った道を通って知床五湖方面へ。僕は助手席に乗ったので、目の前の景色がパノラマ風に見えて素敵でした。目の前に広がるパノラマの深い緑。バスでは見ることができません。知床の自然はすごい。


<昨日も通った五湖までの道>

<五湖までの道路は綺麗に舗装されている>

 知床五湖から先は、いよいよ許可車両のみが進むことが出来る場所。車のフロントに「許可車両」のシートを出し、警備員に挨拶をして進み出しました。うーん、VIPやねぇ。五湖より先の道は未舗装で、車が土煙を出して走っています。さっきまでの快適な道路とは打って変わって、ワイルドさ全開です。

 カムイワッカ湯の滝までは未舗装道路でうねうねとした道路が続くので、乗り物に弱い人は少し酔うかもしれません。僕は大丈夫でしたが、土煙のお陰で若干喉がイガイガするような気もしました。途中観光客を乗せたシャトルバスとすれ違うと、バスに乗っている観光客達が「何だこいつらは」という目で僕らを見下ろしてきます。うーん、VIPやねぇ。


<五湖より先の道は未舗装>

<シャトルバスとすれ違う>

 未舗装の道を20分ほど進むと、カムイワッカ湯の滝。シャトルバスや一般の人が訪れることができるのはここまでですが、林野庁車両はさらに奥へ。カムイワッカから少し行ったところで車を止め、知床の風景を堪能しました。


<知床半島の森>

<海が見える>

 さらにもう少し先に進むと知床大橋という大きな橋へ。一般的に車で進めるのはここまでだそうで、これから先はゲートで固く閉ざされています。以前は一般車両やシャトルバスもここまで来られたそうですが、観光客数増大による規制と自然保護、落石防止等の観点から今では許可車両以外はここまで来ることが出来なくなっています(現在の交通規制状況は こちら )。今回は林野庁の御好意で例外的にここまで来ることができましたが、ほとんど人が訪れることがないこの知床半島の深部は、だからこそ良好な自然環境が保たれていて、ヒグマもたくさん生息しているそうです。事実、知床大橋を歩いているときに近くにヒグマがいたらしい。僕は見逃してしまって残念でしたが。


<知床大橋>

<結構大きい>

<知床大橋の下を流れる川>

<ここから先は進入禁止>

 予定では帰り際にカムイワッカ湯の滝にも寄ることになっていたので楽しみにしていましたが、先頭を走る車が素通りしています。僕らの車の運転手さんも「行かないんですかねぇ?」と不思議に思っていましたが、先頭車に従ってカムイワッカ湯の滝はスルーすることに。知床八景の一つだけあるので非常に残念です。後で聞くと、先頭車に乗っていた局長さんも「カムイワッカに寄ろう」と言っていたそうですが、運転手さんが「時間がないので寄りません。駄目です」と強権(?)を発動したそうです。局長の意向に断固反対するとは凄い。

 再び来た道を戻り、昨日バスの車窓から見た「100平方メートル運動発祥の地」の場所で降りて、じっくりと見物。天気が良くて知床連山もはっきりと見え、さらにシカも遊んでいるという、絶好の風景になりました。


<100平方メートル運動発祥の地の看板と知床連山>

 そのご岩尾別川の鮭魚道を見物。局長さんがシカの角が発見したようで、僕らにも見せてくれました。昨日のバスの運転手さんの話によると、シカの角は一本5000円〜8000円程度で、万が一同じシカの左右の角が同時に見つかれば、値段は一気に10万円以上に跳ね上がるそうです。今回見つかった角は腐りかけていたそうなのであまり高価なものではないということでちょっと残念。


<岩尾別川>

<岩尾別川の鮭魚道>

<シカの角が落ちている>

<シカが草を食べている>

 これで全ての日程が終了し、一旦林野庁の方々と別れてホテルへ。夕食は6時半から、林野庁の方々を交えてということになっており、場所はいつもの広間でしたが、料理はいつもより若干豪華でした。局長さんを初めとしていろいろなお話を伺い、ジンギスカンやカサゴの唐揚げ、知床地鶏に舌鼓。〆はいくらご飯が出てきて、何とも豪勢です。卍先生や局長さんがお酒を飲んで話が盛りあがり、こちらもいろいろと面白い話が聞けて有意義なひと時が過ごせました。


<いつもよりちょっと豪華>
 
<ジンギスカン>

<柳川>

<カサゴ唐揚げ>

<知床地鶏>

<いくらご飯>

 8時半にお開きになったあと、初めてこの時間に温泉に入りました。さすがにハイシーズンの大規模温泉ホテル、9時頃の温泉は大浴場とはいえ、ものすごい混雑具合です。やっぱり人が少ない夜中か明け方に入るに限ります。その後は例の如く僕らの部屋で飲み会でしたが、夕食のときに先生方が結構飲んでいたのと、さすがに一日歩いて疲れが溜まっていたのとで、11時頃早目のお開きに。夜に温泉に入ったのもあって、11時を過ぎると急に眠くなり、12時過ぎに就寝。


モドル

                                         

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