このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

京成津田沼 直通の焦点を見る

3月の設備投資計画でヴェールを脱いだ新京成と京成千葉線の直通運転。直通運転用と目される6連のN800形の登場も経て、いよいよ「その日」が現実になることを感じさせてくれます。

その直通運転ですが、どうしても避けては通れないのが新京成唯一の単線区間である新津田沼−京成津田沼間と京成津田沼駅の構造です。肝心かなめの結節ポイントでのボトルネックは、直通運転のダイヤ編成を大きく制約することになるわけで、事実、その後6月に報道された内容では日中20分ヘッドと言う、現有設備を大きくいじらない最小限のダイヤで実施するようです。

そこで、ここまで既出の前提と、将来像を踏まえながら現地を見てみましょう。


特記なき写真は2005年5月撮影


●京成津田沼駅下り方の配線

京成津田沼駅下り方


ご覧のように、京成線の2面4線のうち、上下それぞれの1面2線の両方が成田線(以下便宜上本線下り方をこう呼ぶ)、千葉線にアクセス出来る構造で、成田線下りと千葉線上りは平面交差しています。
新京成線の1面2線からは、京成線ホーム側の5番線からのみ千葉線へ直通する線路が伸び、千葉線下りに合流しますが、その先千葉線上りへの渡り線はありません。
そのため、最小限の直通設備として、5番線から千葉線下りに合流した先に、千葉線上りとの片渡りの設置が必要になります。

●直通電車同士の交換が出来ない問題

車止めで終わっている6番線線路

新京成線の6番線は車止めで終わっているため、直通電車は上下とも5番線を使用します。
現在のダイヤをそのまま千葉線に伸ばした場合、新津田沼で交換した後の直通列車は京成線内で交換すると思われるので、この配線でも問題はありません。
しかし、直通電車は新津田沼駅を出ると千葉線の京成津田沼駅の先まで交換不能区間が続くため、この間の所要時間と京成津田沼での停車時間を考えると、例えばこれを10分ヘッドにすると言うような対応が出来なくなります。

上り方の大踏切

一つの改善策として、新津田沼から来た下り電車をそのまま京成線の4番線に入れるように分岐を入れると言う手があります。
ここで問題となるのは、本線下りから3番線に入る電車を支障しないようにすることですが、それが可能な形で分岐を挿入すると、駅西側の大踏切の中に分岐構造物が、可動部分は避けられても、クロス部が入り込むことになります。

●6番線の延長は可能か
本線側の線路容量を痛めない形で直通の容量を上げるとなると、王道は6番線から千葉線に出せるようにすることです。
6番線の車止めの先には生活道路が迫っており、これを廃止すれば可能ですが、民家が面している生活道路を廃止したり塞いだりすることは出来ません。

8両停止位置からの距離に注目

ところがこの部分、よく見ると8連の停止目標からホーム端部までの距離がけっこうあります。
となりの4番線の停止目標からの距離と比べると一目瞭然で、この余裕を削って、6番線からの線路を早い段階で5番線からの線路に合流させることが出来そうです。
ホーム端部の先には鉄道用地(駅のゴミ捨て場)があり、かろうじて余裕は取れそうです。

ホームの端の先には...



●複線を保って千葉線に合流は可能か

千葉線合流方向を見る

ボトルネック区間を極小化するプランです。
4番線から千葉線への下り線をもう少し海側(右側)に振ることで、5番線から千葉線上りと、6番線から千葉線下りを両立させることが出来そうです。
ただ、5番線からの線路が、3、4番線からのダブルクロスの終端を横切るしかなさそうで、そう言う構造の分岐機が可能かどうか、という問題はあります。

***
こうして見ると、手は無い訳ではないですが、それなりにコストや手間がかかりそうです。
それに見合う直通乗客の増加が見込まれれば手を打つのでしょうが、既存の直通乗客へのサービス改善で終わりかねない最悪のケースを考えると、現有設備での最小限の直通でスタートするのも判らないではないです。
ただ、こうした「新サービス」は利用者へ与えるインパクト次第という面もあるため、今回の水準でどの程度のインパクトを与えられるか、それによって直通の今後の展開が左右されます。

6番線停車中の800形(2005年6月引退の編成)
(2002年4月撮影)









習志野原の交通局へ戻る

習志野原今昔物語に戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください