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2000年恐慌


速星 千里


 2000年あけましておめでとうございます。
 皆さん昨年の大晦日はどう過ごされたでしょうか? 2000年問題への対策に追われた方も多いでしょう。私の家ではせいぜい水をバケツに1杯汲み置いた程度でしたが、テレビなどを見ていると、現金、米、缶詰、乾パン、水、カセットコンロ、電池、携帯ラジオ、七輪、練炭、灯油、etc... と、ありとあらゆる品を買い揃えたという方もいらっしゃったようです。
 聞くところによると2000年問題の対策に使われた費用は約12億円、そのうち約10億円が各家庭での対策に使われたとのこと。もちろんこの中にはビデオやファックスの買い換え、パソコンのソフトの修正といった目的の支出も含まれているのですが、備蓄のための費用が大きな割合を占めることは明らかでしょう。
 まあ大きな問題は何も起こらなくて良かったわけですが、しかしそれらの買い置かれた品々はどうなったのでしょう。使われずに済んでしまったわけです。
 今年の三が日あたりはスーパーに行っても例年に比べ鍋物のコーナーが異様に大きく、肉のコーナーの9割ほども占めていて、鍋を食べ飽きていた私などは大変に困り果てたものでした。後のテレビニュースで知ったのですが、これは、各家庭がカセットコンロを使うことを見越したスーパーの戦略だったようです。備蓄品として買った普段は使わないカセットコンロ、使わずに済んだけれどせっかく買ったのだから使わなければもったいない、だったら鍋物にしよう、といった感じでしょうか。
 こうして、備蓄品として買った普段は使わないもの、あるいは普段使う量以上のものを消費することから2000年は始まります。例えば1999年末に聞いた電池業界の話では、1999年は工場をフル稼働しても追いつかないほどの需要だったが、2000年問題で何も起こらなかったら来年の前半は工場も休止しなければならないだろう、と。
 先に品物を買いだめしてしまったのですから、消費者はものを買わなくなります。買う必要が無くなるわけです。ものが売れなくなれば減給、リストラ、あるいは倒産、そして……。


© 2001 Chisato Hayahoshi

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