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アメリカの正義とアルカイダの原理


高井田 叢雲 (たかいだ ・そううん


 最近、アメリカは、執拗にアフガニスタンを攻撃しています。 日本のテレビでは、毎日のようにアフガニスタン情勢が‘アメリカ筋の’メディアを通して伝えられ、連日の様にアメリカの正義、テロリストの文明に対する挑戦と言われています。 しかし私はこのことに違和感を感じずにはいられないのです。

 そもそも、今回の貿易センタービルへの突撃は、ビン=ラディン氏率いるアルカイダの仕業なのでしょうか?  確かにここ数年、アルカイダは反米的でアメリカへの聖戦を各地で呼びかけ、自爆テロも決行していました。 これは紛れもない事実でしょう。 この状況からすれば、犯人はアルカイダだと言い切るのも簡単のように思えます。 しかし、これはあくまで‘状況’証拠なのです。物的証拠は1つもないのです。 ちなみに言うまでもなく、近代国家の法律では、状況証拠が決め手となって有罪となることはありません(疑わしきは罰せず)。 つまり、アルカイダは今回の事件に関して言えば無罪なのです。

 では何故、アメリカは奇妙ないいがかりをつけて、現在空爆しているのでしょうか?  理由は大きく2つあります。

 1つ目は、アメリカ大統領が、自分の支持率を上げるために利用しているからです。 みなさんは、おそらく今回のアメリカ大統領選をまだ鮮明に覚えていると思います。 そう、ブッシュ候補と、ゴア候補が互いに僅差で争っていたのです。 つまり、成立当初、ブッシュ大統領の支持率は非常に低かったのです。彼は支持率UPを目論んでいました。 そこに今回の『突撃』です。 彼にとって、またと無い人気上昇の機会です。 これを利用しない手はありません。 そして彼は実際に、壊れた貿易センタービルの近くに降り立ち、消防士と肩を組んで演説したり、連日、アメリカ文明に対する挑戦だと‘精力的に’演説することで見事90%という高支持率を得たのです。

 2つ目は、空爆によって、混乱したアメリカ経済を立て直すつもりだからです。 いうまでもなく戦争は、イデオロギーの対立と同時に、格好の産業活動でもあります。 特に今回のアメリカのように、こちらに死者を出すことなく、空から攻撃する事は、正に濡れ手に粟なのです。 残念ながら、資本主義社会で不況打開の最善策は戦争です。 事実、アメリカ経済は復興しつつあります。 アメリカは今回の空爆で見事、それを示してくれているのです。

 このように、アメリカによる空爆は、何らアメリカが言うような正義がないのです。 しかし日本人は、空爆に反対しつつも、何故かブッシュに正義の面影を感じ、ビン=ラディン氏に悪魔の面影を感じてしまっています。 その原因は、アメリカ・イギリス筋からの情報をそのまま報じてしまっている日本のマスコミにあります。 マスコミは、全然内容を吟味することなく、興味本位で報道してしまっているのです。 これはマスコミにあってはならないことです。 ちなみに、アメリカ・イギリスの偏見に満ちた報道を削ぎ落とし、私なりにたどり着いたビン=ラディン像は『熱心な民族運動家』です。 彼のしている事は、インドネシアを独立に導いたスカルノ氏や、辛亥革命を起こした孫文と、何ら違いはないのです。 彼らもビン=ラディン氏と同じような事をして独立を勝ち取り、また革命を成功させたのです。 ただ彼らとビン=ラディン氏の大きな違いは、アフガニスタンがまだ完全に独立を勝ち取っていない事です。 アフガニスタンは一応独立国ですが、それでもロシアやアメリカと言った、大国の影響から抜け出せていません。 それを不満に思ったアルカイダがアメリカに対して、独立を勝ち取るための運動をしているに過ぎないのです。 確かに貿易センタービルで亡くなった方とその遺族には哀悼の意を表します。 しかし、だからと言って、感情的になって「空爆やむなし!」と空爆を支持するのもどうかと思います。


© 2001  Soun Takaida

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