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2月15日、反戦デモが地球を1周した。
米国が画策するイラク攻撃に対して、世界中から「NO」の声が上がったのだ。 日本、韓国、ドイツ、……。 そして、急先鋒たるアメリカやイギリスでも。 ベトナム戦争時をも上回る規模という。
私は旅行に出ていたため、この「世界同時行動日」のことは何も知らなかった。 帰り際にふと見上げた マルビル の電光掲示板で、初めて状況を認識するに至った。
実に感動した。
ニュースを聞いてこんなに感動したのは初めてである。 米国政府には落胆ばかりさせられてきたが、民衆はいまだ健在であったのだ。
そしてそれと同時に、旅行中だったとはいえ、この同時行動に際し何もできなかった自分を情けなく思った。 日頃からの情報収集の重要さを、改めて思い知らされた。
☆ ☆
さて、イラク問題であるが、これはアメリカが作り出した問題に他ならない。 以下、 朝日新聞の特集記事 より一部引用する。
湾岸戦争後の91年、米国が北部クルド人保護を名目に北緯36度以北を、92年、米英仏3国が南部シーア派保護を名目に北緯33度以南を飛行禁止区域に設定。 停戦後もイラク軍機が空域内で米国機に撃墜されたり、空域内に配備された地対空ミサイルを米英が爆撃する事態が起きている。
すなわち、アメリカはイラクの一部空域を勝手に(国連決議を経ずに)「飛行禁止区域」に設定し、しかも、その区域を飛んだイラク軍機を撃ち落とし、あるいは地上の設備を攻撃しているのである。
これは戦争行為以外の何物でもない。
戦争を仕掛けられた国が自衛のための反撃の準備を行うことに、何ら問題はない。 イラクにおける軍事化の進行も、当然のことといえよう。
とんでもない、イラクは国連決議に反して大量破壊兵器を持っているじゃないか、とお怒りの方もあるだろう。 その主張は決して間違ってはいない。 おっしゃるとおり、イラクの軍備は国連決議に違反している。
だが、違反の責任については、一概に「イラクが悪い」とは言い切れない。そうするしか抵抗の手段がなかったという側面があるからである。
アメリカの軍事力・経済力は、世界でも群を抜いている。 いくら戦争を仕掛けられたからといっても、まともに応戦しては、イラクに勝ち目はない。 だが、助けを求めようにも、好き好んでアメリカと敵対する国などない。
ではいかにして、独力で主権を守るか。 もはや、卑怯な手を使うしかないのである。
やむを得ず緊急避難的に、大量破壊兵器に手を出した。 これは正当防衛というものである。 一体誰がイラクを責められようか。
(誤解の無いように一言付け加えておく。隠し持ったり虚偽の報告をしたことに関しては、明らかにイラクが悪い。)
イラクが大量破壊兵器を配備するに至ったことは、ここまで追いつめたアメリカの責任であり、そして、ここまで放っておいた国際社会の責任なのである。 それなのに、「ならず者国家」呼ばわりし排除しようとするとは、何たることか。
イラクを守れ。 国際政治を守れ。 誤った国際政治の犠牲者は、もうたくさんだ。
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© 2003 Chisato Hayahoshi
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