━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いざというときに役立つMS−DOS 執筆:速星 千里 第3号(2003.03.22) カレントディレクトリ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <目次> ■ はじめに ● ウインドウ表示と全画面表示 ■ カレントディレクトリ ■ CDコマンド(CHDIRコマンド) ● 書式 ■ 絶対パスと相対パス ● 絶対パス ● 相対パス ● 使い分け ● 注意事項 ■ 違うドライブのディレクトリに移動したいときは ● エラーメッセージ ■ メールお待ちしています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ はじめに ------------------------------------------------------------------------ 皆さん、こんにちは。速星です。 このメルマガが、ウィークリーまぐまぐ総合版(3月19日号)の「新着マガジ ン読者数総合ランキング」で、ビジネス版の第1位と発表されました! (前号の発行部数:2096部) 記事を見て新たに登録された方も大勢いらっしゃるようで、登録者数は、なんと 3800名を越えました。ありがとうございます。 1位の名に恥じぬメルマガをお届けできるよう、より一層努力いたします。 今後ともよろしくお願いします。 さて、今回は、カレントディレクトリについて詳しく説明します。カレントディ レクトリについてはこれまであいまいな説明しかしてきませんでしたが、実は、 DOSを使う上で欠かせない概念の1つです。 地味な内容も、ようやく今回で終わりです。 次回からは、タイトル通り「いざというときに役立つ」内容に触れていきます。 なお、フォルダ構成やMS−DOS起動時のカレントフォルダは、環境によって 異なります。お使いの環境に合わせて適宜読み替えて下さい。 ------------------------------------------------------------------------ ● ウインドウ表示と全画面表示 全画面表示からウインドウ表示に戻せなくなったというメールを、何通かいただ いております。 > さっそくいろいろとMS-DOSで遊んでいたところ、 > うっかり十字矢印ボタンを押して全画面表示にしてしまいました > EXITコマンドはお教え頂いていたので > Windowの終了は出来たのですが、その後立ち上げると > やっぱり全画面表示になってしまって不便です(^^; ありがとうございます。 これについては創刊号にも書きましたが、再確認しておきましょう。 ウインドウ表示と全画面表示を切り替える方法は、Alt+Enter(Altキーを押し ながらEnterキーを1回押す)です。 ※ このときの「Enter」キーは、テンキーの方ではなく、BackSpaceキーの近く にある巨大な方のキーを押して下さい。 全画面表示でないと正しく表示できないMS−DOSプログラムもまれにありま す(一部のゲームなど)が、ほとんどの場合はウインドウ表示の方が便利でしょ う。普段はウインドウ表示の状態にしておいて下さい。 なお、通常の設定で使用していれば、全画面表示でもWindowsのショートカット キー(Alt+Tab、Ctrl+Escなど)は使用できます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ カレントディレクトリ ------------------------------------------------------------------------ カレントディレクトリ(カレントフォルダ)とは、いま注目しているディレクト リ(フォルダ)のことでした。Windowsでは、「作業ディレクトリ」と呼ばれる こともあります。 カレントディレクトリにあるフォルダやファイルは、各種のコマンドを用いて、 直接操作することができます。 MS−DOSウインドウを起動した直後は、Windows98では「C:\WINDOWS\」が、 Windows2000,XPでは「C:\Documents and Settings\USERNAME\」がカレントディ レクトリになっているのが一般的なようです。 カレントディレクトリは、画面上で「C:\WINDOWS>」のように表示されます。 (この、初めから表示されている文字を「プロンプト」といったりします) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ CDコマンド(CHDIRコマンド) ------------------------------------------------------------------------ カレントディレクトリを変更するときに使うのがこのCDコマンドです。 単に「ディレクトリを移動」といったら、カレントディレクトリの変更、つまり CDコマンドを指します。 前号で解説したDIRコマンドとともに、MS−DOSで最もよく使うコマンドの 1つです。 なお、CHDIRコマンドというのは、CDコマンドの別名です。使うときにはどちら を入力しても問題ありませんが、短い方の「CD」で覚えておくといいでしょう。 DOSには、このように別名を持つコマンドがいくつかあります。 CD(CHDIR)というのは、おそらく、Change Directory(ディレクトリ変更)の 略だと思います(未確認)。 ------------------------------------------------------------------------ ● 書式 CD /? でヘルプを出せば分かることですが、CDコマンドの基本的な書式は、 CD [ドライブ:][パス] です。 カレントディレクトリを変更しようと思ったら、当然ながら、どこのディレクト リに変更するのかを指定しないといけませんね。従って、この場合のオプション は変更先のディレクトリ名です。 では、具体的にどのようにしてディレクトリ名を指定すればいいのでしょうか。 ファイル名やディレクトリ名の指定方法には、絶対パスと相対パスの2種類があ ります。次項でそれぞれ説明します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 絶対パスと相対パス ------------------------------------------------------------------------ ● 絶対パス ルートディレクトリ(「C:\」や「D:\」など)からディレクトリを順番にたどる ように指定する方法が、絶対パスというものです。 例えば、ディレクトリなら C:\WINDOWS\OPTIONS\CABS\ ファイルなら C:\WINDOWS\OPTIONS\CABS\SETUP.TXT というふうに、ディレクトリ同士、またはディレクトリとファイル名の間は、 記号「\」でつなげます。 Windowsの「マイコンピュータ」や「エクスプローラ」のアドレス欄で見かける ものと、全く同一です。 カレントディレクトリと同じドライブにあるディレクトリを指定するときは、 「C:」や「D:」といったドライブ名を省略して、 ディレクトリなら \WINDOWS\OPTIONS\CABS\ ファイルなら C:\WINDOWS\OPTIONS\CABS\SETUP.TXT としても同じことです。 また、ディレクトリの場合は、最後の「\」を省略して \WINDOWS\OPTIONS\CABS としても構いません。 では試してみましょう。 CD \WINDOWS\OPTIONS\ と入力して下さい。カレントディレクトリの表示が「C:\WINDOWS\OPTIONS>」の ように変わりましたか? 「ディレクトリの指定が違います.」 と表示されたときは、ディレクトリ名を打ち間違っているか、あるいはお使いの コンピュータに「C:\WINDOWS\OPTIONS\」というディレクトリが存在しないか、 どちらかです。 もし、お使いのコンピュータにこのディレクトリが存在しないのなら、別の適当 なディレクトリで実験してみて下さい。 さて、それでは、「C:\WINDOWS\OPTIONS\」から「C:\」に移動したいときは、ど うすればいいでしょうか。 CD \ ですね。 このときだけは、「\」を省略することができません。これを省略すると、オプ ションがなくなってしまうので、CDコマンドは別の振る舞い(単に現在のカレン トディレクトリを表示するだけ)をするようになります。 「C:\」に移動したら、その確認と復習を兼ねて、DIRコマンドを使って「C:\」 (Cドライブのルートディレクトリ)のファイル一覧を表示させてみましょう。 おそらく1画面では収まりきらないでしょうから、 DIR /P と入力して下さい。 カレントディレクトリが「C:\」になっていれば、表示されたリストの一番はじ めの部分に「ディレクトリは C:\」などという表記があるはずです。 ------------------------------------------------------------------------ ● 相対パス カレントディレクトリからの相対的な位置でディレクトリやファイルを指定する 方法は、相対パスと呼ばれます。 相対パスによる表記法では、カレントディレクトリを「.\」で、親ディレクトリ (一つ上のディレクトリ)を「..\」で表します。 例えばカレントディレクトリが「C:\」のとき、「C:\WINDOWS\」というディレク トリを「.\WINDOWS\」で表します。「.\」を省略して単に「WINDOWS\」と表記す ることもよくあります。 実際に操作してみましょう。 まず、カレントディレクトリが「C:\」になっていることを確認して下さい。 (なっていないときは「CD \」と入力すればいいですね) この状態から「C:\WINDOWS\」に移動するときには、 CD WINDOWS と入力します。最後に「\」をつけて「CD WINDOWS\」としても構いません。 (パス名の最初の「.\」は通常省略されます) パス名の最初に「\」をつけて「CD \WINDOWS」としてはいけません。これは、絶 対パスでの指定です。 続いて、「C:\WINDOWS\SYSTEM\」に移動してみましょう。 CD SYSTEM ですね。 では、ここから「C:\WINDOWS\」に戻るときにはどうすればよいでしょうか。 「C:\WINDOWS\」は「C:\WINDOWS\SYSTEM\」の親ディレクトリですから、 CD .. と入力することになります。 ------------------------------------------------------------------------ ● 使い分け 絶対パスは、カレントディレクトリの位置に関わらず使える方法です。 あまり階層の深くないディレクトリに移動するとき、特にルートディレクトリに 移動するときには大変重宝します。 けれども、例えば、カレントディレクトリを 「C:\WINDOWS\PROFILES\HAYAHOSHI\FAVORITES\リンク\」から 「C:\WINDOWS\PROFILES\HAYAHOSHI\FAVORITES\」に移動したい場合は、どうで しょうか。(註:これらのディレクトリ名は仮想的なものです) 1つ上のディレクトリに移動するだけなのに、 CD \WINDOWS\PROFILES\HAYAHOSHI\FAVORITES\ と、長々と入力するのはとても面倒です。 一方、相対パスなら CD .. たったこれだけの入力で済みます。 このように、ディレクトリの階層が深い場合や、すぐ上やすぐ下のディレクトリ に移動するときに効果を発揮するのが相対パスです。 また、DIRコマンドでファイルを探しながら順番にカレントディレクトリを移動 していくときなどは、なくてはならない方法だといえるでしょう。 ------------------------------------------------------------------------ ● 注意事項 半角スペースを含む名称のディレクトリやフォルダを記述するときは、下の例の ように、パス名全体をダブルクォーテーションで囲むようにしましょう。 ○ "C:\Documents and Setting\CHISATO\example.txt" × C:\Documents and Setting\CHISATO\example.txt ダブルクォーテーションがないと、半角スペースを境にして別々のオプションと 認識されてしまいます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 違うドライブのディレクトリに移動したいときは ------------------------------------------------------------------------ まずは、 CD \ と入力して、カレントディレクトリを「C:\」に移動しておいて下さい。 では、カレントディレクトリを「D:\」に変更してみましょう。 どうしますか? CD D:\ と入力したくなりますが、これは不正解です。違うドライブのディレクトリに移 動するときには、CDコマンドは役に立ちません。 正解は、 D: です。 この「ドライブ名:」というコマンドは、カレントドライブを移動させる特殊な コマンドです。オプションは指定できません(指定しても無視されます)。 さて、Dドライブのどこかのディレクトリがカレントディレクトリになったかと 思います。あとは、必要に応じて CD \ と入力すれば、「D:\」がカレントディレクトリになります。 ------------------------------------------------------------------------ ● エラーメッセージ お使いのコンピュータに存在しないドライブへ移動しようとすると、 無効なドライブの指定です. というエラーメッセージが出ます。正しいドライブ名を確認して下さい。 また、ちゃんと存在するドライブでも、例えばフロッピーディスクドライブにフ ロッピーディスクが入っていなかったり、CD-ROMドライブにCDが入っていなかっ たりすると、 準備ができていません. 読み取り中 ドライブ A: 中止 (A), 再試行 (R), 失敗 (F)? などと表示されます。この「中止 (A), 再試行 (R), 失敗 (F)?」というのは、 カッコ内に書かれたキーのいずれかを押せ、という意味です。 単にディスクを入れ忘れただけなら、ディスクを入れた後に「R」を入力して再 試行させればいいでしょう。 ドライブ名を間違って入力したときは、「A」を押してコマンドの実行を中止さ せます。「現在のドライブはもう有効ではありません.>」と表示されたら、改め てドライブ移動のコマンドを入力して下さい。 なお、「失敗 (F)」は、現段階では使いません。気にしないで下さい。 ------------------------------------------------------------------------ 今回はここまでです。 お疲れ様でした! 絶対パスと相対パスの話は少々分かりにくかったでしょうか。 次号で再度、別の視点から説明することにします。 次号の予定は「システムトラブルからの復旧法(1)」です。 このテーマは数回に分けて説明します。その1回目となる次号は、MS−DOS から少し離れて、主にWindows上から行う復旧法について説明します。 いよいよ、タイトル通りの「いざというときに役立つ」内容に入ります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ メールお待ちしています ------------------------------------------------------------------------ 皆さんからの感想・質問・要望をお待ちしています。 「こんなテーマを扱ってほしい」 「こんなことはできるの?」 「このへんが分かりにくかった」 「1回の分量を増やしてほしい/減らしてほしい」 など、下記アドレスまで気軽にお願いします。 tetrahedrane@yahoo.co.jp いただいたメールは、本マガジン上で引用する場合があります。 (メールアドレスやお名前は一切公開いたしません) なお、執筆者は3月末まで、メールが送信できない環境にあります。従って、 メールをいただいても返信は差し上げられませんのでご了承下さい。 (受信はできますので、気軽にメールをお願いします) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 感想・質問宛先 tetrahedrane@yahoo.co.jp ● 登録・解除・バックナンバー http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/4963/column/dos/ このメールマガジンは、『まぐまぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/m/0000106066.htm (c) 2003 Chisato Hayahoshi