━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いざというときに役立つMS−DOS 執筆:速星 千里 第4号(2003.03.29) システムトラブルからの復旧法(1) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <目次> ■ はじめに ■ 復習:絶対パスと相対パス ● 初級シスアド平成13年秋季試験午前問3(改題) ● 解答 ● 解説 ■ システムトラブルからの復旧法(1) ● セーフモード ● スキャンディスク ● レジストリチェッカー ● その他 ■ 起動ディスク ● Windows95,98,Me ● Windows2000,XP ■ メールお待ちしています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ はじめに ------------------------------------------------------------------------ 皆さん、こんにちは。速星です。 今号もよろしくお願いします。 ここまで3回はMS−DOSの基本を学習してきましたが、今回からは実用的な 内容も交えながら説明していくことにします。 前半では、前号の復習を兼ねて、初級シスアドの問題に挑戦していただきます。 そして後半では、Windowsの調子が悪いときの対処法(その1)を説明します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 復習:絶対パスと相対パス ------------------------------------------------------------------------ 前回、パスの指定方法2種類について説明しましたが、CDコマンドの操作を中心 に説明したため、ディレクトリの階層構造のイメージが湧きにくかったかもしれ ません。そこで、初級シスアドの問題を例に挙げて、もう一度解説することにし ます。 なお、作図にあたっては、斎藤末広氏が発行されている「高度を目指す一日一題 宿題メールマガジン」(下記URL)を参考にさせていただきました。 http://www.3721p.com/homework/ ------------------------------------------------------------------------ ● 初級シスアド平成13年秋季試験午前問3(改題) 【註】 等幅フォントでご覧下さい。  図の階層型ファイルシステムにおいて、カレントディレクトリが B1 であると き、ファイル C2 を指す相対パス名はどれか。パス名の表現において、“..”は 親ディレクトリを表し、“\”は,パス名の先頭にある場合はルートディレクト リを,中間にある場合はディレクトリ名又はファィル名の区切りを表す。また、    ┌───┐ 図中の│   │はディレクトリを表すものとする。    └───┘       ┌───┐       │ \  │       └─┬─┘      ┌──┴──┐    ┌─┴─┐ ┌─┴─┐    │ A1 │ │ A2 │    └─┬─┘ └───┘   ┌──┴──┐ ┌─┴─┐ ┌─┴─┐ │ B1 │ │ B2 │ └─┬─┘ └─┬─┘   │     │   C1     C2  ア ..\A1\B2\C2  イ ..\B2\C2  ウ A1\B2\C2  エ B1\..\B2\C2 ------------------------------------------------------------------------ ● 解答  イ ..\B2\C2 ------------------------------------------------------------------------ ● 解説 カレントディレクトリが「B1」なので、ディレクトリ「A1」は、カレントディレ クトリからの相対パスを用いれば「..\」と表されます。 次に、ディレクトリ「A1」を基準に考えれば、ファイル「C2」を指す相対パスは 「B2\C2」となります。 従って、ファイル「C2」のカレントディレクトリからの相対パスは、選択肢イの 「..\B2\C2」となります。 このように、相対パス名では、「B1→A1→B2→C2」と、階層構造に沿ってディレ クトリをたどるように指定します。 例えば、カレントディレクトリが「B1」のとき、ディレクトリ「A2」の相対パス は「..\..\A2\」となります。 では今度は、ファイル「C2」を絶対パスで指定してみましょう。 絶対パスのときは、カレントディレクトリに関係なく、ルートディレクトリから 階層構造を下層へ向かって順番にたどるように指定します。 従って、ファイル「C2」の絶対パス名は「\A1\B2\C2」になります。 この問題は、初級シスアドの午前問題の1つを改題しています。元の問題では、 「\」の代わりに「/」が使用されていました。 この、ディレクトリの区切りに「/」を使う方式は、「\」を使う方式と基本的に 同一ですが、「\」がWindowsやMS−DOSなどで用いられているのに対し、 「/」は主にUNIX系のOSで用いられています。 なお、「¥」という記号は日本語環境でのみ表示される記号であり、英語環境や 英字フォントを使用した場合には、「¥」の代わりにバックスラッシュ「\」が 表示されます。 (ここでは全角文字で表記していますが、実際には半角文字で表示されます) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ システムトラブルからの復旧法(1) ------------------------------------------------------------------------ Windowsの調子が悪いときに、どう対処すればいいのか。このテーマは幅広い内 容を含むので、数回に分けて説明することにします。 その初回である今号は、DOSそのものからは少し離れて、DOSで復旧を試み る前にWindows上でしておくべきことについてお話しします。 ------------------------------------------------------------------------ ● セーフモード Windowsの調子が悪いと思ったら、まずセーフモードで起動してみましょう。普 通には起動しなくても、セーフモードなら起動するという場合もあります。 セーフモードでの起動方法は、コンピュータの電源を入れた後、初期画面が出て いる間にF5キーを押し、その後画面が変わるまで押しっぱなしにするだけです。 押すキーは機種によって異なる場合があるようですので、いざというときに慌て なくていいように、お使いのコンピュータの説明書を確認しておきましょう。 セーフモードで起動するだけでWindowsの調子が戻ることもあるそうです。 ------------------------------------------------------------------------ ● スキャンディスク セーフモードでWindowsが無事起動したら、まずはスキャンディスクを実行しま しょう。ファイルやフォルダが破損していないかを確認して下さい。 クラスタスキャンも行うとより安心でしょう。実行方法は、「チェック方法」の 項目で「完全」を選んでスキャンディスクを開始するだけです。 クラスタとは、ディスクの記憶領域を細かく区分けしたもので、ディスクを管理 するときの最小単位になっています。 クラスタスキャンでは、このクラスタに破損がないか確認します。ディスクの全 記憶領域を順番にテストしていくことになるので、大容量のハードディスクでは 非常に時間がかかります。 ファイルやフォルダの破損は記録されたデータに異常があるだけですが、クラス タの場合はディスクのその領域が物理的に損傷を受けていることを意味します。 従って、破損クラスタが見つかりだしたら、ディスクの寿命が間近にせまってい る可能性もありますので、必要なデータのバックアップやハードディスクの交換 などの措置を検討した方がいいでしょう。 なお、MS-DOSファイル名が長すぎる、というエラーが表示されることがあります が、これはディレクトリ構造が深いためであり、Windowsを使う上で特に問題は ありません。「エラーを無視して続行」を選択して、そのままスキャンを続行し て下さい。 ------------------------------------------------------------------------ ● レジストリチェッカー レジストリが破損していないかを確認するには、レジストリチェッカーを使用し ます。 「スタート」→「ファイル名を指定して実行」で「scanregw」と入力すれば、レ ジストリチェッカーが起動し、レジストリを検査してくれます。また、レジスト リのバックアップも作成可能です。 レジストリとは、Windows本体や様々なソフトが動作に必要な情報を格納してい る特殊なファイルです。Windows95,98,Meでは、WINDOWSフォルダの「USER.DAT」 「SYSTEM.DAT」などがそれにあたります。(Windows2000,XPについては未確認) このレジストリが何らかの原因で破損すると、Windowsが正常に動作しなくなる ことがあります。その際、レジストリチェッカーを実行すれば、破損を復元でき る可能性があります。 ------------------------------------------------------------------------ ● その他 スキャンディスク、レジストリチェッカーの他、Windowsに標準で付属している 以下のツールが障害復旧に利用できます。 ☆ システムファイルチェッカー (「スタート」→「ファイル名を指定して実行」で「sfc」と入力) システムファイルが正しいかどうかを検査し、必要に応じて復元します。 ☆ システムの復元(WindowsMe,XP) システムの状態を、Windowsが正常に動作していた時点にまで戻します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 起動ディスク ------------------------------------------------------------------------ 今号で唯一、DOSと直接関係のある内容がこの「起動ディスク」です。 起動ディスクは、Windowsが起動しないときにDOSを単独で起動させるために 使います。 (WindowsとDOSの関係については次号で説明します) 今号では、ここでは起動ディスクの作成法の概略を説明します。 (使用方法は第6号で説明する予定です) 起動ディスクは、Windowsが起動しなくなってからでは作成できません。正常に 動作しているうちに作成しておきましょう。 ------------------------------------------------------------------------ ● Windows95,98,Me Windows95,98,Meでは、「コントロールパネル」→「アプリケーションの追加と 削除」にある「起動ディスク」タブから、起動ディスクを作成できます。 メーカー製パソコンのなかには、フロッピーディスクドライブがない機種もある ようです。この場合は、購入時に付属してきたCD-ROMを使って起動できたりしま すので、説明書を確認して下さい。 ------------------------------------------------------------------------ ● Windows2000,XP Windows2000,XPでは、CD-ROMからMS−DOSを起動することができますので、 通常は、起動ディスクを作成する必要はありません。 USB接続のCD-ROMドライブしかない場合など、CD-ROMから起動することができな いときは起動ディスクを作っておく必要がありますが、これについてはここでは 説明を省きます。詳しい情報が必要な方は、「日経パソコン」2002年6月10日号 の記事(下記URL)を参考にされるとよいかと思います。 http://arena.nikkeibp.co.jp/qa/os/20020606/100643/ ------------------------------------------------------------------------ 今回はここまでです。 お疲れ様でした! 次号の予定は「MS−DOSとは(1)」です。 これまでほとんど説明をせずに使ってきましたが、そもそもMS−DOSとはど んなソフトなのでしょうか。Windowsとはどんな関係にあるのでしょうか。次号 で詳しく解説することにします。 なお、「システムトラブルからの復旧法(2)」は、MS−DOSを使ったシス テム復元作業についての内容で、第6号に掲載予定です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ メールお待ちしています ------------------------------------------------------------------------ 皆さんからの感想・質問・要望をお待ちしています。 「こんなテーマを扱ってほしい」 「こんなことはできるの?」 「このへんが分かりにくかった」 「1回の分量を増やしてほしい/減らしてほしい」 など、下記アドレスまで気軽にお願いします。 tetrahedrane@yahoo.co.jp なお、いただいたメールは、本マガジン上で引用する場合があります。 (メールアドレスやお名前は一切公開いたしません) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 感想・質問宛先 tetrahedrane@yahoo.co.jp ● 登録・解除・バックナンバー http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/4963/column/dos/ このメールマガジンは、『まぐまぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/m/0000106066.htm (c) 2003 Chisato Hayahoshi