━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いざというときに役立つMS−DOS 執筆:速星 千里 第9号(2003.05.10) MS−DOSとは(2) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <目次> ■ はじめに ● クリックアンケート ■ MS−DOSの構成要素 ● SYSコマンド ■ MS−DOSの本体 ● COMMAND.COM ● IO.SYS ● MSDOS.SYS ■ MS−DOSの設定 ● CONFIG.SYS ● AUTOEXEC.BAT ■ CUIとGUI ● CUIの利点 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ はじめに ------------------------------------------------------------------------ こんにちは、速星です。今号もよろしくお願いします。 今号は、DOSそのものの構造を中心に説明します。 概念的なことも多く扱いますので、専門用語がたくさん出てきます。一応簡単な 説明を付けるようにはしましたが、説明しきれなかった部分もありますので、分 からない単語がありましたら、その都度、「e-Words」(下記URL)などで調べる ようにして下さい。 情報・通信事典 e-Words http://e-words.jp/ ------------------------------------------------------------------------ ● クリックアンケート 今後のこのメルマガの方向性を決めるため、アンケートを行います。 DOSに関して、読者の皆さんがどういった内容に興味をお持ちなのかをお聞か せ下さい。第15号以降は、皆さんの関心の高いテーマを中心に据えて、話を展開 していくことにします。 回答は、各項目のすぐ下のリンクをクリックするだけです。 ご協力、よろしくお願いいたします。 【質問】 MS−DOSの学習によって身につけたいスキルは何ですか? 以下の選択肢から1つ選んで下さい。 ◆トラブルへの対処 ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918a01 > ◆作業の自動化・効率化 ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918a72 > ◆古い周辺機器やソフトウェアなどの活用 ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918ae3 > ◆コンピュータの仕組みへの理解 ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918a54 > ◆プログラミングの基礎の確立 ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918ac5 > ◆その他 ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918a36 > ■途中経過・最終結果を見る ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/a.cgi?q00014918a90 > ■コメントボード ┗< http://clickanketo.com/cgi-bin/cb.cgi?q0001491833 > ☆締切:2003年05月18日23時00分 ★協力:メールマガジンをおもしろくする《クリックアンケート》 →→ [ http://clickanketo.com/ ] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ MS−DOSの構成要素 ------------------------------------------------------------------------ MS−DOSは、次の5つのファイルを中心に構成されています。 COMMAND.COM IO.SYS MSDOS.SYS CONFIG.SYS AUTOEXEC.BAT これらのうち、上側に書いた3つのファイルは、DOSの本体プログラムや最低 限必要な設定情報を含んでいます。 従って、これらはDOSの起動に不可欠です。 一方、下側の2つのファイルには、DOSの利用環境を整えるための設定情報な どが保存されています。 これらのファイルが存在しなくてもDOSは起動します。ただし、これらのファ イルがないと、日本語が使えない、メモリがごく一部分しか使えない、といった 機能制限が発生します。 なお、Windows2000,XPのDOS窓は、「CMD.EXE」という32bitプログラムによる DOSのエミュレーションであり、本来のMS−DOS(16bitプログラム)と は全く異なります。従って、今号の説明は、Windows2000,XPのDOS窓には当て はまりません。 ------------------------------------------------------------------------ ● SYSコマンド DOSの起動に必要な「COMMAND.COM」「IO.SYS」「MSDOS.SYS」の3つを指定し たドライブに転送(コピー)するのが、SYSコマンドです。これを実行すること により、転送先のドライブが起動可能になります。 転送元のドライブが圧縮されている場合は、圧縮ドライブを正しく読み取るため に必要な「DRVSPACE.BIN」という設定ファイルも転送されるようです。 書式は、以下のようになります。 SYS [転送元ドライブ:][転送元パス] 転送先ドライブ: 転送元のドライブやパスは、通常は省略して問題ありません。転送先ドライブは 指定しないとエラーになります。 SYSコマンドは、フロッピーディスクをブータブル(起動可能)にするために、 「SYS A:」といった形で使われることがあります。しかし、ただ単に最低限必要 な3つのファイルをコピーするだけですから、このままでは日本語環境にはなり ません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ MS−DOSの本体 ------------------------------------------------------------------------ まずは、DOSの起動に不可欠な3つのファイルについて説明します。 DOSは、大まかにいって下図のような構造になっています。 【註】 図は、等幅フォントでご覧下さい。 ┌──────┬────────┐ │COMMAND.COM │MS−DOS  │ │      │アプリケーション│ ├──────┴──────┐ │ │     IO.SYS     │ │ ├─────────────┴─┤ │    ハードウェア     │ └───────────────┘ ------------------------------------------------------------------------ ● COMMAND.COM DOSのユーザインタフェースの役割を果たすのが、「COMMAND.COM」(コマン ド・コム)です。 ユーザインタフェース(User Interface)というのは日本語に訳しにくい単語で すが、私たちがコンピュータを使うときに実際に目にしたり操作したりする画面 などを指します。 今号冒頭で紹介した「情報・通信事典 e-Words」(http://e-words.jp/)では、 『ユーザに対する情報の表示様式や、ユーザのデータ入力方式を規定する、コン ピュータシステムの「操作感」』 と説明されています。 具体的には、「COMMANS.COM」は以下の働きを持っています。 ☆ 入力画面(「C:\>」といった文字、つまりプロンプト)の表示 ☆ 入力されたコマンドの解釈 →解釈したコマンドが「COMMAND.COM」単独で実行可能なら直ちに実行 →他のプログラムを必要とする場合は、その旨を「IO.SYS」に通知 ------------------------------------------------------------------------ ● IO.SYS 「IO.SYS」(アイオー・シス)は、DOSのプログラムの本体であり、OSとし ての基本的な役割を担っています。 主な働きは、以下の通りです。 ☆ ハードウェアの管理 ☆ ファイルの管理 ☆ 「COMMAND.COM」から要求されたプログラムの実行 ハードウェアについては、「IO.SYS」では管理できないものも多くあります(例 えばCD-ROMドライブ)。その場合、個別にデバイスドライバ(各ハードウェアの 管理に必要なプログラム)を読み込む必要があります。 なお、「IO」というのはInput/Output(入出力)の略です。ハードウェアの管理 がこのファイルの主な働きの1つであることに由来するファイル名です。 ------------------------------------------------------------------------ ● MSDOS.SYS 「MSDOS.SYS」(エムエスドス・シス)は、DOSの起動についての設定を記述 したファイルであり、「IO.SYS」やWindowsから利用されています。 例えば、電源を入れたときに起動メニューを表示するかどうか、Windowsを自動 的に起動するかどうか、といった設定が保存されています。 このファイルはテキスト形式で書かれていますから、前号で学習したTYPEコマン ドを使って、簡単に中身を確認することができます。TYPEコマンドの復習を兼ね て、「MSDOS.SYS」の内容を表示させてみるといいでしょう。 TYPE C:\MSDOS.SYS | MORE ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ MS−DOSの設定 ------------------------------------------------------------------------ 続いて、2つの設定ファイル、「CONFIG.SYS」と「AUTOEXEC.BAT」について説明 します。といっても、詳しい内容はずっと先の号で扱いますから、ここでは概要 だけを紹介することにします。 これらのファイルはいずれもテキスト形式です。TYPEコマンドで中身を見ながら 説明を読んで下さい。 TYPE C:\CONFIG.SYS | MORE TYPE C:\AUTOEXEC.BAT | MORE ------------------------------------------------------------------------ ● CONFIG.SYS 「CONFIG.SYS」(コンフィグ・シス)は、主にDOSの利用環境を設定するため のファイルです。 DOSを起動すると、まず初めに「IO.SYS」がこのファイルを読み取り、その記 述に従って周辺装置のデバイスドライバを読み込みます。大容量のメモリを使用 できるようにしたり、日本語環境の設定をするのも「CONFIG.SYS」の役割です。 ------------------------------------------------------------------------ ● AUTOEXEC.BAT 「AUTOEXEC.BAT」(オートエグゼク・バット)は、DOSの起動時に、前述の 「CONFIG.SYS」に続いて読み込まれるファイルです。 通常は、環境変数と呼ばれるシステム情報の設定に使われます。また、常駐プロ グラムの起動も、このファイルに基づいて行われます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ CUIとGUI ------------------------------------------------------------------------ DOSは、CUIのOSといわれます。CUIとは、Character User Interface の略で、キーボードのみで操作するユーザインタフェースのことです。 DOSや初期のUNIXが、CUIの代表例として挙げられます。 CUIというと聞き慣れない方も多いかと思いますが、反義語のGUIならどこ かで聞いたことがあるのではないでしょうか。GUIというのはGraphical User Interfaceの略で、ほとんどの操作をマウスで行うことができる、視覚的なユー ザインタフェースを指します。 GUIの代表例は、WindowsやMacintoshです。 ------------------------------------------------------------------------ ● CUIの利点 さて、もう2か月も前の話になってしまいましたが、創刊号発行後にこんなメー ルを頂きました。 > 私は視覚障害者(全盲)なので、音声化ソフトを使用してWindowsパソコンを > 操作しています。 > 視覚障害者なので、マウスの使用は困難なため、全ての操作をキーボードから > 行っています。 > でも、Windowsには、マウスを使わなければできない操作が結構あります。 > > その点、MS-DOSは基本的には全ての機能をキーボードから実行できますので、 > 視覚障害者にとっては、かなり有用なOSだと思います。 ありがとうございました。 GUIはマウスを使って直感的な操作ができるため、初心者にも親しみやすいと いう利点があります。しかしその反面、画面が見えない人やマウスの使用が困難 な人にとっては、コンピュータを使う上での大きな障壁となってしまいます。 キーボードだけで操作できるCUIは、アクセシビリティに優れたユーザインタ フェースといえるでしょう。 コンピュータの側から見ても、CUIはGUIに比べて入出力の処理が簡単にな りますから、あまり性能の高くないコンピュータでも動作させることのできる、 「軽い」ユーザインタフェースであるといえます。 また、キーボードからの入力は、マウスよりもずっと手早く行えます。慣れさえ すれば、CUIの方がGUIよりも素早く操作できるようになります。 ------------------------------------------------------------------------ 今回はここまでです。 お疲れ様でした! 「MS−DOSとは」のシリーズは、今回で終わりです。 次回は、前回の続き、「ファイル操作(2)」です。ファイルの削除、移動、そ してファイル名の変更について取り上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ メールお待ちしています ------------------------------------------------------------------------ 皆さんからの感想・質問・要望をお待ちしています。 「こんなテーマを扱ってほしい」 「こんなことはできるの?」 「このへんが分かりにくかった」 「1回の分量を増やしてほしい/減らしてほしい」 など、下記アドレスまで気軽にお願いします。 tetrahedrane@yahoo.co.jp なお、いただいたメールは、本マガジン上で引用する場合があります。 (メールアドレスやお名前は一切公開いたしません) また、冒頭のアンケートにもご協力をよろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 感想・質問宛先 tetrahedrane@yahoo.co.jp ● 登録・解除・バックナンバー http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/4963/column/dos/ このメールマガジンは、『まぐまぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/m/0000106066.htm (c) 2003 Chisato Hayahoshi