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おもしろトピックの家




おもしろトピック(14) 地図は自己主張する(2)



 台湾(中華民国)へ行った時に買ったお土産の地図も実に興味をそそられるものだった。
 私が台湾へ行ったのは1982年の夏、教科書問題で中国、韓国、台湾のマスコミが大騒ぎしている時だった。ご存じのように、戦後、国共内戦に敗れた国民党は台湾に渡り、そこをあらたな根拠地にしたのである。その 中華民国が主張する領土 は実に広大なのだ。

  中国(漢民族というべきか)という国は拡大・膨張の国家である。もともと華北中原にいたものが華中、華南と南に広がり、西はウイグル、青海、チベット、北はモンゴル、満州(東北部)に至る広大な地域を領土とした。現在も「華僑」という移民を放出し、拡大し続けている。大陸からこぼれた連中は更に南下し、東南アジア各地に散らばっていった。その最大の植民地がシンガポールである。

 中華民国の主張する「中国全土」は辛亥革命時代の領土をその範囲としている。今のモンゴル人民共和国も中国領になっている。かつては「外モンゴル」といって清帝国の一部であった。とにかく広大である。また、 朝鮮半島 は「韓国」のみで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は消えている。中華民国(1982年当時)の外交姿勢がはっきりと地図の上に現れている。一方、 中華人民共和国の地図 はどうかというと、さすがにモンゴル人民共和国は独立国となっている。また、朝鮮半島も韓国と北朝鮮を別の国として記載している。この地図はたぶん「中韓修交」のあとに作られた地図なのであろう。




 二つの中国がまるで相談したかのように、主張が一致しているのが「南沙列島」である。どちらも自国領として国境線で囲んでいる。(下の地図参照)
 この「南沙列島」が取りざたされれたのは、私の記憶では1973年頃である。大陸中国が自国領だと主張して、軍用艦を派遣し、島に国旗(五星紅旗)を掲げた事件があった。かなり国際的な非難を浴びた。こんな南洋のちっぽけな島が、注目されたのは、「石油」が出たからである。中国は「南沙列島は明王朝時代以来、我が国の領土である」と主張していた。古証文を出されると、周りの国は弱い。とにかく古い国だし、文書もたくさん残っているし、中国に太刀打ちできる国家はあまりない。
 その後、フィリピン、ベトナムが領有権を主張した。皆、石油が欲しいからである。現在も各国入り乱れてのバトルロイヤルが繰り広げられている








中華民国(台湾)が主張する
南沙列島地図(上)


中華人民共和国が主張する
南沙列島地図(下)





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