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名曲−9. 津軽恋女(その1)  



 太宰治の名作「津軽」は次のような言葉で始まる。

津軽の雪

こな雪
つぶ雪
わた雪
みず雪
かた雪
ざらめ雪
こおり雪
(東奥年鑑より)

 津軽の雪の多さを物語るかのように、雪の表現が細分化されている。このフレーズを基にした歌が、「津軽恋女」である。

津軽恋女

作詞 久仁京介
作曲 大倉百人
唄 新沼謙治


一、津軽の海よ 竜飛岬は吹雪に 凍えるよ
日毎夜毎 海鳴りばかり 愚図る女の泣く声か
津軽の女よ 別れうたひとつ くちずさむ
にごり酒に想い出浮かべ
かじかむこころの 空を見る
降りつもる雪 雪 雪 また雪よ
津軽には七つの 雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪
津軽の女よ 枕乱して 引き込む 恋女
愛に生きて夢に生きて
白いかげろう 空に舞う

二、津軽の女よ ねぶた祭りの
ゆきずり たわむれか
過ぎた夜の匂いを抱いて 帰れと叫ぶ 岩木川
降りつもる雪 雪 雪 また雪よ
津軽には七つの 雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪
津軽の海よ 三味がゆさぶる
じょんから聞こえるよ
嘆き唄か 人恋う唄か
胸のすきまに しみてくる

降りつもる雪 雪 雪 また雪よ
津軽には七つの 雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪

降りつもる雪 雪 雪 また雪よ
津軽には七つの 雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪

 「津軽恋女」は 新沼謙治 の第二のヒット曲といってもよいのではないだろうか。新沼謙治は昭和31年2月27日生まれ、岩手県大船渡市の出身である。「嫁にこないか」がデビュー曲かと思っていたが、調査によればこれは2曲目であり、デビュー曲は「おもいで岬」(昭和51年2月1日発売)であった。スター誕生出身者ということは押さえておきたい。


 「津軽」のクライマックスシーンは小泊村である。小泊村には 小説「津軽」の像記念館 があり、太宰が自分の乳母である越野タケと再会する場面は、銅像となっている。

2003年8月1996年6月

 記念館脇の文学碑には、「津軽」の一節が書かれている。この文学碑を読めば、原作に忠実に銅像が製作されたことが分かる。二人の視線の先には、今でも運動場が有る。

文学碑

 たけはそれきり何も言わず、きちんと正坐してそのモンペの丸い膝にちゃんと両手を置き、子供たちの走るのを熱心に見ている。けれども、私には何の不満もない。まるで、もう安心してしまっている。足を投げ出して、ぼんやり運動会を見て、胸中に一つも思うことが無かった。もう、何がどうなってもいいんだ、というような全く無憂無風の情態である。平和とは、こんな気持の事を言うのであろうか。もし、そうなら、私はこの時、生まれてはじめて心の平和を体験したと言ってもよい。・・・・・・しばらく経ってたけは、まっすぐ運動会を見ながら、肩に波を打たせて深い長い溜息をもらした。たけも平気ではないのだな、と私にはその時はじめてわかった。でも、やはり黙っていた。 

 記念館入口の脇には、銅像が3体並んでいる。記念館は太宰とタケさんの資料が展示されている。ビデオシアターでは生前のタケさんの映像を見ることができるようだが、今回は時間が無かったことも有り、見ずに帰った。
 また、小泊村には太宰とタケ再会の道というのも整備されており、文学碑も6つ立てられているようだ。こちらは見ることができなかったのは残念である。

左 : 青年の太宰
中 : 少年の太宰
右 : 若き日のタケさん


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