伏工ラグビー、奇跡の全国制覇描く
映画「スクール・ウォーズHERO」完成
京都市立伏見工業高ラグビー部の奇跡の全国制覇を実話をもとに描く映画「スクール・ウォーズHERO」が完成した。教師と生徒が反目を越えて強い絆(きずな)を結ぶ直球勝負の感動作だ。山口良治さんがモデルの教師役には俳優の照英。人間ドラマとともに、砂煙の中を若い肉体がぶつかり合う試合場面は迫力満点だ。
■伏工OBの関本監督がメガホン
同高OBでもある関本郁夫監督は「素直に泣ける自信作。少年犯罪が日常茶飯事の今、全国の教師や親に見て欲しい。子どもの心に火をつけるのは大人」と熱く語る。
物語は、元日本代表の山上(照英)が、「ラグビーで学校の再建を」と願う校長(里見浩太朗)の説得で荒廃する高校に赴任するところから始まる。悩みつつ、拒まれ続けても子どもを信じる山上に、生徒や周囲の教師は次第に変わっていく。名うての不良がチームに参加したり、病弱な生徒が精神的支えになるなど有名な逸話も盛り込みながら、「0−112」の屈辱的な敗北から全国優勝に輝くまでを追う。
昨年夏、舞台である京都市伏見区などでロケ。内田朝陽ら生徒役の俳優は、約半年間のトレーニングを経て撮影に臨んだ。「ハリウッドに負けないスポーツ映画を撮りたかった。固い土のグラウンドでの試合場面は、カットの声を掛けるたび、砂ぼこりの中に誰かが倒れていた」。クランクアップの瞬間、「生まれて初めて胴上げされた。感無量。若い役者が達成感を持ってくれたのが何よりうれしかった」
体育会系の存在感で白羽の矢を立てた照英には、せりふ回しから徹底指導した。日を追うごとに「山口先生が乗り移ったようだった。最後は無我の境地だったと思う」。やんちゃな男子生徒をてきぱきと束ねるマネージャー役のSAYAKAや、夫を励ます妻の和久井映美、保護者役の間寛平ら脇の好演も光る。
映画化にあたり監督は山口さんから「命をかけてほしい」と託された。「若者の将来への展望が不景気で見えにくく、学校を取り巻く環境が再び荒廃する今、映画で大切なものを確認してほしい。人を変えるのは人。勉強もいいが運動で汗を流すことも大切。難しい映画ではない。思い切り泣いて」とアピールする。
試写を見た日本ラグビーフットボール協会や教育団体から支援の輪も広がる。ラガーマンの森喜朗前首相や日比野弘元日本代表監督も絶賛のコメントを寄せている。
映画は9月11日、全国に先駆けてMOVIX京都で封切りの予定。(京都新聞) |