スペイン世界遺産エッセー/サンティアゴ・デ・コンポステーラ
⑨「星の野」 Compostela とはここまで話をすると、ようやく地名の由来について説明しやすくなります。
聖ヤコブがスペイン語でサンティアゴと呼ばれるのは冒頭で説明しましたが、
星の野とはいったいなんでしようか、この点について最後に述べてみます。
イエス・キリストの聖地であるエルサレムがイスラム帝国の台頭で巡礼困難となり、
代替地に選ばれたのがイスラエルとは反対方面の西の地の果てにあるガリシア地方でした。
シトー会派におされ気味のクリュニュー会派の勢力挽回と
イスラム教徒に奪われたイベリア半島を奪回しようとする動きが一致し、
政治的にヤコブの墓が発見されることになりました。
そして、教会の好きな奇跡物語として
その遺体はガリシアの野の星明りに導かれて発見されました。
聖書の東方三賢人が星明かりの導きによりキリストの生誕に駆けつけた話とよく似ています。
事の経緯は別として、長い時代にわたりこの地がキリスト教三大巡礼地のひとつとして
歴史的に非常に重要な役割を果たしてきたことは重要な事実であり、
そして「星の野の聖ヤコブ」という詩的な名前は
巡礼キャンペーンのキャッチフレーズとしてぴったりだったのでしょう。
写真はサンティアゴ大聖堂の夜景、現在も演出効果万点です。
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「星の野」のガリシア地方