このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

目からウロコのカメラ講座               目次へもどる
あたま山
 「あたま山」ていう落語のあってクサ、どげな話かていうと

 吝兵衛(けちべえ)ていう男が、一銭も持たず花見に行って、ひもじゅうして、たまらんもんやケン
サクランボの落ちとるとば、拾うてクサ、むやみやたらに食うとっタイ。

 そうしたら、頭が痛うなったケン、早う寝てしもうて、明けの日、起きたところが、どうじゃろかい、頭のてっぺんに、桜の木の芽が吹いて出とった、ちゅう訳よ。おっせこっせしよるうちい、桜の幹が大きゅうなって、あれよあれよて云いよるうちい、花が咲いてしもうた。

 これが評判になってクサ、近所のもんが来て、頭の上で花見ば始める始末。吝兵衛が「こらあ、たまらんバイ」ちゅうて、桜の木ば抜いてしもうたところ、今度は、そのあとに大きな穴が開いてバイ、夕立が降ったりすれば、水が溜まって、鯉やら鮒やらが湧いてくる始末。

 釣り師はくるは、池に船ば浮かべて、どんちゃん騒ぎになるは、吝兵衛とうとう困り果て、自分の頭の池に身ば投げて死んでしもうた。
 

 「あんた、ちょっとそこいらい、立ってみんしゃい、撮しちゃあケン」て云うたら、たいがいの人が、立木か電信柱の前に立つ。こらまたなしかいね。

 博多にわか風に云うたら「そらあそうクサ、寄らば大樹の陰て、云うちゃあもん」ていうことになるが・・・・

 してまた、撮す方がど素人で、そのまんま撮ってしまうと、みごと、頭から木の生えた写真になってしまうとですタイ。





 そうそう、「あたま山」といっしょタイ。

 撮される方が慣れた人やったら、写ったときのことば考えて、ここい立てば、こう写るやろうと、片手で木に、なんかかったりしてクサ、立ってくれるバッテンねぇ。

 そうじゃなか人の時は、やっぱあ撮す方が、あたまから、木の生えてこんごと、チャンと格好良うポーズを、つけてやらないかん。構図もポーズも、一字違いで大事かとよ。 

 せめて半歩、左右に動かすだけで、この「あたま山」写真からレベルアップがでける。

 憶えておきまっしょう「頭から木ば生やさんとバイ」
 

 おんなじことで、海岸の砂浜やらで撮すとき、相手が波打ち際に立っとって、自分も砂浜から撮そうてすると、ちょうど水平線が、首の位置に来てしまうことになると。

 水平線に限らず、強い横の線が、首の位置でぶち切っとお写真ば
「首切り写真」ていうと。

 サラリーマンやらサラリーウーマンばこげな撮り方したら「まんの悪かて」云うてクラされますバイ

 どっかで切れるのは切れるっちゃけど、首だけは避けたほうがよか。

 相手に立ったり座ったりさせんでも、自分が 10センチ腰を落としたり、つま先だったりすれば、これだけで、首切りタプーから逃げられるし、ぜーんぜん神経の行き届いた、良か写真がでけるちゅう訳ですタイ。

 林の中で横顔のアップ撮る時には、目から木の枝ば生やさんごと、これも注意してね。




 
女性の頭から滑り台の生えてきてしもうた。  菖蒲撮しよる人の目から橋の手すりが飛び出した。

 
 ズームで引っ張ったり、望遠でアップにすれば、後の線はぼけて、気にならんごとなるケン。これも憶えとこう。

 
 「あーっ写真一枚撮るとい、なんてせからしかとかいな」て、思うごたあなら、もう写真は止めたほうがよか。
 いっときの間、ファインダーの隅から隅まで、気ばつけて撮りよけば、しらずしらずのうちに、身体が憶えてしまう。これが「身に付く」ていうとタイ。

 ここい行き着くまで、タダのデジタルをいいことに、撮っては消し、撮っては消し、練習しよれば、上達疑いなし。
 すぐにそこいらのプロが「すんまっせーん」て云うごたあ写真のとれるごとなりますバイ
 

 もういっぺん云いますバッテン

 POINT 人生そうはいかんが、デジタルカメラなら失敗したら消せばよか。
 

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