目からウロコのカメラ講座　　　　　　　　　　　　　　 目次へもどる
写真は引き算、三歩前へ

観光地に着いて、バスから下りる。パァーッと良か景色のひろがっとる。どこば撮してよかもんやら目移りのしてクサ、ちょうど「迷い箸」のごとオロオロしてしまう。 　仲間ば「ちょっとそこい、立ってんしゃい」ちゅて立たせてから、ファインダーば覗いたら 　「あっちも入れたか、こっちもよかねぇ」でだんだん後すざり、向こうの山も・手前の川も・目の前の花まで、なんもかんも「がめ煮」のごと、入れ込んでシャッターば切る。 　プリントが出来て見てみたら、なんやらかんやら　うんと写っちゃあーおるバッテン、みーんな小そうてクサ、人間やらどこい写っとるかわからんぐらい。豆粒。顔も表情も見えはせん。 　こげな経験ななかね ? 　絵描きさんがクサ、キャンバスちゅう枠があってこそ、始めて絵が描けるごと、写真も見えとる物の中から、どこばフレームの中に入れるかが問題ですタイ。 　どう切り取ってくるかが、その人のセンス。 　その時ぃ、あんまり欲張って、なんでもかんでも、詰め込んでしもうたら、なんが主題か分からんごとなってしまいまっしょうもん。 　文章で云えば、主語のなかとと、いっしょですタイ。話で云えば「いろいろ聞いたバッテン、なんが云いたかったっちゃろうか」ていうようなもんですタイ。 　憶えておきまっしょう「写真は引き算」周りのいらんもんはどんどん外していく。 　 　ということは、結果的には対象に迫るということ。そうすれば、主題はおのずとハッキリしてくる、て云うことになるとですタイ。 　具体的には、例えば人を立たせて撮すとき、ファインダーの中でピント合わせるのに、その人の顔ばかり凝視しとるもんやから、目に望遠効果の働いて、画面一杯が顔のごと見ますと。 　だから、自分では大きゅう撮したつもり。 　いっぺん、ファインダーのぐるりに注意しちゃってんなっせ、廻りにいらんもんの、いっぱい入っとうとのわかりまっしょう。 　こらあこれで、よかかもしれんが山笠の遠うして人形は豆粒。　近づけば人形の迫力が出せる。 　一歩被写体に近づいてみなっせ、まあだ周りの多か、もう一歩近づきまっしょう、思い切ってもう三歩、ほうら、良か写真の撮れたでしょうが。 　「写真は足で撮れ」やけん、自分で動かないかんとバッテン、どうしても動きとうなかったり、それ以上は近づけんやったりするときは、ズームで引きつければよかでっしょうが。 　ズームレンズちゃあ、そげな身体惜しみ(博多じゃ五体おしみ)するもんのためにあるとですバイ。 　ただしひとつだけ、若いつもりのばぁちゃんば撮すとき、あんまり近づいてシワまではっきりと写ったら、おごられますケン、アップはほどほどしとくか、わざとピントばすこーしぼかすことも、憶えといてつかあさい。 　左・近づけば顔の表情・着物の柄までまでハッキリしてくる。 　右・近づけないときはズームレンズか望遠レンズで引っ張る。 　POINT　動きたくないならワイドで一枚、標準で一枚、望遠で一枚撮っとけばよか

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